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エルドアン・トルコ大統領、米国等10カ国の大使の追放を表明

10月23日、トルコのタイップ・エルドアン大統領は、慈善家であるオスマン・カバラ氏の釈放を求めたことを理由に、米国他9カ国の欧米諸国の大使を追放することを外務省に指示したと明らかにした。(シャッターストック)
10月23日、トルコのタイップ・エルドアン大統領は、慈善家であるオスマン・カバラ氏の釈放を求めたことを理由に、米国他9カ国の欧米諸国の大使を追放することを外務省に指示したと明らかにした。(シャッターストック)
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24 Oct 2021 10:10:10 GMT9
24 Oct 2021 10:10:10 GMT9
  • 大使のうち7人はトルコのNATO同盟国を代表しており、追放が実行されると、19年に及ぶエルドアン政権で最も深い亀裂が欧米諸国との間に生じる
  • 10月18日に10カ国の大使は共同声明を発表して、カバラ氏の事件の公正かつ迅速な解決と「即時釈放」を求めた。

イスタンブール:10月23日、トルコのタイップ・エルドアン大統領は、慈善家であるオスマン・カバラ氏の釈放を求めたことを理由に、米国他9カ国の欧米諸国の大使を追放することを外務省に指示したと明らかにした。

大使のうち7人はトルコの北大西洋条約機構(NATO)における同盟国を代表しており、追放が実行されると、19年に及ぶエルドアン政権で最も深い亀裂が欧米諸国との間に生じる。

多くの市民社会団体に寄付を行ってきたカバラ氏は、2013年の全国規模の抗議活動への資金提供と、2016年のクーデター未遂への関与の容疑で起訴され、既に4年間収監されている。起訴内容を否認する裁判が続くなか、現在も勾留中である。

10月18日にカナダ、デンマーク、フランス、ドイツ、オランダ、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、ニュージーランド、米国の大使は共同声明を発表して、カバラ氏の事件の公正かつ迅速な解決と「即時釈放」を求めた。大使たちは外務省に呼び出され、声明は無責任であると告げられた。

エルドアン氏は北西部の都市エスキシェヒルでの演説で、「外務大臣に必要な命令を与え、とるべき行動を指示した。直ちに10人の大使をペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)と宣言しなければならない。すぐに片付けるようにと」と述べた。

「彼らはトルコを知り、理解するだろう。トルコを知らず、理解しない暁には、去っていくだろう」と、喝采する聴衆に向けて発言した。

コメントを求めたが、米仏の大使館やホワイトハウス、米国務省からすぐに回答はなかった。

従来、エルドアン氏は、来週末にローマで開かれる主要20カ国・地域(G20)首脳会合でジョー・バイデン米大統領と会談する予定であると表明している。

ノルウェーは、大使館はトルコ政府から何の通知も受けていないと明らかにした。

外務省のトルーデ・マーセイデ首席報道官は「我が国の大使は追放に値することは何もしていない」と述べ、トルコはノルウェーの見解をよく承知していると付け加えた。

マーセイデ氏は「トルコには引き続き、欧州人権条約の下で約束している民主主義の基準と法の支配の遵守を求めていく」と述べた。

昨年、カバラ氏は2013年の抗議活動に関連した起訴事件について無罪判決を受けたが、今年、その判決は覆され、クーデター未遂関連の起訴事件と併合された。

人権団体は、同氏の事件はエルドアン政権下での反対派に対する締め付けの象徴であるとしている。

関係国のうち、独仏など6カ国は欧州連合(EU)加盟国である。欧州議会のダビド・サッソリ議長は次のようなツイートをした。「10人の大使の追放はトルコ政府の権威主義への傾斜の表れだ。私たちは脅迫には負けない。オスマン・カバラ氏に自由を」

デンマークのイェッペ・コフォズ外相は、外務省として公式の通知を何も受け取っていないものの、友好国・同盟国と連絡をとっていることを明らかにした。

声明の中で、「我が国は引き続き、共同宣言でも表明されている、共通の価値観と原則を守り続ける」と述べている。

ドイツ外務省筋も、10カ国の間で相互に協議していると明かした。

22日、カバラ氏は、エルドアン氏の最近のコメントにより公正な審理は不可能になったとして、今後は裁判に出席しないことを表明した。

21日、エルドアン氏は、当の大使たちは自国で「盗賊、殺人者、テロリスト」を釈放しないだろうと発言したと伝えられている。

2年前に欧州人権裁判所(ECHR)は、カバラ氏には犯罪を犯したという合理的な疑いが無く、勾留は口封じを目的としたものであることが判明したとして、同氏の即時釈放を求めている。

同裁判所は今年、既に5年近く収監されているクルド系の国民民主主義党(HDP)元党首のセラハッティン・デミルタシュ氏にも、同じような判決を出している。

ECHRの判決の履行状況を監視する欧州評議会は、カバラ氏が釈放されない場合、トルコの違反手続きを開始することを表明している。

カバラ氏の裁判の次回審理は11月26日に行われる。

ロイター

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