
ナジャ・フーサリ
ベイルート:レバノン軍はいくつかの地域、特にベイルート南部郊外から部隊を撤退させた。軍の声明によれば、今回の移動は軍の経済的負担の軽減を企図している。
同国の経済破綻により、レバノン軍は苦境にあえいでいる。レバノン軍のジョセフ・アウン司令官は3月に行った、物議を醸した演説の中で「兵士たちは国民と同様に困窮している。兵士の給与の価値は下落し、皆と同じように飢えている」と訴えた。
アウン司令官は現在、トルコを訪問中で、24日にトルコ軍のトップや他の高官と会談し、装備・機器の補給など後方支援を要請した。
さらに9月の終わりにワシントンを訪問し、直接アメリカに援助を要請してレバノン軍への軍事支援の約束を取り付けたい考えだ。
ここ数か月、レバノン・ポンドの下落により、兵士の給与価値が月当たり60ドル相当まで急落したことで、脱走する兵士も現れた。司令部は脱走兵の数は限定的だと主張している。
ベイルート南部郊外の住民は軍が地域の検問所から部隊を引き上げたことに驚いた。レバノン軍の部隊は、この地域がダーイシュの犯行とされる爆弾攻撃の標的とされた2013年からここに駐留している。事件はシリア内戦、およびヒズボラのバッシャール・アサド政権への関与と関わりがあるとみられている。
レバノン軍司令部は24日「引き続き全地域に監視所を設置し、パトロールを行い、治安任務を実施する」と強調した。
一方、2020年8月のベイルート港での爆発事件の被害者家族数十人は、爆発事件の調査に当たっているタレク・ビタル判事への政治的圧力に抗議して、首都ベイルートで集会を開いた。
ビタル判事は最近、ヒズボラから脅迫を受けた。また24日、元内務大臣で事件の責任を追及されているノハド・マクヌーク氏の代理弁護士が、ビタル判事を事件の調査から外すよう申し立てた。
もし、ビタル判事が解任されることになれば、調査担当者を解任される2人目の判事となる。前任のファディ・サワン判事と同様に、ビタル判事も爆発事件に関連して、元首相や閣僚、情報機関高官らに召喚状を発行している。
マクヌーク氏はレバノンのスンニ派最高権威機関ダル・ファトワ(Dar Al-Fatwa)を訪問して演説を行い、ビタル判事がサリム・ジュライサティ氏の指示を受けていると主張した。ジュライサティ氏はジブラーン・バシール氏率いる自由愛国運動のメンバーであり、バシール氏の義理の父であるミシェル・アウン大統領の顧問を務めている。
マクヌーク氏は尋問に現れなかったハッサン・ディアブ元首相に、ビタル判事が召喚状を発して出頭を命じたことに対して警告を行った。ディアブ元首相も爆発事件の責任を問われている。マクヌーク氏はビタル判事が憲法や法令、論理に基づかない政治活動を行っていると批判した。
これに先立ち、ヒズボラ書記長のハッサン・ナスラッラー氏もビタル判事を政治的だと非難していた。
同じく事件の責任を問われている元閣僚のユセフ・フェニアノス氏は調査の担当をビタル判事から別の判事に交代させるよう要請した。
ビタル判事への圧力は24日にさらに強まった。ジャアファリ・ムフティ・シェイク・アフマド・カバラン師は金曜日の説教の中で「火遊びは許されない。調査において何が行われているのか。…捏造への疑念は強まり、ビタル判事への解任要求も高まっている。この国は汚職であふれている」と述べた。
24日の大統領との会談の後、マロン派総主教のビシャーラ・ブトロス・アル・ライ氏は「宗派は司法に関与すべきではない。レバノンは政教分離を旨とする国だ」と述べた。