
ジュネーブ:エチオピア北部での内戦が激化する中、両勢力が深刻な人権侵害を行なっており、1年に及ぶ内戦を終わらせることが急務と国連が声明を出した。
国連人権副高等弁務官ナダ・アルナシフ氏によると、先月同国政府が発した緊急事態宣言は「過度に広範な条項」からなっており、国連スタッフ9名を含む5,000から7,000人と推定される人々が拘留されている。
同氏は国連人権理事会の特別会に対し、こう語った。「拘留されている人々の多くは外部との連絡を絶たれ、行方も不明である。これは強制的な失踪と言うべきもので、非常に深刻な状況だ」
ジュネーブ駐在のエチオピア国連大使ゼネベ・ケベデ氏は、拘留への非難に対しては直接コメントしなかったが、ティグレ地域北部の反乱勢力による一連の虐待行為への非難が欠けていると述べた。
同氏によれば、「エチオピアは民主的選挙で選ばれた政権と、平和、人民の未来を守ろうとしているのに、人権理事会で標的にされ、差別的扱いを受けている」
同国政府と反乱軍の内戦により、数千の民間人が亡くなり、数百万人が国外逃避した。反乱軍には、30年近くエチオピアの連立政権を支配してきたティグレ人民解放戦線に忠誠を誓う戦士も加わっている。
アルナシフ氏は今月に入りオロミヤ州とベニシャングル・グムズ州で人々が拘留されていると指摘し、さらに次のように述べた。
「同国政府、地方政府、さらには高官による、特にティグレ族やオロモ族コミュニティに向けたヘイトスピーチや暴力扇動が増えていることは遺憾である」
フォーラムは、欧州連合が提出した、両勢力の侵害行為を非難する決議案を審議する予定である。採択されれば、人権専門家によるエチオピア問題に関する国際委員会を組織し、調査の上、1年後に報告を行なうことになるであろう。
米国は決議採択を呼びかけ、エチオピア政府に対し「民間人を全員釈放し、拘留された人たちに国際的な監視団が適時に接触できるようにする」ことを求めた。
エチオピアのゼネベ氏は決議を拒否し、上記のような委員会には協力しないと述べた。
同氏によれば、すでに政府任命のエチオピア人権委員会が国連人権チームに協力して虐待非難に関する調査を行なっており、再開する用意もある。
その共同調査団は先月、ティグレの内戦では両勢力が戦争犯罪に該当する可能性のある侵害行為を行なったと発表した。
各国外交官は、47理事国のフォーラムで決議への投票が行われると考えている。
アフリカ諸国グループは「調査プロセスの政治的取り扱いは避けるべき」であり、欧州連合は「現在のデリケートな状況における同グループの立場と助言を無視している」と発言した。
同グループは、調査態勢の提案は「逆効果であり、緊張を激化させるだけだろう」と述べ、決議の否決を呼びかけた。
アジスアベバでは、エチオピア政府のスポークスマン、レゲッセ・トゥル氏がコメントは控えると述べた。
ロイター