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安保理がシリアの選挙を「茶番」「グロテスクなジョーク」と非難

シリアの大統領選挙で、26日、ドゥーマの投票所で投票する同国のバッシャール・アサド大統領とアスマ夫人。(AFP通信)
シリアの大統領選挙で、26日、ドゥーマの投票所で投票する同国のバッシャール・アサド大統領とアスマ夫人。(AFP通信)
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27 May 2021 01:05:04 GMT9
27 May 2021 01:05:04 GMT9
  • ガイル・ペデルセン国連シリア担当特使は、大統領選挙は安保理決議の要件を満たしていないと繰り返した
  • 安保理理事国はアサド政権に対し、永続的な平和を実現する唯一の道として、国連の支援のもとでの政治プロセスに取り組むよう求めている

エフレン・コサイフィー

ニューヨーク:国連安保理のイギリスの代表は、26日のシリアの大統領選挙は「茶番」で「グロテスクなジョーク」だと述べた。他の理事国は、投票は「無効」であり、「民主主義に対する侮辱」と表現した。

この発言は、ガイル・ペデルセン国連シリア担当特使が安保理で同国の最新状況について説明した時のものだ。

選挙は国連決議2254の要件を満たしていないと、特使は繰り返し述べた。この決議は、「透明性と説明責任に関する最高の国際基準を満たすため」、新憲法に従って実施され、かつ、他国にいる難民を含むすべてのシリア人が投票できる、自由で公正な国連が監視する選挙を求めている。

「国連は(26日の)選挙に関与しておらず、関与する権限もない」と、ペデルセン特使は述べた。「国連は、決議2254を実施するために、シリアにおける交渉による政治的解決の重要性を強調し続ける。これは、紛争とシリア国民の苦しみに終止符を打つための唯一持続可能な道となっている」。

紛争で荒廃したこの国の政治的・人道的状況に関する最新報告の中で、特使はシリア人が大きな苦しみや、「毎月繰り返される同じパターンの出来事や動きに耐え続けており、このパターンがシリア人をさらに深い奈落の底へとゆっくりと導いているのではないかと、私は危惧している」と述べた。

しかし、解決策も「変わっていない」と特使は付け加えた。

「必要なのは、国連が促進し、建設的な国際外交に支えられた、シリア主導の独自の政治的解決策である」と、特使は語った。

特使は、持続的な全国的停戦を成し遂げ、国際法を順守した共同アプローチを通じてテロと戦い、抑留者や拉致被害者を解放する取り組みを強化するために行うべき作業について、15ヶ国から成る理事会に再確認した。

深刻な水不足や歴史的な食糧価格の高騰によって悪化している悲惨な人道的状況も喫緊の課題であると、ペデルセン特使は述べた。また特使は、「シリア全域への完全かつ持続的でスムーズな人道的アクセス」の復旧の重要性を改めて強調した。

特使の発言には、マーク・ロウコック人道問題担当国連事務次長も同調し、同氏は「300万人以上の人々の生命線である越境活動に替えられるものはない。我々はそのライフラインが断ち切られないよう、この理事会に期待している」と警鐘を鳴らした。

ペデルセン特使は、「命を救うために引き続き必要不可欠である」救命援助を、必要としている何百万人もの人々に届けるために、越境活動の仕組みについて合意に達し、バブ・アル・サラームとヤロウビヤの国境越えをさらに12ヶ月間再承認するよう、理事会理事国に訴えた。越境に関して適用されている現在の決議は、7月に期限切れとなる。

「明確な理解が得られればすぐに」ジュネーブでシリア憲法委員会の第6回起草委員会を招集する努力が続いていると、ペデルセン特使は述べた。

これには「慎重な準備」が必要で、「信頼と信用を回復・構築」し、「憲法改正を準備し、国民の承認を得られる草案を作成する委員会の任務には、結果と継続的な進展をもたらさ」なければならないと、特使は付け加えた。

さらに、「シリアの和平に向けた進歩を促す、影響力と権限を持つ全ての主要利害関係者が同じテーブルにつけるようにするため」には、シリアに関する建設的かつ包括的な国際外交が不可欠だと、特使は述べた。

そして特使は「紛争の政治的解決策の大枠は主要利害関係者がよく理解しているにもかかわらず、誰も最初の一歩を踏み出そうとしない。このようなことを続け、主要当事者が紛争解決よりも紛争管理に注力するなら、シリアはまた更に何世代にもわたる長期的な紛争に陥るのではと、私は危惧している」と警鐘を鳴らし、締め括った。

安全保障理事会のロシアの代表が26日の大統領選挙の投票に対する批判を「シリアの有権者を無視している」として非難した一方、他の理事国は選挙を拒否することで一致した。

アイルランドのジェラルディン・バーン・ネイソン国連常駐代表は、シリア政権に対し、「憲法委員会の作業を妨げているその強硬姿勢をやめ、有意義な交渉に参加する」よう求めた。

フランスのコラス・デ・リヴィエール特使は、次のように語った:「この選挙は無効であり、アサド政権の政治的正統性の回復には寄与しなかった。シリア政権は、国連の支援のもと、政治プロセスに取り組むべき時が来ている」。

イギリスのジョナサン・アレン国連副大使は、選挙は「茶番」で、「アサドの独裁体制」を維持するために計画された「行為」であり、「安保理決議2254の要件をとても満たせるものではない」として非難した。

また、副大使は、明らかにロシアに対して発せられたコメントの中で、次のように語った:「これを『選挙』と見なすのは、指導者を選ぶ機会を奪い、政治に自由に参加したり、自分の意見を述べたりする権利を否定するなど、自国民に対してそのようなアプローチをとる国だけだ。そして、シリアの政権がここ国連で付き合っている仲間から判断すると、これらの国々については、それはもう確かなようだ」。

「国連の他の理事国にとって、(この選挙は)自分を正統な指導者としていまだに認めない人々にガスを吸わせ、拷問し、飢えさせたという、ひどい犯罪責任を負った男が行うグロテスクなジョークだ」。

アメリカのリチャード・ミルズ国連大使代行は、選挙を「民主主義とシリア国民に対する侮辱」と非難し、シリアのバッシャール・アサド大統領とロシアに対し、現在の停戦を順守するよう改めて求めた。

ミルズ氏は、同国の人道危機への懸念を表明しながら、「全ての国境検問所を再開しなければ、人々は死ぬ、それくらい単純な話だ」と警鐘を鳴らした。

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