
・暴力の連鎖によりパレスチナ人の新たな「インティファーダ(民衆蜂起)」への不安が高まる。
ガザ地区ガザ市:15日未明、イスラエル軍によるガザ地区への空爆で、すくなくとも10人が死亡した。その多くは子どもだった。今週始めから続く、ガザ地区を支配する過激派組織ハマスとの戦闘の中でももっとも激しい攻撃だった。停戦を呼びかける声が高まるなか、両陣営とも強硬姿勢を崩さずにいる。
エルサレムから始まった今回の交戦は地域全体に広がり、ユダヤ人とアラブ人が住む複数の都市で両民族の衝突や暴動が起きている。さらにイスラエルが占領するヨルダン川西岸地区では14日、パレスチナ人の大規模な抗議活動があり、イスラエル軍によって11人が射殺された。
何年も和平交渉が行われないなか、連鎖する暴力によりパレスチナ人の新たな「インティファーダ(民衆蜂起)」や一斉蜂起が起きるのではないかとの不安が高まっている。パレスチナ人は15日、「ナクバ(破局)の日」を迎える。これは1948年のイスラエル建国に伴う戦争で約70万人が故郷から追放されたことを記憶する日だ。このことが懸念をさらに大きくしている。
アメリカ外交官ハディ・アミル氏が14日、衝突の沈静化をはかるワシントンの政策の一環として現地入りし、国連安保理は16日に会談をもうける。しかしハマスの指導者が受け入れたエジプト提案の一年間の停戦案をイスラエルが拒絶したと、エジプト政府関係者が14日、交渉継続のために匿名を条件に語った。
10日の夜以降、ハマスはガザ地区を爆撃したイスラエルに対して、数百発のロケット弾を発射している。ガザ地区では少なくとも、子ども39人と女性22人を含む139人が死亡し、イスラエルでは5歳の少年1人と兵士1人を含む7人が死亡している。
封鎖されたパレスチナ人自治区へのガザ地区とイスラエルからのロケット弾による爆撃は15日未明まで続き、ガザ市の難民キャンプ内の3階建ての家屋への空爆で、そこに住んでいた一家のうち8人の子どもと2人の女性が亡くなった。
モハメッド・ハディハディさんは記者に、妻と5人の子どもが親戚と一緒にイード・アル・フィトルの祭りに出かけていたと語った。妻と、6歳から14歳までの3人の子どもが亡くなり、11歳の子どもが行方不明になった。生存が確認されたのは、生後5か月の息子オマール君だけだった。
がれきの中から、手つかずの祭日の料理とともに子どものおもちゃやモノポリーのすごろく盤が見つかった。
「何の警告もなかった」同じ建物に住むジャマル・アル・ナジさんはそう語った。「人々が食事をしているところを撮影して、それを爆撃したのか?」彼はイスラエルにそう問いかけた。「なぜ我々を狙う?もっと強い奴らを狙え!」
コメントを求められたイスラエル軍から返答はない。ハマスはこの空爆への報復として、イスラエル南部へロケット弾の一斉砲撃をおこなったと告げた。
14日未明、激したイスラエル軍の爆撃により民家にいた一家6人が殺害され、数千人が国連の運営する避難所に逃げ込んだ。軍は40分間のこの作戦で、160機の戦闘機が80トンの爆弾を投下し、ハマスが使用していた広大なトンネル網を破壊することに成功したと発表した。
軍広報官のジョナサン コンリコス中佐は、軍は軍事目標を攻撃することで周辺の被害を最小限に留めることを狙ったと語った。しかし他の攻撃の際に行われるような、市民が避難できるようにあらかじめ警告するといった方法は「今回は不可能だった」
イスラエルのメディアによると、イスラエル軍は数十人の戦闘員をトンネル内で殺害したと確信している。ハマスとイスラム過激派組織は陣営内で20人が死亡したことを認めているが、イスラエル軍によれば実際の死亡者数ははるかに多いという。
2007年にハマスが実権を握って以降、イスラエルとエジプトによる封鎖ですでに荒廃が進んでいるガザ地区のインフラは、さらに深刻な破綻の兆候を示しており、住民の苦境は悪化しつつある。ガザ地区内のたった一つの発電所は数日のうちに燃料が尽きる恐れがある。
AP