
ブリュッセル:米国のジョー・バイデン大統領とトルコのタイイップ・エルドアン大統領が14日に直接会談し、なごやかな雰囲気を見せた。だが、ロシア製兵器やシリア、リビアなどの問題を巡る溝が埋まることはなく、両国間の関係改善に打開策は示されなかった。
ブリュッセルで開かれた会談後の記者会見で、バイデン大統領は「会談は大部分が1対1で行われたが、前向きで建設的な内容だった」と語った。
さらに「双方のチームが議論を続けることになるが、トルコと米国の関係において真の進展が得られると確信している」と続けた。
NATO首脳会議に伴って実施された米首脳との会談について、エルドアン大統領は「建設的で誠実なものだった」と説明した。
また、「米国とトルコの関係において解決不可能な問題はなく、両国が協力できる領域は問題よりも豊富で規模も大きい」と述べた。
2人は対外的には楽観的な雰囲気を醸し出していたが、両国関係の修復や、NATO同盟国の間にある緊張を緩和する具体的な方法について言及はなかった。
NATOで第2の軍事力を持つトルコは、ロシア製の地対空ミサイルを購入したり、シリアやリビアの紛争に介入したりして欧米の同盟国の怒りを買っている。また、東地中海の領土を巡ってギリシャやキプロスと膠着状態にある。
大統領として、バイデン氏のエルドアン大統領に対する姿勢はドナルド・トランプ前大統領よりも冷ややかなものだ。バイデン大統領は1915年のアルメニア人大量殺害事件を「ジェノサイド」に認定したが、そうした行動はトルコの怒りを買った。そして、トルコの人権問題に対して批判を強めている。
トルコがロシア製のS-400地対空ミサイルを購入したことで、米政府はすでにトルコをF-35戦闘機プログラムから外し、制裁を課している。
NATOにおいてトルコが中心的役割を示せるのではないかとエルドアン大統領が考えているのが、アフガニスタン問題である。今後米軍とNATO軍が撤退した後、トルコ政府はカブールの空港の防衛と運営を担う。NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長は、トルコは重要な役割を担うことになるが、14日の会談で決まったことはないと語った。
NATOの首脳会談の開始にあたって、米・トルコの首脳は席に着く前に少人数で長い時間話し合っていた。
その後、両国首脳とその補佐官たちは会議の席で反対側に座り、あまり発言しなかった。さらに、会議室に短時間招かれた記者団から投げかけられた質問にも答えなかった。
エルドアン大統領はフランスのエマニュエル・マクロン大統領とも会談した。両国はシリアやリビアを巡って対立しているほか、マクロン大統領が「イスラム分離主義」と呼ぶ運動との戦いはトルコから批判されている。
「私たちの会談において、リビアで活動している外国の傭兵や軍事勢力ができる限りすみやかに撤退することを望んでいる、とエルドアン大統領は述べた」。会談後の記者会見でマクロン大統領はそう語った。
ロイター