
エルサレム:イスラエル政府は20日、4月にユダヤ教の聖地で起きた大事故を調査する、独立した国家調査委員会の設置を承認した。この事故では45人が死亡した。
メロン山で行われた祝祭「ラグ・バオメル」に人々が殺到して死者が出た。同委員会は、この事故につながった、安全面での重大な欠陥を調査する。ナフタリ・ベネット首相はそう述べた。
同委員会の委員長は、現職の上級判事もしくは元上級判事が務める。委員は、同国の最高裁の首席判事によって選出される。
新型コロナウイルス対策の規制で、屋外での集会の人数が最大500人に制限されており、このような集会の安全性に対する警告が以前から行われていたにもかかわらず、4月29日にイスラエル北部で行われた祝祭「ラグ・バオメル」には、超正統派のユダヤ教徒を中心に約10万人が集まった。国家会計検査庁は2008年と2011年に、メロン山の状況が危険であることを警告する報告書を発表していた。
祝祭が行われる中、メロン山の聖地を下りる狭い通路を数百人が通り抜けた。人々は滑りやすい坂道でつまずいて転倒して将棋倒しになり、45人が死亡、150人以上が負傷した。
警察はこの大事故の調査を開始したが、現在までに逮捕者は出ていない。
同委員会は、「このイベントの承認につながる決定を下し、承認された枠組みとその条件を決定した」関係者を調査する。イスラエル政府は発表した。
超正統派の有力政治家たちが、ベンヤミン・ネタニヤフ首相をはじめとする政府関係者に、この宗教行事の人数制限を解除するよう圧力を掛けたと報じられている。
専門家は以前から、メロン山の施設は、春の祝祭に集まる大勢の群衆に対処するには不十分であり、既存のインフラは安全性に問題があると警告していた。
超正統派の議員を含む、ネタニヤフ首相の政治的盟友たちは先月、調査の準備について話し合う国会の委員会公聴会を欠席した。今回の事故の犠牲者(主に超正統派)の遺族は、ネタニヤフ氏に対し、行動を起こし、今回の事故を調査する独立した国家委員会を設立するよう求めていた。
ベネット氏は、新政府の初閣議の冒頭で、「これから起きる大惨事を防ぐために教訓を学ぶ責任が我々にはある」と述べた。
「調査委員会は亡くなった人たちを連れ戻すことはできないが、政府は、人々が今後、無駄に命を落とすのを防ぐためにできる限りのことをする」と述べた。
同委員会を発足する動きを進めた閣僚の一人であるベニー・ガンツ国防相は、声明で次のように述べた。「このような悲劇が二度と繰り返されないようにしなければならない。調査委員会の目的は、何よりも命を救うことだ」
AP