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イスラエル国防相、モロッコへ「歴史的」な訪問

イスラエルのベニー・ガンツ国防相。(AP・ファイル/写真)
イスラエルのベニー・ガンツ国防相。(AP・ファイル/写真)
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24 Nov 2021 09:11:16 GMT9
24 Nov 2021 09:11:16 GMT9

ラバト:イスラエルのベニー・ガンツ国防相は、西サハラ問題で対立を抱えるラバトとの関係強化を目的とした「歴史的」訪問のため、火曜日にモロッコに到着した。

今回の2日間にわたる訪問は、ドナルド・トランプ前米大統領の政権下で、モロッコがイスラエルとの関係を正常化してから1年も経たないうちに行われた。

その見返りとして、ワシントンは北アフリカの王国、モロッコに対し、紛争地域であった西サハラの主権を認めたのである。

イスラエルの防衛大臣として初めてモロッコを公式訪問したガンツ氏は、モロッコの国防相と防衛に関する「協力協定」を締結し、「引き続き関係を強化していく」と述べている。

元イスラエル陸軍総司令官である同氏は、この「歴史的」な訪問が「成功」することが極めて重要であると強調する。

エル・アル航空のチャーター便は火曜日の深夜にモロッコの首都ラバトに到着し、その後、モロッコの国防相や外務大臣との会談やシナゴーグへの訪問など、1日半の日程で行われた。

今回の訪問は、「イスラエルとモロッコの将来的な安全保障協力の基礎を築く」ことを目的としていると、今回の計画に詳しい関係者がAFPに語っている。

「これまでにもある程度の協力関係はあったが、今回の訪問でそれが正式なものになります」と同関係者は付け加えた。

今回の訪問は、モロッコとアルジェリアの間で、ラバトが自国の領土とみなしているスペインの旧植民地である西サハラをめぐり、最近緊張が高まっていることを受けたものである。

西サハラの独立運動「ポリサリオ戦線」を支援するアルジェリアは8月、「敵対行為」を理由にモロッコとの外交関係を断絶したが、ラバト側はこの行為を否定している。

今月初め、アルジェリアはラバト側が砂漠の高速道路でアルジェリアの民間人3人を殺害したと非難し、対立がエスカレートするのではないかという懸念を抱かせた。

また、ポリサリオ戦線の代表であるブラヒム・ガリ氏は先週、同組織は軍事行動を強化することを決定したと述べた。

イスラエルのモロッコ専門家であるブルース・マディ=ワイツマン氏は、ガンツ氏の訪問と協力協定の締結のタイミングは偶然ではないと述べている。

「モロッコとアルジェリアの緊張関係の中で、モロッコ側がこの件を打診した可能性があります」と述べた。

テルアビブ大学の教授である同氏は、「モロッコ側は、イスラエルとの関係を深めていることを、自国民、敵対関係にあるアルジェリア、西側諸国など、すべての人に見せようとしているように思えます」と語った。

モロッコとイスラエルは1993年にわずかながらの関係を築いていたが、2000年にパレスチナ人による第2次インティファーダ(イスラエルに対する蜂起)が始まると、ラバトはこの関係を断ち切った。

昨年12月、UAEとバーレーンがイスラエルとの国交正常化の発表をした直後、ラバトもまた、このユダヤ人国家との関係を正常化した。

イスラエルのエネルギー企業レシオ・ペトロリアム社は先月、西サハラのダフラ市沖での「探査活動」についてラバトと合意したと発表した。

イスラエルの国防省は、安全保障関連の輸出をすべて統括しており、攻撃用ドローンからミサイル防空システム「アイアンドーム」まで、最先端の製品を提供している。

アムネスティ・インターナショナルやパリを拠点とする非営利団体「フォービドゥン・ストーリーズ」によると、イスラエル企業NSOが開発したスパイウェア「ペガサス」は、すでにモロッコに渡っているという。

ラバトはフランスのエマニュエル・マクロン大統領に対してこのソフトウェアを使用したと見られているが、モロッコはこのソフトウェアを購入したことはないと否定しており、フランスのメディアやアムネスティ・インターナショナルに対して訴訟を起こしている。

ガンツ氏のスポークスマンは、NSOについてはコメントしていない。

イスラエルとパレスチナの紛争は、モロッコの市民社会、イスラム主義者、極左組織を動員し続けており、11月29日には「忍び寄るイスラエルとの国交正常化」に反対し、パレスチナ人を支援するデモを行うことが呼びかけられた。

同様に、水曜日には国会前で親パレスチナのデモを行うことが呼びかけられた。

マディ=ワイツマン氏によると、ラバトはパレスチナ問題を放棄したわけではないが「他の関心事が多すぎる。そしてそれらを『再調整』することで得られる利益のほうが多すぎる」とのことだ。

「この地域のほとんどの国は、この問題でこれ以上人質にされたくないと考えており、自分たちが定義する利益を追求したいと考えています。その点で、現時点では明らかにイスラエルが多くのことを提供してくれています」と同氏は語った。

AFP

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