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絶滅危惧種のクマがレバノンを離れて米動物保護区へ

ホーマーとユリシーズは、ティルスの動物園に10年以上閉じ込められてきた。(提供)
ホーマーとユリシーズは、ティルスの動物園に10年以上閉じ込められてきた。(提供)
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25 Jul 2021 05:07:27 GMT9
25 Jul 2021 05:07:27 GMT9
  • シリアヒグマは、レバノン、イラク、シリア、トルコに生息していたが、レバノンでの密猟や乱獲のために絶滅しつつある。

ナジャ・フーサリ

ベイルート:レバノンの動物園の劣悪な住環境で危険にさらされていた2頭のヒグマが、体重が減少し始めるなどの健康上の問題が現れたことから、米国の動物保護区へと空輸された。

動物愛護団体『アニマルズ・レバノン』が、クマたちの状態が悪化していることを踏まえ、「彼らはもっと良好な状態でいる権利がある」と所有者を説得したのだという。

近年最悪とされるレバノンの経済危機は、人間だけでなく動物たちにも影響を与えている。

ドル為替レートの急騰で餌を与えることができず、多くの家庭がペットを見捨てている。動物園も影響を受け、動物は栄養不足となり、所有者たちは最低限必要なことも満たしてやることができなくなっている。

『アニマルズ・レバノン』によると、ホーマーとユリシーズと名付けられた2頭のシリアヒグマは、レバノン南部のティルス市の動物園に10年以上閉じ込められてきたという。

「レバノン北部のベカーとベイルートにも、救出を待っているクマがあと6頭います」と同団体事務局長のジェイソン・ミエ氏はアラブニュースに語った。

クマたちをコロラド野生動物保護区へ送る試みは、これまで、感染症拡大、道路封鎖、銀行の資産凍結や、保護区の受け入れ承認を得るのに時間がかかるなどの理由から、うまくいかなかった。

同保護区では、ライオン、トラ、クマ、オオカミを始めとする650個体以上の動物たちを保護しており、その中には、『アニマルズ・レバノン』が救出したキツネとワラビー各1個体も含まれる。

動物福祉団体の『フォー・ポーズ』が、コロラド州までの空輸費の負担を申し出た。

ミエ氏は次のようにいう。「レバノンには、私たちが認識している6つの動物園があります。2017年に私たちは、動物園を規制する動物保護福祉法を成立させました。これらの動物園には、絶滅危惧種の野生動物、現地の野生動物、家畜やペット動物などがいます。ライオンは30頭ほど、クマとトラはそれぞれ10頭ほどいます。どの動物園についても、大幅な状況改善が必要だと考えています」

レバノン自然保護協会事務局長のアサド・セルハル博士がアラブニュースに語ったところによると、シリアヒグマは、レバノン東部のシリアとの国境付近の山岳地帯で見られる絶滅危惧種であるという。

2019年にある環境活動家が、ベカー高原のエルサル郊外の道路で遊ぶ子供のヒグマをフィルムに収めた。これ以前の2017年にも、同じ子ヒグマが、同じ地域で母親のヒグマと一緒にいるところを目撃されている。この種がレバノンで目撃されたのは50年ぶりのことであった。

シリアヒグマは、レバノン、イラク、シリア、トルコに生息していたが、レバノンでの密猟や乱獲のために絶滅しつつある。

レバノンには数種の野生動物が生息するが、そのほとんどが全国の動物園所有者によって捕獲されてしまうのだとセルハル氏はいう。

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