アルジェ：実施反対が叫ばれている12月12日の選挙を前に支配エリート層とこれに対抗する人々との間の緊張が高まっている。ある東部の町の住民らによると水曜の夜遅く、この町で大統領選候補者に対する抗議デモを行う若者たちと治安維持警察の間に乱闘が起きた。

今年に入りアルジェリア全土では毎週平和的な大規模抗議デモが行われている。4月に長年大統領職にあったアブデルアジズ・ブーテフリカ大統領が辞任したが、その後も他の保守派指導者層の退陣を求めデモは続いている。

2月の大規模デモ開始以来、デモ参加者も警察もおおむね暴力に訴えることは避けてきた。

デモ参加者は、ブーテフリカ氏支持者らが権力の座にとどまり、軍部が政治に関わっている限り公正な選挙は行われないとして、ブーテフリカ氏の後任を選ぶ選挙の実施に反対している。

今月に入り公式選挙戦が始まったが、以来抗議デモ参加者は増え続け、当局に拘束されるデモ参加者も増えている。

水曜日、アルジェの東100kmにあるブイラでは数百人のデモ参加者がアリ・ベンフリス候補者の選挙活動を妨害した。

デモ参加者らが集会室を取り囲み、支配階級をギャングと呼び「ギャング選挙反対！」と叫ぶ中でデモ参加者と治安維持警察との間で乱闘が起きた。

地元住民によると数人のデモ参加者が負傷した。ブイラ住民アクリ・サイード氏は「今朝は静かです」と述べた。サイード氏によると数人のデモ参加者が逮捕されたということであるが、これについて司法省からは何の発表もなかった。

アルジェリアで最も強い権力を握る軍は、危機に終止符を打つ唯一の解決策は選挙であると繰り返し述べている。

汚職に関わったとして服役中のブーテフリカ時代の主要政治家は数十人にのぼる。その中には首相経験者2名、大臣12名、諜報部門トップ2名、上級将軍らも含まれている。

投票率が低水準にとどまれば、アルジェリア次期大統領が経済を改革し、石油・ガス輸出への依存からの脱却による多様化を進めるために打てる手は非常に限られたものになるだろう。

アルジェリア経済の柱は石油収入であるが、2014年以降の石油価格下落によってかつて約600億ドルあった年間石油収入はおよそ半分の300億ドルにまで落ち込んでいる。

ロイター