
カイロ:国連安全保障理事会と米国は、拘置所での移民の虐待や拷問の疑いで、リビアの当局者に制裁を科した。
安全保障理事会と米国は、26日遅く、別々に発表した声明の中で、オサマ・アルクニ氏が北アフリカの同国の西部にある拘置所の事実上の責任者だと述べた。そこに収容されている移民らは、拷問、性やジェンダーに基づく暴力、人身売買などに遭っていると言われている。
リビアは、2011年にNATO支援の反乱が、長年の独裁者であったムアンマル・カダフィ氏を打倒し、殺害した後、ヨーロッパを目指すアフリカ系移民の主要ルートとなった。同国はその後、混乱に陥り、西部と東部の地方を拠点に、それぞれ異なる民兵や部族が支援する敵対政府と議会が存在している。
アル・ナスル殉教者拘置所は、西部の町ザーウィヤにあり、この町には、同国の最重要指名手配犯となっている人身売買業者のアブデル・ラフマン・ミラド氏と民兵組織のリーダーのモハメド・カクラフ氏の2人がいる。
ミラド氏もカクラフ氏も、人身売買や移民の虐待の容疑で、2018年に安保理から制裁を受けた。
リビア政府報道官は、コメントを求める電話に答えなかった。
26日の声明で、国連制裁委員会は、アル・クニ氏がミラド氏とカクラフ氏の「ために、あるいは代わりに、あるいは指示を受けて行動した」と述べた。
米国財務省は、アル・クニ氏が「拘置所でアフリカ系移民を組織的に搾取し、拘置所ではこのような移民が様々な人権侵害を受けている」として、同氏を非難した。
財務省はまた、同氏または同氏の指示を受けたその他の者が、「性暴力、殴打、飢え、その他の虐待を含む、拘置所での移民の殺害、搾取、虐待、恐喝に関与または助長している」と述べた。
アントニー・ブリンケン国務長官は、リビア政府に対し、アル・クニ氏や人権侵害に関与したその他の人物に責任を取らせるよう促した。
リビアでは、アル・ナスルのような過密状態の拘置所に移民を収容しており、ここでは拷問や性的暴行、その他の虐待が横行している。拘置所の警備員は移民を殴り、拷問を加えた後、恐らく解放と引き換えに、彼らの親族から金をゆすり取ったと、AP通信が今月これまでに報じている。
国連が委任した調査団は、今月これまでに、リビアでの移民に対する虐待や非人間的扱いは、人道に対する罪に相当すると述べた。
AP