
ダマスカス:かつてシリアの知的生活の道標だったダマスカスの書店や出版社は、文化が危機的状況の犠牲になるにつれて靴店や両替商に取って代わられている。
シリアにはアラブ世界の偉大な作家が何人もいる。そしてダマスカスでは、原作や翻訳作品を印刷・販売する書店や出版社が多数繁栄を誇っていた。しかし、街の文学熱は薄れつつある。
10年前の内戦、慢性的な経済危機、そしてシリアの最高の作家と読者たちの多くをシリアから奪ったクリエイティブな頭脳の流出は、電子書籍の人気の高まりなども相まって、書店が直面している大きな問題だ。「誰も本を買えなくなり、書店は開け続けるための経費を賄えなくなっています」。71歳のムハンマド・サレム・アル・ヌーリ氏は言った。彼は街の中でも特に古い書店を父親から引き継いだ。
先月、ダマスカスの有名店だった1970年創業のノーベル書店が閉店した。
1939年創業のアル・ヤクザ書店は7年前に閉店し、現在その場所は靴店になっている。
40年間営業してきたメイサルン書店の跡地には両替商が建っている。
1930年創業のアル・ヌーリ書店も、同じ運命をたどる危機に陥っている。
「子どもたち、孫たちのために店を残したいです」とヌーリ氏はAFPに語った。「しかし、アル・ヌーリ書店は他の書店同様、閉店の危機に瀕しています」
ヌーリ一家は現在、ダマスカス中心部で書店2軒を経営している。
3年前、一家は2000年に首都で創業した3軒目の書店の閉鎖を余儀なくされた。売上が少なく、経費が上がり続けたからである。
在庫品は店舗に置いたままであり、ぎっしり詰まった本棚にホコリがたまっている。
木の机の上には、政治家や芸術家、詩人ら有名人の顧客の古い写真が飾られている。
40歳のサミ・ハムダン氏は、自分にとっては1950年代と1960年代の文化的全盛期はもう過ぎ去ったと語った。「戦争は(すでに後退していた文化の中で)残っていたものを破壊しました」とアル・ヤクザ書店の前オーナーであるハムダン氏は言った。
人口の90%が貧困線以下で生活している中、シリアポンドの急落で物価は急騰している。「紛争中に書店に投資しようとする人はいません」とハマダン氏はAFPに語った。
ダル・オサマ出版社のハリ・ハダド氏いわく、書籍はシリア人にとって「贅沢品」になった。
急騰する印刷コストと停電に伴う流通の問題が相まって、書籍は普通の人には手が出せないほど高価になった、と70歳のハダド氏はAFPに語った。
「誰でもまずは食料と住居が優先です」と彼は言った。
AFP