• ヘルツォグ氏は「皆の大統領」になると約束し、すべてのイスラエル人が「私や我々全員に特に期待を寄せているのは、現在の風潮を落ち着かせ、炎を鎮め、事態を鎮静化させることだ」と付け加えた。
• 大統領の役割は海外要人の受け入れ等主に儀礼的な役割となるが、大統領恩赦を発効する権限を持つ

エルサレム：イツハク・ヘルツォグ氏は水曜、イスラエル第11代大統領として宣誓就任し、イスラエル社会の深い分断をつなぎ直すと誓った。

手を聖書に載せ、イスラエルの議会クネセトを前に、60歳のヘルツォグは同国の道徳的指針の役割を果たす、主に儀礼的となるポジションに就任した。

ヘルツォグ氏は「皆の大統領」になると約束し、すべてのイスラエル人が「私や我々全員に特に期待を寄せているのは、現在の風潮を落ち着かせ、炎を鎮め、事態を鎮静化させることだ」と付け加えた。

「私の使命、そして私のチームの使命は、希望を再構築するためにあらゆる手を尽くすことだ」とヘルツォグ氏は就任スピーチで述べた。

議場には就任式のための大きな白ユリのブーケが飾られた。従軍ラビらが雄羊の角笛を吹くと、児童合唱団の演奏が続いた。集まった者はイスラエルの国家を歌った。拍手の中、ヘルツォグ氏と退任するルーベン・リブリン前大統領は一緒に演壇を降りた。

「正直に言えば、私はあなたのことが少し羨ましい」と、先だってTwitterで公開されたヘルツォグ氏への書簡の中でリブリン氏は語った。リブリン氏はユダヤ人もアラブ人も、宗教者も非宗教者も、老いも若きも、イスラエルの全コミュニティの大統領になることについて「すばらしく、大いなる名誉」であると称した。

ヘルツォグ氏の父、ハイム・ヘルツォグ氏は1980年代にイスラエル大統領として7年の任期を務めている。ハイム氏はイスラエルの国連大使も務めた。

ヘルツォグ新大統領の家系には、イスラエル初のチーフラビを務めた祖父イツハク・ハレヴィ・ヘルツォグがいる。また、叔父にあたるアバ・エバン氏は外務大臣、国連大使、駐米大使を務めた。

ヘルツォグ氏は先月クネセトにより大統領に選出された。氏は労働党元党首で、国会で野党党首も務めた。2018年に政界を引退した後、イスラエル政府との緊密な連携のもとユダヤ人のイスラエル移住を促進し海外のユダヤ人コミュニティに仕える非営利団体、Jewish Agencyの代表を務めた。

イスラエル社会が深い分断下にある時に大統領に就任するヘルツォグ氏は「皆の大統領」になるつもりだと述べ、イスラエルの民主主義の保護に努めると語った。

その役割のほとんどは海外要人の受け入れ等の儀式的なものになるが、大統領は恩赦を発令する権限も持つ。汚職疑惑の裁判が進行中のベンヤミン・ネタニヤフ前大統領に有罪判決が下るようなことがあれば、恩赦も国家の課題の一部になりうる。

また大統領には、与党連合を組む政党のリーダーで議会選挙後に首相を務める者を選出する責任もある―リブリン前大統領は就任中に5回行っており、直近では3月23日の議会選挙後に行っている。

このたびのヘルツォグ氏の大統領就任は、ヤイル・ラピド外務大臣との間で連立政権の樹立で合意したナフタリ・ベネット首相の新政権が発足して１カ月も経たないタイミングとなる。ネタニヤフ氏はイスラエル史上最長の12年間首相を務めたのち退陣し、現在は野党党首を務めている。

AP