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シリア難民らは帰還後虐待や拷問を受けている:アムネスティ報告

2018年6月28日のこのファイル写真には、シリア難民が車両に集まって、レバノン東部の国境の町アーサルからシリアへ入国しようとしている様子が写る。(AP)2018年6月28日のこのファイル写真には、シリア難民が車両に集まって、レバノン東部の国境の町アーサルからシリアへ入国しようとしている様子が写る。(AP)
2018年6月28日のこのファイル写真には、シリア難民が車両に集まって、レバノン東部の国境の町アーサルからシリアへ入国しようとしている様子が写る。(AP)2018年6月28日のこのファイル写真には、シリア難民が車両に集まって、レバノン東部の国境の町アーサルからシリアへ入国しようとしている様子が写る。(AP)
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07 Sep 2021 07:09:34 GMT9
07 Sep 2021 07:09:34 GMT9

ベイルート:アムネスティ・インターナショナルの9月7日(火)によると、帰還した多数のシリア難民が、シリアの治安部隊の手で拘留、行方不明、拷問といった仕打ちを受けており、シリアのどの地域であっても、戻るのはまだ安全と言えない。

「死に向かって行く」と表題のついた報告の中で、この国際人権擁護NGOアムネス  ティ・インターナショナルは、2017年中旬から2021年春までの間に子供13人を含む66人のシリア帰還者に対して、シリアの諜報員らが暴力行為を働いていると記載されている。それらの事件のうち5件では、内乱によって引き裂かれた祖国へ戻った後に抑留されて死亡しており、また一方では、強制的に連行された17人の行方が分かっていない。

多くの国がシリアの一部の地域は戻っても安全だと言っているが、この報告書はそれらに強く反論している。特に、保護を制限してシリア難民に国へ戻るよう圧力をかけているデンマーク、スウェーデン、トルコを非難している。

また、対人口比で最大数のシリア難民を受け入れているレバノンとヨルダンについても非難している。

レバノンとトルコでは、多くの難民たちが悲惨な生活状態と差別に直面しており、政府がシリア人に国へ戻るよう圧力をかけている。トルコは過去2年間に、多数のシリア人を強制送還したとも報道されており、一時は内乱を逃れてきた何百万人ものシリア人に門戸を開いていた国で、今では難民たちに対する反感が高まりつつある世情を如実に映し出している。

デンマークとスウェーデンは今年上旬、一部のシリア難民の在留許可を失効させ始めており、シリアの首都ダマスカスとその近隣地域はもう安全だと主張している。

そのような見解に同意する専門家はほとんどいない。治安状況は、政府の統制下にある地域や、かつて反乱軍によって制圧されていたシリア中部の多くの地区で安定してきてはいるが、強制徴兵、無差別拘留、強制連行が継続的に行われていると報告されている。さらに、居住地区全域が破壊されて、多くの人々が戻る家を失っている。水道・電気などの基本サービスも乏しいか全く手に入らない。

「シリアはもう安全だと訴える政府はすべて、現地におけるこの悲惨な現実を意図的に無視しており、難民らを再び生命の危機に陥らせている」とアムネスティ・インターナショナルの難民・移民人権調査官マリー・フォレスティア氏は言う。彼女によると、軍による敵対行為はシリアの大半の地域で下火となってきたかもしれないが、シリア政府の「言語道断たる人権冒涜の傾向は変わっていない」という。

シリア政府とその支援国ロシアは、シリア難民たちに対して公然と帰還するよう呼びかけており、シリアはまだ安全ではないと主張してそれを阻んでいる西欧諸国を糾弾している。

アムネスティ・インターナショナルはその報告書の中で、ヨーロッパ諸国の政府に対し、直接的・間接的にシリア国民を帰還させようとする働きかけを直ちにやめるよう要請した。また、多数のシリア難民の一群を抱えている近隣諸国レバノン、トルコ、ヨルダンにも、彼らの国際的な責任において、強制送還や何らかの形で帰還を迫る行為から難民たちを保護するよう呼びかけている。

アムネスティによると、シリア当局は、単にシリアから逃れたということを理由で帰還者を標的とし、反逆罪や「テロリズム」への加担として非難するケースがあるという。

シリア政府は、人権的虐待の訴えを嘘偽りとして日常的に却下している。

報告書には、2017年中旬から2021年春までの間にレバノン、ルクバン(ヨルダンとシリアとの国境沿いの非公式居留地区)、フランス、ドイツ、トルコ、ヨルダン、アラブ首長国連邦からシリアへ帰還した難民に対してシリア政府がはたらいた深刻な違法行為が記述されている。それらは41名のシリア人とのインタビューを根拠とするもので、41名には帰還者とその親戚・友人、弁護士、人権擁護関係者、シリア専門家などが含まれている。

違法行為には、レイプその他の性的暴力、人権侵害、独断的または違法拘留、拷問、その他の虐待が含まれていると報告書に記載されている。

シリアの10年戦争ではおよそ50万人の国民が死亡し、560万人が難民として近隣諸国をはじめとする海外へ逃れている。

AP

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