ラマッラー:数十人のイスラエル人入植者がヨルダン川西岸地区にあるパレスチナ人の村を襲撃した。入植者は車や家に石を投げつけ、パレスチナ人の幼児を含む数人が負傷した。人権活動家らが29日に伝えた。
イスラエルの人権団体は28日の襲撃を映した映像を公開した。映像には、上半身裸でスカーフを顔に巻いた数人の入植者が、次々と家や車に石を投げつける様子が映っていた。イスラエル軍は入植者の間に立っていたが、入植者を止めるために何か行動を起こす様子はなかった。
イスラエル軍は、情報収集中だとしてこの件に関するコメントを控えた。
地元のパレスチナ人活動家、サミ・フレイニ氏は、イスラエル人入植者の集団がムファカラ村の近くでパレスチナ人の羊飼いを襲い、羊4頭を殺したと述べた。その後、入植者の集団は村を襲撃し、住民を棍棒や石で攻撃したという。
フレイニ氏によると、4歳の男の子、モハメド・バクル君が頭に怪我をして入院した。
イスラエルの人権団体「ベツェレム」は、襲撃の様子を撮影した映像を公開し、同様の説明を行った。
ベツェレムによると、イスラエル軍はパレスチナ人住民に催涙ガスを発射し、少なくとも1人のパレスチナ人を逮捕した。映像には、イスラエル軍の兵士が襲撃の様子を撮影していたパレスチナ人に催涙弾を投げつけ、その後、彼を突き飛ばす様子が映っている。
1967年の戦争でイスラエルが占領したヨルダン川西岸地区には、50万人近くのユダヤ人入植者が住んでいる。
ヨルダン川西岸地区には250万人以上のパレスチナ人が住んでおり、パレスチナ人は同地区を将来のパレスチナ国家の主要部分とすることを望んでいる。
120以上の政府公認入植地に加えて、より過激な入植者たちがヨルダン川西岸地区の農村部に数十箇所の前哨入植地(アウトポスト)を設けている。イスラエル政府は前哨入植地の撤去には消極的だ。前哨入植地の撤去は通例、入植者と治安部隊の間で衝突を引き起こすからだ。パレスチナ人と国際社会は、すべての入植地は違法で、平和の妨げになると考えている。
ベツェレムによると、今回の襲撃に参加した入植者は、近くにある2つの前哨入植地、アビガイルとハバットマオンから来ていたという。最近、この地域では入植者による襲撃が立て続けに起きている。ベツェレムや他の人権団体によると、イスラエル軍は入植者による暴力を見て見ぬふりをしたり、パレスチナ人との衝突で入植者側についたりすることが多いという。
AP