

バチカン市国:教皇フランシスコとレバノンのキリスト教指導者らが1日、1990年に内戦が終結して以降最悪の危機を同国が克服する上で宗教はいかに力になれるのかを議論するため、サミットを開始した。
教皇フランシスコとレバノンのキリスト教諸団体の総大主教らは、教皇が住むサン・マルタ館からサンピエトロ大聖堂へと歩いた。
白いカソックに身を包んだ教皇と、黒い服を着た指導者らは、バジリカの主祭壇の下にある聖ペテロの墓の前で、ろうそくを灯して祈りを捧げた。
マロン派、ギリシャ正教会、アルメニア教会、シリア正教会、プロテスタント教会などが代表として参加した。
教皇と総大司教らはバシリカからバチカンの使徒宮殿にあるクレメンティナ広場へと移動し、終日司教会議を行った。教皇が演説する閉会式を含む公開式典は、2日午後に始まる予定だ。
教皇フランシスコは、レバノンの訪問を希望するものの、対立の絶えない政治家が新政府樹立で合意することを望んでいると述べている。
バチカン市国外務長官のポール・ギャラガー大司教は先週、レバノン訪問は今年の年末か来年初めに行われる可能性があると述べた。同氏は、政権が樹立されていない場合でも、訪問は可能であることを示唆した。
「キリスト教コミュニティは弱体化しており、レバノン自体の国内バランスが壊れ、中東におけるキリスト教徒の存在感が危うくなる危険性がある」と、ギャラガー氏は述べた。
首相に指名されたサアド・ハリーリ氏は、内閣の役職をめぐってミシェル・アウン大統領と数ヶ月にわたり対立している。
レバノンの3大キリスト教グループは、マロン派カトリック教会、東方正教会、メルキト派カトリック教会だ。その他にも、プロテスタント、正教会、カトリックの小規模グループが数多く存在する。
レバノンは今もなお、昨年ベイルート港で起きた大規模化学爆発事故に揺れている。この事故では200人が死亡、数十億ドル相当の損害を生じさせ、既に破綻に直面していた経済をさらに減退させた。
この危機は、国民の大部分を貧困に追いやり、1975年から1990年まで続いた内戦以降で最大の、安定性を揺るがす脅威となっている。
3度にわたり首相を務めたハリーリ氏は、政治エリートに対する全国的な抗議活動を受け、2019年に辞任した。政治エリート層は、国を危機に追いやったとしてデモ隊から非難を受けていた。
ロイター通信