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イラクの「ワスタ」システム、一部の幸運な人を優遇し、多くの人々を挫折させる

2018年11月17日、イラクの首都バグダッドにある起業家志望者向けのインキュベーター施設「The Station」でコンピューターをチェックするイラクの女性たち。(AFP)
2018年11月17日、イラクの首都バグダッドにある起業家志望者向けのインキュベーター施設「The Station」でコンピューターをチェックするイラクの女性たち。(AFP)
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01 Dec 2021 10:12:02 GMT9
01 Dec 2021 10:12:02 GMT9

バグダッド:アブ・ゼイナブ氏によると、彼の5人の成人した子供のうち仕事を持っているのは1人だけで、それもイラクで蔓延している「ワスタ」と呼ばれる「知り合い」制度によって得たものだという。

この制度は、不満を募らせ、大規模な反政府デモを引き起こし、石油資源に恵まれ、戦争で傷つき、貧困に苦しむこの国からの移民の波を引き起こしていると分析されている。

バグダッドに住む60歳の定年退職者、アブ・ゼイナブ氏は語る。「3人の娘を含む子供たちは皆、大学を卒業しましたが、仕事を見つけられたのは1人だけです」

「他の子どもたちも努力していますが、なかなかうまくいきません」

とはいえ、彼の28歳の息子にとって「ワスタ」の慣習は有利に働いたようだ。彼は親戚の助けを借り、1年ごとに更新される憧れの契約社員として、政府省庁に就職した。

「貧困が人を『ワスタ』に向かわせるのです」と、家長は諦めの口調で語った。

ワスタとは、家族やコミュニティ、政党のつながりを利用して仕事や利益を得ることを指す。世界共通の「コネ」のようなものだが、イラクでは特に広まっており、腐敗も蔓延している。

一部の幸運な人々が高給で安定した仕事に就き、手厚い年金を得られる一方で、約40%の若者が将来の見通しが立たないまま失業していている。

このシステムを支えているパトロネージュ(後援行為)、ネポティズム(縁故主義)、クロニズム(身びいき)への怒りは、2019年後半に行われた一連の大規模集会でデモ参加者が表明した主要な不満として挙げられている。

アナリストによれば、イラクからの脱出を望む声が広がっているのは、取り残された人々が感じる絶望感が原因だという。

最近の移民集団の例では、何千人ものイラク人がベラルーシとポーランドの国境で凍りつき、中には海峡の氷の海でボートが転覆して命を落とす者もいた。

世界銀行の、いわゆる「アラブ・バロメーター・レポート」2019によると、イラク人の約95%が、仕事を見つけるためにワスタが「しばしば、あるいは時々」必要だと答えている。

政治学者のタマー・アル・ハイメス氏は、「ワスタがなければ何も達成できないということは、社会全体が同意しています」と述べている。

この問題は、公平な競争条件を整えられない「法律の弱さ」に起因しており、国民の国外流出を加速し「国の発展を妨げる」と述べている。

このような問題を抱えた人々は、貯蓄をすべて使ったり、借金をしたりして、より良い生活や福祉国家の恩恵を夢見て、西ヨーロッパへの危険な旅を試みることが多い。

イラクは、国際NGOトランスペアレンシー・インターナショナルの腐敗認識指数で180位中160位と、世界で最も腐敗した国のひとつに数えられている。

中東で2番目に大きなエネルギー埋蔵量があるにもかかわらず、イラクの4,000万人のうち3分の1が貧困ライン以下で生活していると国連は発表している。

このように問題視されているワスタだが、多くの人は「機会があれば、それを利用して利益を得るしかない」とも言う。

社会学部卒業の32歳のオムラン氏は、「公的機関に就職しようと何度も挑戦しました。20回以上応募しましたが、うまくいきませんでした」と語る。

彼はようやく警察官になれたが、それは「正しい政党」に入ってからのことだと認めている。

AFP通信の取材に応じてくれたもう一人の男性、ジャセム氏も同じような経験をしていた。彼は有力な国会議員との偶然の出会いから、わずか2日後には公務員になっていたのだ。

肥大化したイラクの公共部門は、国内最大の雇用主であり、それに支払われる賃金は国家の最大の支出である。

米国主導の侵攻によって独裁者サダム・フセインが倒された2003年から2015年までの間に、公務員の数は90万人から300万人以上に急増した。

「2003年以降の顧客主義的な採用の激増が、公共部門の雇用の膨張に影響している」と、2017年の世界銀行の報告書は述べている。

「公務員の雇用と昇進はますます非能力主義的になり、このセクターは事実上の社会的セーフティネットとみなされるようになった」と書かれている。

同報告書は、このシステムを「持続不可能」とし、良好なビジネス環境と投資環境を備えた、十分に機能している経済のみが持続可能な雇用を生み出すと主張している。

南東部の町クトに住む29歳のアフメド氏は、貧しく疎外された地域で仕事を探すのに何年も費やしたと言う。

経営学と経済学の学位を持ち、2児の父である彼はある日、政府高官のボディーガードと出会ったことで運が向いてきた。

結果として彼は教育関係の仕事に就くことができた。しかしそれは銀行から借りた100万イラク・ディナール(約800ドル)で「手数料」を払ってからのことだった。

「賄賂を払わなければ仕事ができなかったことには後悔していますが、そうするしかありませんでした」と彼は語る。「ワスタ無しでは、仕事を得ることはできないのです」

ロイター

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