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モロッコからスーダンまで、北アフリカは壊滅的な新型コロナの新たな波に立ち向かっている

チュニジアの首都チュニスにあるエルメンザ・スポーツホールで、医療従事者が、ファイザー社/バイオンテック社の新型コロナウイルスワクチンの接種を受けに来た高齢女性を助けている。(AFP/資料写真)
チュニジアの首都チュニスにあるエルメンザ・スポーツホールで、医療従事者が、ファイザー社/バイオンテック社の新型コロナウイルスワクチンの接種を受けに来た高齢女性を助けている。(AFP/資料写真)
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01 Aug 2021 08:08:53 GMT9
01 Aug 2021 08:08:53 GMT9
  • 壊滅的な影響を及ぼす第3波の中、北アフリカ諸国の新型コロナウイルス封じ込めの成功の度合いはさまざまだ
  • ワクチン接種の遅れ、ロックダウン疲れ、デルタ株の感染拡大で、医療システムと経済は限界に達している

ジュマナ・アル・タミミ

ドバイ:インドで初めて確認された、感染力の強い新型コロナウイルスのデルタ株はその後、約100カ国で検出されている。デルタ株によって感染症の新たな波が起こり、渡航制限が課され、ワクチンの有効性に対する懸念が高まっている。

とりわけ大きな打撃を受けているのは北アフリカ地域だ。北アフリカではロックダウンで経済的混乱が起きたため、ワクチン接種が遅れているにもかかわらず、政府は不本意ながら国境やビジネスを再開せざるを得なくなっている。

人口1169万人のチュニジアは、2020年3月にパンデミックが宣言されて以来、感染者58万2638人、死者1万9336人が報告されており、ナミビア、南アフリカ、ウガンダ、ザンビアと並んで、アフリカで最も被害の大きい国の一つとなっている。

医療システムの崩壊と厳しい経済的困難は、集団での抗議運動を引き起こした。そして次にチュニジアは政治危機に陥っている。

戦争で荒廃したリビアでも、この1カ月で新型コロナの感染者が驚くほど急増している。リビアでは、類似した機関を持つ2つの政治権力の中枢が存在しているため、対応やワクチン接種がばらばらで遅れている。

リビアの疾病対策センター(NCDC)は7月25日、3845人の新型コロナ新規感染者を記録した。その時点で、パンデミック発生以来、1日の感染者数としては過去最多だった。

リビアは約24万6200人の感染者と3469人の死者を記録しているが、検査および検査室の処理能力が著しく不足していることを考えると、実際の数ははるかに多い可能性がある。

リビアのユニセフ特別代表であるアブドルカディール・ムッセ氏は声明で「我々はリビア国内でコロナウイルスが急速に広がっていることに不安を感じている」と述べた。

モロッコ当局が完全封鎖を宣言した後の2020年6月9日、モロッコの地方自治体の職員が、南部の港湾都市サフィーの閉鎖された通りにある家の外で消毒を行っている。(AFP/資料写真)

「ワクチン接種率が非常に低く、広まるのが速い。我々はより迅速に対応しなければならない。新型コロナウイルスおよびその変異株の拡大を阻止するために我々ができる最も重要なことは、対象となっている全ての人が確実にワクチンを接種することだ」

「2回のワクチン接種を終えた人が多い国では、入院率と死亡率を大幅に下げることができている。我々はまた、予防措置に従って遵守する必要がある」

「B.1.617.2」という学名でも知られるデルタ株がインドのマハラシュトラ州で初めて検出されたのは2020年10月だったが、世界保健機関(WHO)によって「懸念される変異株」(VOC)に分類されたのは今年の5月11日だ。

デルタ株は、それ自体が多重突然変異の産物であり、2020年11月に英国南部で出現した初期の変異株であるアルファ(もしくはケント)株よりも感染力が60%高いと考えられている。

英国を含む多くの国では現在、デルタが優勢な株になっている。デルタ株は従来株よりも重篤な症状を引き起こし、医療サービスにさらなる負担をかけると考えられているが、致死率が従来株より高いことを示す十分なデータは、現時点ではない。

勇気づけられるのは、ワクチンの有効性に関するデータだ。英イングランド公衆衛生サービスの調査で、ファイザー社のワクチンは1回の接種で94%、2回の接種で96%の入院予防効果があり、アストラゼネカ社のワクチンは、1回の接種で71%、2回の接種で92%の効果があることが分かった。

英国のようにワクチン接種率が高い国はこれで問題ない。しかし、北アフリカのアラブ諸国を含む発展途上世界の国々ではワクチン接種が遅れているため、ウイルスに対する予防策が限られている。

これらの国々ではデルタ株が甚大な被害をもたらしている。病院は過度の負担をかけられ、霊安室は場所が足りなくなっている。

アフリカ全体では最近、新型コロナの1週間の死者数が43%増加した。入院患者が急増し、各国は酸素とICUのベッドの不足に直面している。

モロッコのカサブランカにあるアフリカ大陸最大級のモスク「ハッサン2世モスク」で、マスクを付けた職員が、礼拝に来たイスラム教徒の体温を測定している。(AFP/資料写真)

WHOによるとアフリカ大陸では、3月にワクチン接種を開始して以来、約5200万人がワクチン接種を受けたが、完全に接種を済ませたのは1800万人だけで、これはアフリカ大陸の人口の1.5%だ。一部の高所得国では50%以上だ。

人口約6000万人の南アフリカは、パンデミックが始まってから、242万2151人の感染者と7万1431人の死者を記録している。人口1人当たりの死者数では、チュニジアがこの地域でトップだ。

しかし、この地域全体の状況は一様ではない。現在までのところ、ワクチン接種を完全に済ませた人の割合はエジプトでは1.63%、アルジェリアでは1.68%だが、モロッコでは27.68%、チュニジアでは8.24%だ。スーダンで2回接種した人はわずか0.43%で、リビアのデータはない。

カイロにあるWHO地域事務所の感染性ハザード管理部門の責任者であるアブディナシル・アブバカル氏は、アラブニュースに対し、「国によって疫学的状況が異なるため、北アフリカ全体をひとくくりにして論じることはできない」と話した。

「ワクチン接種に多大な投資をしており、それが功を奏している」国もあれば、ウイルスのまん延を遅らせるための公衆衛生対策に注力している国もある、と同氏は話した。

「モロッコは、他の多くの国と比べて、より多くの人にワクチンを投与するという点において、多くの投資を行って大きく前進したと思う。感染者は以前の波と比べると非常に少ないので、モロッコに関してはあまり心配はいらないと思う」とアブバカル氏は話した。

2021年7月24日、リビアの首都トリポリの「殉教者広場」に建てられた仮設の新型コロナウイルスワクチン接種・検査センターの外で、到着した人たちが列を作っている。(AFP)

それにもかかわらず、モロッコでは5月中旬以降、感染者が着実に増加しているため、政府は非常事態宣言を8月10日まで延長すると発表した。

モロッコの保健当局は既に高年齢層への接種を完了しており、今は30歳以上の人たちにワクチンを提供している。しかし、社会的距離の確保などの衛生規則が遵守されていないようだ。

「カサブランカでは多くの人がマスクをしていたが、他の物理的、社会的距離の確保を遵守していなかった」とウム・アハマドさんは話した。アハマドさんはモロッコに住む親戚を訪問し、最近ドバイに戻った。

「通りや市場には、いつものように人だかりができていた。フェスを訪れたときには何の予防措置も取らずに普通に生活している人たちを見た。親戚に『我々は違う星にいるのか』と聞いたほどだ」

新型コロナウイルスに感染したチュニジア人女性が、東中部の都市ケルアンにあるイブン・アル・ジャザール病院で酸素を吸入している。(AFP/資料写真)

デルタ株の感染拡大を阻止するために国境を閉鎖することを決めたアルジェリアには新たな緊急課題がある。病院で重症患者を治療するための酸素が不足しているため、政府は酸素ボンベの配給を監督する特別部署を設置することを余儀なくされている。

エジプトでは最近、新型コロナウイルスの感染者数が減少している。当局者が記録している1日あたりの新規感染者は70人以下で、死者は10人以下だ。余った医療用品一式をチュニジアに送り始めたほどだ。

しかし、エジプトでも国民の社会的距離の確保の遵守は不十分だ。ドバイで働くエジプト人のエマン・アミールさんは5月に病気の母親を見舞うためにカイロを訪れたが、ウイルス封じ込めに対して国民の気が緩んでいることにショックを受けたという。

彼女はアラブニュースに対し、「コロナで死んでも構わないと思っている人たちは、既に不安定な立場に置かれていて、失うものがほとんどないと思っている人たちだ」と、パンデミックの規制の影響を最も受ける契約社員やインフォーマル・セクターの労働者に言及して語った。

隣国スーダンでは、特に紅海州の州都である東部の都市ポート・スーダンで感染者が急増している。

WHO東地中海地域事務所の感染性ハザード管理部門の責任者、アブディナシル・アブバカル氏(提供)

同州の緊急疫病対策部門の責任者であるアハメド・ドレイヤー博士は、デルタ株の感染拡大を抑制をするのを助けるため、政策の分野では「サーキットブレーカー」と呼ばれている、3週間のロックダウンを実施するよう当局に求めている。

ドバイで家族と暮らしている若いスーダン人女性ハナさんによると、スーダンでは多くの人がコロナウイルスが存在することすら信じていないという。誤情報が広まった結果、そうなったようだ。

「人々は気がかりな問題をたくさん抱えている。それらに加えて、パンデミックの心配までしたくないのだ」とハナさんは話した。

「彼らは生活費を稼いで、食卓にパンを並べて、普通の生活を送ろうとしている」

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Twitter: @jumanaaltamimi

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