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バイデン米大統領、シリア越境支援継続が国連で決議され、外交的勝利を称える

2021年6月9日、シリアの反体制派が支配するイドリブ県で、人道支援物資の箱を運ぶ作業員。(ロイター通信/Khalil Ashawi/写真)
2021年6月9日、シリアの反体制派が支配するイドリブ県で、人道支援物資の箱を運ぶ作業員。(ロイター通信/Khalil Ashawi/写真)
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10 Jul 2021 09:07:14 GMT9
10 Jul 2021 09:07:14 GMT9
  • 国連安全保障理事会は、トルコとシリアとの国境にあるバブアルハワ検問所をさらに1年間開放することを全会一致で採択した。
  • 何百万人ものシリア人が、イドリブ県への重要な人道支援が継続されることを知り、今夜は安堵のため息をつくことができる、と米国の国連大使は語った。

エファレム・ コッセイフィ

ニューヨーク国連安全保障理事会は金曜日、400万人以上のシリア人に対し支援物資を提供する、越境人道支援活動を延長することに合意した。

ロシアが米国との妥協案に最終的に合意したため、トルコとの国境にある検問所を経由した、シリアへの援助物資輸送の支援を継続するとした決議が全会一致で可決された。ロシアは、ここ数週間に渡り、すべての援助はアサド政権を通じて行われるべきだと主張し、内戦により荒廃したシリアの人道的危機について、アサド政権に課されている国際的な制裁が原因であると非難していた。

米政府によると、国連安保理での決議後、ジョー・バイデン米大統領がロシアのプーチン大統領と会談したという。会談の中で両首脳は、「米露首脳会談後、両国のチームが連携することにより、本日の国連安保理でシリアの越境人道支援が全会一致で決議されたこと」を評価した。

バイデン大統領は、米国とロシアの間で高まっている緊張を緩和するため努力すると誓っており、シリアへの越境支援の問題は、プーチン大統領による「ストレステスト」との見方もあった。6月に行われたバイデン大統領就任後初の米露首脳会談において、ロシア越境支援の継続は米国側からの主要な要求事項であった。

首都ワシントンに所在する中東研究所で、シリア部門のディレクターを務めるチャールズ・リスター上級研究員は、ツイッターに投稿したメッセージの中で、「バイデン政権が(国連安全保障理事会の)シリア越境支援の継続を外交的な成果としていることは重要である。なぜなら、バイデン政権はこれまで継続して、シリア越境支援の進展により、シリアに関するより大きな外交的問題について、米露がより意義深い関与を行うための扉を開くと主張してきたからである」と述べた。

ロシアは当初、すべてのシリア越境活動を終了させたいと考えていた。しかしそうすると、アサド政権により配布される援助物資の越境輸送が制限されてしまう。米国とロシアの代表団が直前まで交渉を行った結果、ロシアはバブアルハワ検問所を経由した越境支援について6ヶ月間延長するという妥協案を提示した。

また、米国をはじめとする欧米諸国は、閉鎖されていた2つの検問所の再開を求めていた。トルコとの国境にあるバブ・アル・サラームと、イラクとの国境にあるアル・ヤロウビーヤである。フランスは、それらの国境検問所が今回の合意に含まれていないことに対し、遺憾の意を表明した。

採決の結果、決議第2585号として採択されたのの、その文言が曖昧であると一部懸念も示された。今回採択された決議には、バブアルハワ検問所の開放期限を1月10日まで6ヶ月間延長し、「国連事務総長による報告の提出を条件に、さらに6ヶ月間、2022年7月10日まで延長される」と定められている。

一部の専門家らは、2回目の6ヶ月延長が国連事務総長の報告書の内容を条件とするかどうかは不明であるため、再度決議が必要となる可能性があり、そうなるとロシアが報告書に異議を唱えた場合、拒否権を行使する機会を得る可能性があると指摘した。ロシアのバシリー・ネベンジャ国連大使は、今後数ヶ月の間に何が起こるかを「注意深く見守っていく」と述べた。

ワシントン近東政策研究所の客員研究員でもあるフランスの外交官、シャルル・テポー氏は、この決議文の文言を「建設的な曖昧さ」だと表現し、このように加えた。「この建設的な曖昧さのおかげで、シリア北西部のバブアルハワ検問所の越境支援をさらに1年維持する、という妥協点を見出すことができたのです。」

米国の国連常任代表を務めるリンダ・トーマス・グリーンフィールド国連大使は、「(国連事務総長の)報告書を受けてその期間は自動的に更新される」との見方を示した。「更なる決議は必要ありません。国連事務総長から報告書が提出されれば、国連安保理のすべての参加国がこれを受け入れるよう、国連安保理は国連事務総長と今後連携していきます。」

さらにトーマスグリーンフィールド国連大使は、国連安保理でこのように語った。「この決議により、明日以降も重要な人道支援がバブアルハワ検問所を経由してイドリブ県に搬入されることとなり、何百万人ものシリア人が今夜、安堵のため息をつくことができます。」「そしてシリアの親たちは、今後1年間、子供たちに食事を与えることができることを知って、今夜は眠ることができるのです。」

フランスの国連代表部は、今回の合意に対する欧州のパートナーの立場は変わらないことを強調した。フランスのニコラ・ド・リヴィエール国連大使はこう語った。「国連安保理が全会一致で採択した決議第2254号に基づき、信頼できる政治プロセスがしっかりと進行していない限り、我々は復興のための資金援助は行わず、制裁も解除も行いません」と述べた。

「また、政治的解決に向けた進展がない場合、シリアの体制強化に寄与するような開発に対する取り組みにも融資を行いません。」

「今回の決議は、この問題に対する我々のこれまでの立場を変えるものでは決してありません。」

アントニオ・グテーレス国連事務総長はこの決議を歓迎したものの、同事務総長の報道官を務めるステファン・ドゥジャリク氏は、シリアの人道的支援に対するニーズは 「供給される支援を引き続き上回っている」と述べた。

さらにドゥジャリック氏はこのように加えた。

「国境検問所が新たに解放され、資金がさらに拡充すれば、国連は増え続ける支援を必要とする人々に対し、更なる支援を提供することができます。」

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