
ウィーン:イランと世界の主要国は29日、2015年の核合意を復活させようと5ヶ月ぶりに協議を再開したが、イラン政府が強硬姿勢を貫き、欧米の主要国がこれでは上手く行かないと警告する中、打開の望みは薄いようだ。
当時のドナルド・トランプ米国大統領が2018年に破棄し、イランを激怒させ、英国、中国、フランス、ドイツ、ロシアなど、他に関わった主要国を失望させることになったこの協定を復活させるための時間はなくなってきていると、外交官らは言う。
4月から6月にかけて、6回の間接協議が開催された。
新たな協議は、グリニッジ標準時午後2時過ぎに、米国を除く残りの協定締結国との会合で正式に始まった。
協議の議長を務めるEU高官のエンリケ・モラ氏は、イラン政府が全ての制裁の解除という同国の要求にこだわったと述べた。
しかし、モラ氏曰く交渉に真剣に取り組みたいという意思を示したというイランの新しい交渉担当者らとのウィーンでの最初の議論を終え、同氏は前向きに受け止めたと付け加えた。
イスラエルのナフタリ・ベネット首相は、ウィーンで交渉を行っている各国に向けたビデオ演説の中で、イランは「ほとんど何もしない代わりに制裁を解除させ」ようとしているように思えると、警告した。
ベネット首相は、後にツイッターに投稿したビデオの中で、次のように述べた。「イランは、その残虐性の代償として、いかなる報酬も、いかなる好条件での合意も、いかなる制裁解除も受けるに値しない」
首相は次のように付け加えた:「私は世界中の同盟国に呼びかける。イランの核のゆすりには応じるな」
英国のリズ・トラス外相は、イスラエルのヤイール・ラピード外相との会談後、今回の会合は「イラン側が交渉のテーブルにつく最後の機会」だと述べた。
「我々はこの協議が上手く行くことを望む」とトラス外相は述べた。「しかし、もしうまくいかなければ、全ての選択肢が検討対象になる」
26日、放送局NPRのインタビューの中で、米国のロバート・マレー交渉官は、イランの兆候に「特に楽観的材料はない」と述べた。
ロシアのミハイル・ウリヤノフ特使は、「非常に長い停止期間」を経て、プロセスを動かそうとする圧力がかかっていると述べた。
「協議は永遠には続かない」と、特使はツイートした。
「プロセスを加速させる明白な必要性がある」
29日のウィーンでの会談は、6月にイブラヒム・ライシ氏がイラン大統領に選出されたことがきっかけで生じた長期にわたる中断に終止符を打った。
この協議は、イランが米国の特使と直接会うことを拒否しているため、実質的にはイラン政府と米国政府の間接交渉となっている。両国間では、他の国の当局者が行き来している。
イラン政府の交渉団は、米国や欧州の外交官らが非現実的と考えるような要求を提示していると、欧米の外交官らは語る。
イランは、核開発プログラムとは無関係のものも含め、2017年以降に課された米国とEUの全ての制裁措置を、検証可能なプロセスで解除することを要求し、妥協しない立場をとっている。
ロイター