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ロンドンNATO首脳会議で深まる同盟国トルコとの溝

04 Dec 2019
NATO首脳会議に先立ち、バッキンガム宮殿で会談するトルコのレセプ・タイップ・エルドアン大統領とドイツのアンジェラ・メルケル首相。 (AFP)
NATO首脳会議に先立ち、バッキンガム宮殿で会談するトルコのレセプ・タイップ・エルドアン大統領とドイツのアンジェラ・メルケル首相。 (AFP)
Updated 04 Dec 2019
04 Dec 2019

サラ・グラブ、ロンドン

  • トルコのシリアのクルド人に対する軍事作戦の実施とロシアからのミサイルシステムの購入により、NATO内での緊張が高まっている。
  • NATO加盟国 であるトルコには、米国の空軍基地があり、米国の核爆弾が格納されている。

北大西洋条約機構(NATO)の首脳会議が、水曜日、英国で開かれ、トルコと他同盟国との「溝が深刻化する」懸念の中、危機的な話し合いが行われている。

議題の中心は、トルコ政府の特にシリアにおける侵略的な政策と、NATOの防衛体制とは政治的にも運用上も相容れない、ロシアからのミサイルシステムの購入の決定についてとなる見通しである。

トルコは、1952年、当時のソビエト連邦を封じ込めるために結成された同盟であるNATOに加盟した。トルコには、米国の空軍基地があり、米国の核爆弾が多数格納されている。.

しかし、トルコと他のNATO加盟国、とりわけ米国との関係はますます緊張が高まってきており、一部の専門家は、同盟におけるトルコの立ち位置が危機に瀕していると示唆している。

「これまでのトルコとNATOとの関係は、トルコがシリア北部へ軍事侵攻する前でさえ、徐々に溝が深まってきています。」と、英国王立国際問題研究所のトルコ担当主任であるファディ・ハクラ氏はアラブニュースに語った。

トルコ政府は、10月6日、シリア北東部への攻撃を開始し、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領はこれについて、クルド人民兵組織を追放するためのものであると主張している。

同盟におけるトルコとドイツの関係もまた、トルコで4月16日に行われた国民投票で、エルドアン大統領がより強力な大統領権限を掌握したことをきっかけに、急激に悪化した。

トルコとNATO同盟国との関係の悪化が 最初に 表面化したのは、2017年7月、対イスラム国の国際軍事作戦を支援していたトルコのインジルリクの空軍基地に駐留するドイツ軍への訪問を巡り、ドイツが同基地からドイツ軍の撤退を開始した時であった。

ドイツの議員団が同基地に駐留している約250人のドイツ軍部隊への訪問を申し入れたのに対し、トルコは、ドイツ は先ずその態度を改める必要があると述べ、訪問に難色を示したのである。

ドイツは、2016年のトルコでのクーデター失敗に続く国内での広範囲におよぶ取り締まりの強化について懸念を表明してきている。 「ドイツのようなNATO加盟国が、同じ加盟国であるトルコから、NATO加盟国ではないヨルダンの空軍基地に部隊を移さなければならなかったことは非常な驚きです。」と、ハクラ氏は述べた。

一方、米国率いるNATO加盟国は、トルコ政府がロシアからS-400ミサイル防衛システムを購入したことについて議論することが予想される。

 

トルコ政府と米国政府は、トルコがこのシステムを購入したことを巡って対立してきている。米国政府は、このことは、NATOの防衛体制とは相容れないことであり、ロッキード・マーティン社が開発中であるF-35ステルス戦闘機に脅威を与えるものであると述べている。

米国議会での怒りが強まる中、トルコは、米国が経済制裁をちらつかせるのを物ともせず、7月に最初のS-400ミサイルを受け入れた。 これに対抗し、米国政府はトルコをF-35プログラムから除外した。

数ヶ月におよぶ同盟国からの警告にも関わらず、トルコは、先週、S-400の性能テストを米国製のF-16戦闘機に対し行ったことで、緊張が一層高まっている。

「これまでのところ、米共和党上院議員、特に上院多数派院内総務のミッチ・マコネル議員は、トランプ大統領の意向に従い、トルコに対するあらゆる制裁の法制化を回避してきました。 しかし、トルコがロシアのS-400地対空ミサイル防衛システムの活性化を進めて行く可能性はかなり高いとみられ、もしそうなれば、米国議会はトルコに対する厳しい財政・経済制裁法案を可決することになるでしょう。」と、同氏は述べ、さらに、「草案によれば制裁は非常に厳しいものであり、トルコの政府高官に対する金融制裁、米国の金融システムおよび金融機関、およびトルコの特定の省庁(国防省など)に関わる個人によるトルコの国債の購入禁止などが盛り込まれる可能性があります。」と、付け加えた。

またハクラ氏は、トルコは、ヨーロッパや中東との二国間および多国間紛争をNATO首脳会議に持ち込んできている、と述べている。

「トルコはこれまで、ロシアの軍事的脅威からバルト海地域を守るためのNATOの軍事計画の承認 を拒否したり、承認を妨げたりしてきています。なぜなら、トルコはシリア北部への軍事侵攻の承認をその見返りとしてNATOに要求しているからです。ですが、それは実現しないでしょう。NATOは、トルコのシリア北部への軍事侵攻に対し一切支援をもするつもりはありませんから。」

さらに、ギリシャの首相は、トルコがNATO首脳会議に「持ち込んだ」もう一つの問題である、エネルギー探査問題とトルコがリビアのトリポリを拠点とする政府と結んだ地中海沿岸地域に関する協定をめぐる両国間の軋轢を緩和するために、水曜日にエルドアンと会談する予定である。

リビアとトルコは、先週、地中海の境界線についての協定に調印しており、このことが、オフショアのエネルギー探査をめぐり、ギリシャを含む地中海沿岸諸国とトルコとの紛争を複雑化させる可能性がある。

ギリシャ政府は、この協定はトルコとリビアの海岸の間に位置するギリシャ領であるクレタ島の存在を無視したものであり、地理的に不条理なものであると述べている。

「ギリシャは、NATOがこのリビアとの海事協定に関してトルコに反対する姿勢を示すことを特に望んでいると思います。」と、ハクラ氏は付け加えた。

*ロイター社共著

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