アルジェ:アルジェリア北部一帯で何日にもわたり猛威をふるっている森林火災に対し、13日(金)、消防隊員たちが前進を見せた。しかし、犠牲者に対し全国的に祈りが捧げられるなか、国の対策がひどく不十分だったことへの怒りが強まっている。
軍の工兵と民間のボランティアの支援を受けた消防隊は、16県にわたる51件の森林火災と今も格闘している、と緊急対策部は述べたが、もっとも被害の大きいティジ・ウズ県では3件を残すのみとなった。
首都アルジェの東方、地中海沿岸に広がるベルベル人が多数を占めるカビリー地方のもう1つの県であるベジャイアや、チュニジアと国境を接する過疎地域のエル・タルフ県をふくむいくつかの地域では、今も火災が続いている。
最新の公式死者数によると、9日(月)以来、少なくとも71名が死亡した。当局は、火災の多くは「犯罪に起因する」ものであると述べている。
ティジ・ウズ県では、村全体が破壊され、段々畑の果樹園は焼け焦げた木々や灰と化した。季節的な現象がこれほど被害の大きい大惨事となったことに、疑いが残った。
「カビリー地方の火災の中心地ラルバ・ナス・イラテンでは、専門家たちは回収された25の黒焦げになった遺体のうち、19名しか身元を確認できていません」とアルジェリア人権擁護連盟の副議長のサイード・サルヒ氏はAFP通信に話した。
「人々は今も愛する家族を探しています―苦しみがどんどん積み重なるだけです」
ラルバ・ナス・イラテンは、その景色で有名なカビリー地方の山岳地帯の奥地の20数個の村々の交易の中心地となっている。これらの村々のすべてが、火災によって破壊されるか損害を受けるかした。
「恐ろしいことです―他に形容する言葉はありません」と、ドゥジャメルとのみ名乗った60代の村民男性はAFP通信に電話で話した。
「政府にとって一番のルールは、準備をしておくことです。この国以外では。ここではいつも、大災害が起こって損害をこうむるまで、何もしないのです」
別の村人モハンドさんは、家族の避難場所を見つけるためにアルジェまで車で行き、その後手伝うために戻って来た。
「今までの人生でこのようなものは見たことがありませんでした」と彼は話した。「すべてを、完全にすべてのものを失った家族たちもいます」
「今も、こげた肉の匂いがします。耐え難いものです。消え去らないのです」
ティジ・ウズ県の田舎の多くの郡では、電気、ガス、電話が止まったままになっている。
アイン・エル・ハマム村のガソリンスタンドが爆発して家族5人が死亡したことによって、地域の他の多くのガソリンスタンドがポンプのスイッチを切り、車両を運転する人々は燃料を見つけるのに苦労している。
アルジェリアでは、火災の犠牲者のための国家的な服喪期間の2日目を迎え、金曜日の毎週の礼拝の後にモスクで祈祷がおこなわれた。
季節的な森林火災はアルジェリアでは珍しいものではない。しかし、今回は、北アフリカと地中海地域の広い部分における熱波がもたらした極度に乾燥した状況の中、強い風が火の回りを速くした。
気象学者たちは、この地域の熱波は今週終わりまで続くと予測しており、アルジェリアでは気温が摂氏50度に達した。
フランスや他の国々は、消防飛行機をふくむ支援を申し出ている。
アルジェリアにおける今年の火災による死者数は、他の地中海沿岸諸国全部の合計よりもはるかに多く、火災の防止と制御のために投資することを怠った歴代政府に対する批判の高まりを招いた。
バーブ・エズワー大学の研究部長のアブドルクリム・シェルゴウム氏は、アルジェリアは、2000年代初めに国を襲った一連の大きな災害から学ぶことに失敗したと話した。
整備しなくてはいけない方策を詳述した法律が2004年12月に採択されたが、その対策が実行に移されることはなかったと彼は話した。
「森林道路がないため、防火帯がないため、消火栓がないため、緊急対策部は、現場で苦闘しています」とシェルゴウム氏は述べた。
「石油とガスのおかげで、アルジェリアには長年にわたり、棚ぼた式に大金が入ってきました。不幸なことに、役人たちは…何もしなかったのです」
「政治的な意志があったなら、私たちはもっとよく準備できていたことでしょう」