
エルサレム:米中央情報局(CIA)のウィリアム・バーンズ長官は10日にイスラエルを訪問し、共通の敵であるイランについて協議する予定だ。高まる緊張は、歴史的な核合意の再建に関する協議に暗い影を投げ掛けている。
ナフタリ・ベネット首相の報道官は、イスラエルで行われるバーンズ長官の協議の議題の詳細を明らかにしなかった。
しかしニュースサイト「Walla」は、バーンズ氏はベネット首相、イスラエルの諜報機関の長官であるデビッド・バルネア氏の両名と、イランの核開発や中東での活動について話し合うだろうと報じた。
バーンズ氏はイスラエルに占領されているヨルダン川西岸のラマッラーにも赴き、パレスチナのマフムード・アッバス大統領と諜報機関の長官であるマジェド・ファラジュ氏と会談するだろう、とWallaは報じている。
今回の訪問は、アナリストらが「影の戦争」と呼ぶもののさなかに行われる。「影の戦争」では、イラン、イスラエルと関係がある船舶への攻撃が相次いでいる。
先月、イスラエルの関わるゾディアック・マリタイム社が運営する石油製品タンカー「マーサー・ストリート」がオマーン沖でドローンに攻撃され、乗組員2人(英国人とルーマニア人)が死亡した。
米軍が、攻撃を行ったドローンはイランで作られたものだとする調査結果を発表したため、G7外相は6日、非難の矛先をイランに向けた。
イランはこの主張を退けた。
キャリア外交官だったバーンズ氏は、イランと主要国との間で締結された2015年核合意につながった米・イランの関係改善において重要な役割を果たした。
イスラエルから強力な支援を受けたドナルド・トランプ大統領(当時)は、2018年に核合意を破棄し、イランへの厳しい制裁を再開した。
しかし、トランプ氏の後を引き継いだジョー・バイデン政権は、核合意への復帰に関するイランとの間接協議を何度も行っている。
AFP