ナジャ・フーサリ
ベイルート:10月16日、レバノンの新たな混乱の収集がつかなくなる恐れがあるなか、ヒズボラの戦闘員による暗殺を恐れて国会議員は自宅に身を潜めた。
200名以上の死者を出しベイルートに壊滅的被害をもたらした2020年8月のベイルート港爆発事件の司法捜査を巡る緊張が高まるなか、治安当局は政党レバノン軍団の国会議員に外出を控えるように勧告した。
「そのとおり。この勧告はレバノン軍団の国会議員に向けて出された。ヒズボラは過去に実際に敢行しているが、レバノン軍団の国会議員は暗殺、殺人の危険にさらされる恐れがある。問題を解決するためには、ヒズボラは保有している武器を国家に引き渡す必要がある」と同党メディア担当責任者のチャールズ・ジャブール氏がアラブニュースに語った。
この危機はタレク・ビタール判事が執り行う捜査を巡って顕在化している。大惨事になった同港爆発事件の責任を解明するために、判事はヒズボラとその同盟勢力アマル党に関係する現・元閣僚への尋問を望んでいる。閣僚たちは、判事の行動は政治的動機に基づいているとして、協力を拒否している。
先週木曜日には、緊張は暴力に発展した。キリスト教徒が住民の多くを占めるベイルート中心部のある地区でヒズボラとアマルが捜査に対する抗議を行っている最中、銃撃が発生して7人が亡くなった。
16日、ヘンリー・エル・コーリー司法相は、ビタール判事への支持を表明した。同判事は事件に関連してだれでも望むだけ召喚する権利がある。「私が支持するのは…捜査官の方だ」と述べたエル・コーリー氏は、自分にはビタール氏を交代させる権限はないし、その圧力も受けていないという。
16日、司法相は危機管理会合を開いて、ナジーブ・ミカティ首相、スヘイル・アッブード最高司法評議会議長、ガッサン・オウェイダット検事総長と捜査について協議した。その結果、19日の評議会の会合にビタール氏を招くことになった。
「アッブード判事は問題解決に向けて政治的アプローチではなく司法的アプローチをとろうとしている」と司法筋がアラブニュースに明らかにした。
ビタール判事の捜査に思いがけないところからも支持の声が挙がった。レバノン最大のキリスト教政党、自由愛国運動党首のジブラーン・バシール元外相だ。16日、バシール氏は「自由愛国運動は捜査の継続、真実の解明、そして責任を負うべき人物を裁判にかけることを支持する」と述べた。
バシール氏はミシェル・アウン大統領の義理の息子でその後継者になることを画策していると広く信じられているが、汚職の疑いとヒズボラとのつながりを理由に米国に制裁を科されている。