
ベイルート: レバノンの新内閣の未曾有の経済危機からの脱却を目標とする一連の政策は月曜日、電力不足による停電により国会の開幕は遅れたが、議会で承認された。
ナジーブ・ミカティ首相が掲げる政策は、IMF国際通貨基金との交渉再開と、必要性に迫られる海外からの援助を可能にするために支援者たちが求める改革に着手することを約束するものだ。
国会がようやく開幕すると、電力供給の遮断があるためナビーフ・ベッリ議長はミカティ首相に対して演説は手短に済ませることを求めた。国際通貨の保有が底をついて以来、全国的な燃料危機は日常生活に様々な支障をきたしている。
「希望の見えない暗闇に灯りを点すために(中略)苦しむベイルートの中心からこの内閣は誕生した」とミカティ氏は政策を列挙しながら語った。
シーア派アマル運動の代表であるベッリ氏は「全てを読み上げるのに労力を使うのはやめましょう。電力の問題があるので時間を節約しましょう」とスンニ派イスラム教徒である首相に諭した。
ユネスコ宮殿で開かれた月曜日の国会の開幕は停電により約1時間延期された、と議会のアドナン・ダヘル書記長はAFPに語った。
SNSに広まる動画には電力の復旧まで議員たちが建物の外の中庭に集う様子が収められている。
テイムール・ジュンブラート議員は「これは恥ずかしい事態だ」と話し、「国家とは言い難い」と記者に対して語った。
深刻な不況から抜け出すことができないレバノンでは燃料が不足し、国から電力供給がある日でもそれは数時間しか続かず、人々はもっぱら民間が運営する発電機に電力を頼っている。
内閣の政策を8時間という長時間を通しで議論した後、ベッリ議長が発表した投票結果によると議員85名が閣僚名簿を承認、15名が否認したという。
大富豪の実業家であるミカティ氏には経済の安定化に向けて複雑な道のりが待っている。
「手始めはIMFである。これは選択肢ではなく必ずやらなければならないことだ」と彼は投票に先立って行われた演説で述べていた。
海外からの支援を可能にし、経済を立て直すためには、新内閣は多くの先任者たちが失敗してきた汚職や浪費の根絶といった政治的に困難な改革に成功しなければならない。
来春には議会選挙が予定されており、その結果を踏まえて再び組閣が行われるため、ミカティ氏が成果を挙げることに懐疑的な見方も少なからず存在するが、一方で危機的状況の深刻さからいくらかの改革が実現するという見方もある。
1年間にわたる閣僚ポストの奪い合いによる政争で危機的状況はさらに深刻化し、ようやくミカティ氏の組閣が合意された。
内閣による一連の政策の草案では、前政権が打ち立てた金融再生計画をもとに新たな計画を策定することになる。前政権は金融システムの不足額をIMFも承認する約900億ドルと見積もっていた。
当時の計画はレバノンの政党有力者と銀行家たちによって打ち砕かれ、昨年IMFとの交渉が決裂する結果となっていた。
レバノンの金融システムは2019年末に崩壊した。その元凶は政府支出の浪費と持続不可能な資金調達の仕組みが数十年続いたことにある。
ミカティ氏はレバノンのアラブ社会での復権を掲げているが、イランを後ろ盾とするシーア派組織ヒズボラが電力不足緩和のためのイラン産燃料油第一便の輸入に先週成功する中で、複雑な舵取りに迫られている。
ミカティ内閣にはヒズボラが支援する閣僚が含まれるが、ミカティ氏は先週金曜日、イラン産燃料の輸入は国の主権を侵害する行動であると語っていた。
(ロイターおよびAFPとともに)