
ハゼム・バルーシャ
ガザ市:エジプト総合情報庁長官アッバス・カメル氏は、イスラエルとパレスチナとの11日間におよぶ紛争後、ハマスと会談するために月曜日にガザ地区に到着した。
カメル長官は、ラマッラーのエレス国境地点からガザ地区へ入り、ホテルでヤヒヤ・シンワル氏を筆頭とするハマスのガザ政治部門指導者らの一団に迎えられた。
エジプト政府高官であるカメル長官がガザ地区を訪れたのは、今回の紛争でガザ地区とハマスに対するエジプトの公式姿勢が変化したためであり、またこれは、エジプトが仲介した5月21日の停戦枠組みの一環でもある。
エジプトは今回の停戦条約を、安全と安定を保障する長期の休戦へと発展させ、復興への道を開きたいと考えている。
双方は、今回のガザ紛争の前に一定の進展を見せていた、ハマスとイスラエルとの捕虜交換問題について話し合った。
ハマス政治部のハリル・アル・ハイヤ氏は、カメル長官との会談後に次のように述べた。「捕虜交換問題について、今回の紛争前に進展があったのは周知の事実だが、イスラエル占領軍は新たな合意に向けて動き出す準備があるようには見えない」
今回の会合では、パレスチナ統一を回復し、2007年から続く分断を終結させるための話し合いも除外されなかったとアル・ハイヤ氏は述べた。
カメル長官は、この地域を訪れる手始めとして、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相とも会談した。ネタニヤフ首相は、「ガザ地区でハマスに拘束されている兵士や民間人を早急に」返すようカメル長官に求めたとの声明をイスラエル首相府が出している。
今回の訪問と時を同じくして、イスラエルのガビ・アシュケナージ外相も、2008年以来初めてエジプトを訪問した。
アシュケナージ外相は、エジプトのサメハ・シュクリ外相と会談し、「ガザ地区の停戦を安定化させる方法」について話し合った。
カメル長官はハマス上層部との会談後、パレスチナの各派と会談し、停戦の確認やパレスチナの復興に関する問題について話し合った。
イスラエルはガザ地区の復興を、ガザ地区に拘束されているイスラエル兵士の解放との交換条件にしようとしているが、ハマスはその提案を拒否している。
ハマスのアル・ハイヤ氏は、捕虜の交換と復興問題は何の関連もなく、それぞれ「別の権利」が生じる問題だと述べた。
ハマスは2014年の紛争中に捕らえたイスラエル兵士2名を拘束しており、その生死を明らかにすることを拒否している。他にも状況は定かではないが、別の時期にガザ地区へ入ったイスラエル市民権を持つ2名が拘束されている。
カメル長官による4時間の訪問は、エジプトのアブデル・ファタハ・エル・シシ大統領が今回の紛争で破壊されたものへの復興に尽力すると約束した、ガザ市の南にあるエジプト人居住都市への礎石を据えたことになる。
今回の紛争で、高層建造物を含む1800戸の住宅、学校、農地、工場、倉庫などが破壊されたとの公式発表がされている。
政治アナリストのイブラヒム・ハビブ氏は、今回のカメル長官によるガザ地区への初訪問には、多くの利点があると述べた。
「今回の訪問はエジプト政府にとって、自国の国安全保障の一部となっているパレスチナ問題を撤廃させる可能性があること、そして多くの諸国がそこに介入しようとしていることを十分に認識した上で、ガザ地区への足掛かりを改めて構築しようとの試みだ」とハビブ氏は述べた。
また、国際社会や中東地域の大国がエジプト政府に対して多くの様々な活躍を期待しており、特に米国はエジプトに対し、とりわけ現在の段階においてパレスチナ問題で顕著な役割を果たすことを望んでいると彼は付け加えた。