
ハゼム・バルーシャ
ガザ市: ガザ地区に住むアイマン・ダーマンさんは、昨年5月のイスラエル軍の空爆で全壊したアパートが再建されることを知り、希望を取り戻した。
ダーマンさんはこの数ヶ月間絶望していたが、エジプトとカタールが復興プロセスの加速を表明したことで、楽観的な見方ができるようになった。
ダーマンさんと彼の家族6人は、ガザ市北部にある10家族が住む5階建ての住宅に住んでいた。
住宅が壊された後は、2部屋の小さなアパートに息子と一緒に住むようになった。内戦後は、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)が負担してくれた借家に移った。
UNRWAは、戦時中に家を失った被災者1人につき1,500ドルの家賃手当と、基本的な家財道具の購入に500ドルを支給した。
ダーマンさんによると、ハマス政権下のガザ公共事業・住宅省から数日前に連絡があり、再建に向けて、建物の設計図を作成することになったという。
10月19日、ガザ地区復興のためのエジプト委員会は、ガザ地区での最初の開発プロジェクトとして、ガザ地区北部のベイトラヒアにあるアルラシード通りの建設を開始したことを発表した。
また同時に、現在ガザに滞在中のカタール復興委員会のモハメド・アル・エマディ代表は、今後数日間でガザ地区の復興プロセスが加速すると発表した。
ハマスは、今月初めにハマスの首脳陣がカイロを訪問した際、エジプト側から、ガザ地区の復興のペースを速めることや、ガザとエジプトを結ぶラファ国境での貿易・経済施設の提供を約束されていた。
戦後、エジプトは復興支援として5億ドルの援助を約束し、準備のために瓦礫撤去のための技術視察団を派遣した。
公共事業・住宅省のナジ・サルハン次官によると、エジプトの無償供与プロジェクトには、ベイトラヒア、ガザ北部のジャバリア、ガザ市南部のアル・ザフラ地区の3つの住宅都市の建設が含まれている。
無償供与プロジェクトに関する合意によると、これら3都市には、貧困層や低所得者層を優先して2,000戸の住宅が建設される予定である。また、橋や道路の建設も支援に含まれる。
サルハン氏によると、エジプト政府は、2週間ほど前にガザ地区の公式代表団とカイロで会談した際に、住宅用高層ビルの再建をすぐに開始すると約束したという。
エジプト人作業員らは、被害を受けた高層ビルの瓦礫の撤去や、ガザ北部における最初の住宅都市の建設に貢献したと、サルハン氏は述べた。
サルハン氏によると、エジプト側との話し合いでは、現地請負会社を最大限活用することで合意したという。
また、復興に必要なすべての資材をガザ地区南部のラファ検問所から輸入することにより、現地の工場の操業を確保することや、請負業者や実業家らの移動のための施設をラファ検問所に設けることも合意された。
現地当局は、戦争中のガザ地区における直接的な損失を4億7900万ドルと見積もっている。
サルハン氏によると、直接的な損失は住宅とインフラを襲った破壊に関連するものであり、1,500戸の住宅が破壊され、880戸が深刻な被害を受けた。何百もの住宅が中程度またはわずかな損傷を受け、再建額は1億4500万ドルと見積もられている。
また、公共の建物、道路、エネルギー、通信、衛生などのインフラにも多くの被害が出ており、復興費用は2億9300万ドルと見積もられている。
また、戦争による間接的な損失以外にも、経済、貿易、健康、教育、農業などの分野でも損失が発生した。
サルハン氏は、長年の戦争と包囲の後、ガザを復興させるためには20億ドルが必要だと見積もっている。
パレスチナの人々は、今回のエジプトの動きは、ガザ地区の安定化を目指す米政権との調整の一環であると見ている。
カイロで行われたハマス氏との会談の数日前、エジプトのエルシーシ大統領と米国のジェイク・サリバン国家安全保障顧問との会談では、ガザ地区の復興について話し合われた。
ハマス系のコラムニスト、マジェッド・アルジブダ氏は、最近のエジプトとハマスの会談は、ガザ地区を封じ込めて安定させ、新たな対立につながるような事態の悪化を避けようとする米政権のビジョンと一致していると考えている。
イスラエルの『ハアレツ』紙は以前、エジプトと米国が、ガザ地区の長期的な安定とガザの復興を推し進める目的で、ハマスとパレスチナ自治政府に対し、新たな統一政府の樹立に取り組むよう圧力をかけていると報じた。