
アルジェリア・ベジャイア:アルジェリアの山火事が村の周辺の森を焼き尽くした時、ケラフとリアジッドのタジブト兄弟は、家族を玄関から避難させるので精一杯だった。住んでいた家は炎にさらされた。
定年退職を迎えたこの2人とその妻や子供たちも含め、数百人のアルジェリア人が家を失った。先週アルジェリア北東部を襲ったこの史上最悪の大規模火災により、数十人が亡くなった。
「あの炎を見た誰もがそうだったように、何もできませんでした。みんな諦めていました」とケラフ・タジブト氏(55歳)は、焼けてしまった一階建ての自宅の一室で語った。壁はひび割れ、すすで真っ黒になっていた。
タジブト氏は割れた皿や火事で変形した家財を手に取り話した。「消防隊の到着が間に合わず、彼らにもどうすることもできませんでした」
弟のリアジッド氏は、「火は空まで届いた」と言う。
北東部ベジャイア州にある彼らの村、アイト・シッド・アリは、岩山の中にあり、以前は森に囲まれていた。
タジブト家は村の端にあり、森の側にあった。炎に焼かれた数ある家の一つだった。
今月、欧州連合(EU)の大気モニタリング機関は、熱波の影響でトルコ、ギリシャ、北アフリカの森林が大規模な火災に見舞われ、地中海は山火事のホットスポットになっていると発表した。
アイト・シッド・アリを突然襲った火災では、4人が死亡したという。周囲の丘は焼け焦げた木で埋め尽くされているが、村の奥の別の丘は、激しい炎から出る煙で暗くなっている。
ケラフ氏とリアジッド氏の2家族は、政府による補償と住宅の再建を待つ間、地元の支援団体から食料や薬、毛布などの提供を受けている。
「私たちはすべてを失った」とリアジッド・タジブト氏は家の焼け跡を見ながら言った。
ロイター