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在トルコ大使の共同声明でトルコの外交問題が加熱

 (撮影日時不明)2021年10月15日にアナドル文化センターが公開したハンドアウト写真(AFP)
(撮影日時不明)2021年10月15日にアナドル文化センターが公開したハンドアウト写真(AFP)
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25 Oct 2021 05:10:03 GMT9
25 Oct 2021 05:10:03 GMT9
  • タイイップ・エルドアン大統領は、外務省に特使の「ペルソナ・ノン・グラータ」指定を命じた
  • アンカラの外交政策は国内の政治的思惑に反応、とアナリストがアラブニュースに語る

メネクセ・トキャイ

アンカラ:64歳の慈善家オスマン・カワラ氏の釈放を求める西側10カ国の大使による共同声明は、引き続きトルコの内政に影響を与えている。エルドアン大統領は外務省に大使たちを「ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)」に指定するよう命じた。

この動きは国内外に政治的、経済的な影響を及ぼすことが予想される。

カワラ氏は、2013年の全国的な反政府デモに資金を提供した疑いで4年間の獄中生活を送っている。同氏は容疑を否認している。

フランス、ドイツ、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、ニュージーランド、米国、カナダ、デンマーク、オランダの各国大使は協同で、カワラ氏の拘留開始から4年を迎えた10月18日、同氏の事件の迅速かつ公正な解決を求めた。

大使たちは「彼の事件の公正かつ迅速な解決は、トルコの国際的義務、そして国内法に沿ったものでなければならないと考える。本件に関する欧州人権裁判所の判決に留意し、トルコが氏を早急に解放することを要求する」と、欧州人権裁判所が加盟国のトルコに対して下した判決を引用した声明を発表した。

(撮影日時不明)2021年10月15日にアナドル文化センターが公開したハンドアウトファイル写真。イスタンブールでのイベントで講演するオスマン・カワラ氏の姿がある。(AFP)

声明発表後、大使たちは外務省に召集された。

「私は外務大臣に必要な指示を出し、何をしなければならないかを命じた。この10人の大使たちは直ちにペルソナ・ノン・グラータに指定されなければならない」とエルドアン大統領は土曜日の演説で述べた。

「彼らはトルコを知り、理解するだろう。そうするつもりがないのであれば、立ち去るべきだ」と付け加え、これらの大使は自国で「テロリスト」を解放することはないだろうと述べた。

大使をもはや歓迎されない人物として指定する「ペルソナ・ノン・グラータ」の宣言は、追放一歩手前の外交的な動きである。

トルコ政府は今回の大使たちの声明を、欧州人権裁判所の判決を想起させるものではなく、内政への直接的な干渉と捉えている。

一方、2018年まで米国の投資家・慈善家ジョージ・ソロス氏のトルコにあるオープン・ソサエティ財団の顧問を務めていたカワラ氏は、11月26日に行われる次回の裁判では、弁護を行うための出席はしないとの声明を金曜日に発表した。最近の状況に照らして、審理が公正ではないと考えていることが理由だ。

大使たちは、声明の中でECHR(欧州人権条約)にも言及した。欧州人権裁判所は2019年末、トルコの慈善家の拘束は口封じを目的としたものだとして、同氏の即時釈放を要求している。

先月、欧州評議会は、カワラ氏が釈放されない場合、アンカラに対する侵害訴訟を11月末に開始すると警告した。

在トルコのデンマーク、オランダ、ノルウェーの各大使館は、トルコ当局から何の通知も受けておらず、トルコが国際的な義務を遵守するよう、引き続き働きかけていくと述べている。

しかし専門家は、トルコの政治史上前例のない欧米大使10名への「ペルソナ・ノン・グラータ」指定は、これらの国から同様の行動を引き起こすきっかけになる可能性があると指摘している。

「世界の他の地域と同様に、すべての政治はローカルなものです」と、米国のドイツ・マーシャル・ファンドのアンカラ・ディレクターであるオズグル・アンルイサーキリ氏はアラブニュースに語った。

「トルコの外交政策は、国内の政治的配慮によって過度に動かされてきましたが、今回のケースも同じでしょう」と述べた。

同氏によると、エルドアン大統領が大使たちを「ペルソナ・ノン・グラータ」に指定する指示を外務省に出すことで、有権者を喜ばせ、国内の問題からも注意をそらすことができるかもしれない。しかし一方、すでに米国の制裁を受け、昨年はEUからも制裁を受ける寸前だったトルコの国際的な孤立を助長することにもつながる。

昨年、米政権は、ロシア製地対空ミサイルシステム「S-400」の購入をめぐり、トルコの防衛産業への制裁を行った。この制裁は、2017年に制定された「敵対者に対する制裁措置法(CAATSA)」に基づいて行われた。

「さらに、トルコは通貨危機を経験しており、2023年6月に予定されている大統領・議会選挙の約18カ月前に金融危機を引き起こす可能性があります」とアンルイサーキリ氏は述べた。

元在トルコ大使たちは公式声明の中で、外交のプロセスの中で厳しい反応が見られた場合でも、最終的な目的は、危機の管理と解決であるべきだと強調している。

日本と英国で大使を歴任したトルコのアブドゥルラフマン・ビルギチ氏は、在トルコ大使たちにはカワラ氏の釈放に対する自国の姿勢を、個別に、あるいは共同宣言として表明する権利があると述べた。

「そして同様に、トルコの外務省も不安を示す宣言を行い、反論することができます。しかし、それまでの間、大使たちはソーシャルメディアでの連続した発言で、我々の与党政府や司法を標的にすべきではありません」とアラブニュースに語った。

しかしながら、ビルギチ氏はこれらの外交官を「ペルソナ・ノン・グラータ」と指定することは、トルコの利益にならず、報復を引き起こす可能性があるとしている。

「プロセスがこのように処理されるならば、トルコは欧州評議会での投票権を失うだけでなく、加盟国としての地位さえも失う可能性があるでしょう」と述べている。

トルコ憲法第90条では、「基本的な権利」と「自由」に関する分野で国際協定の間に矛盾が生じた場合、国際協定の規定が優先されると定めている。

「大使を追放することは、国益を守る方法でもなければ、特定の問題について自国の立場を説明する方法でもない。国内政治に目を向けた衝動的な外交政策は、トルコの孤立を悪化させるだけである。軽率な行動でこの問題を大きくすべきではない」と、元トルコの在アゼルバイジャン大使で、現在はワシントンにあるシンクタンク、カーネギー財団のシニアフェローであるアルペル・コシュクン氏はツイートしている。

過去50年間にトルコがペルソナ・ノン・グラータと宣言した外交官は、1986年のリビア、1986年のシリア、1989年のイランの3人だけで、アンカラがペルソナ・ノン・グラータと宣言した最後の外国大使はイランの特使だった。

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