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世論調査、アラブ圏の女性の権利拡大に明るい兆しを見せる

サウジアラビア人のレーシングドライバーであるアセール・アル=ハマドが、ルイス・ハミルトンにトロフィを贈呈する。(AFP)
サウジアラビア人のレーシングドライバーであるアセール・アル=ハマドが、ルイス・ハミルトンにトロフィを贈呈する。(AFP)
09 Dec 2019 01:12:08 GMT9
  • YouGovの調査によると、アラブ圏の59%の人が、女性が聖職者になることを支持している。
  • 湾岸協力会議(GCC)諸国はあらゆる分野で女性が秀でている主な例だと、専門家は言う。

ジュマナ・ハーミス

ドバイ:アラブ戦略フォーラム向けにArab Newsの委嘱で行われたYouGov実施の調査結果を判断基準とするならば、アラブ圏での女性の権利拡大の未来は明るい。

近年のいくつかのアラブ圏内での出来事――サウジアラビアで女性による自動車の運転が可能になったことや、アラブ圏で聖職に就く女性の数が増えていること――に対して、相当数のアラブ人は肯定的な見方をしている。

合算平均で61%の人が、これからの10年間に自国で女性の権利が更に拡大することを予期していると答えた。このような考えはレバント諸国で最も強く、60%だった。湾岸協力会議(GCC)諸国の48%、北アフリカの44%がそれに続いた。

この調査は、中東・北アフリカ(MENA)出身の18歳以上、3,079人のアラブ語話者を対象としており、中東の現在ならびに将来の様々な問題についてよりよく理解することを目的としている。

2018年6月24日は、サウジアラビアの長年にわたった女性の自動車運転を禁ずる法律が撤廃された日として、歴史に残るだろう。世論調査の回答者の3分の2が、サウジアラビアの新しい自動車運転法を積極的に支持しており、反対だと回答したのは9%に留まった。

アラブ首長国連邦の作家であるマリア・アル=クァッシミは中東・北アフリカの女性の地位について論評し、ここ数十年間、「機会の平等と拘束的な法律の緩和」を求めることを通じた社会的な規範の再定義をめざす運動が、アラブの女性たち主導で行われてきたと話した。

政策の変化は急速なものであるが、アル=クァッシミは、アラブ社会での女性の地位の更なる向上を願っていると話す。

「私は、男女が家庭と職場両方の責任と貢献のバランスを図れるよう、政策や規制が変更されることを望んでいます」と彼女はArab Newsに伝えた。

アル=クァッシミは、女性やそのほか社会の「脆弱な」階層の状況は、今のところ大部分は経済的な要素によって決まっていると信じている。

女性がアラブ経済の前進に重要な役割を果たし続け、地球規模での女性の「不可欠さ」を示せば、諸国は女性の権利拡大を行うインセンティブを持つだろう、と彼女は話した。

アル=クァッシミは、より強い経済・社会を築くには女性の権利拡大を行う必要があるということをアラブ圏じゅうの政府が認識していることには疑いの余地がないと話した。しかし、社会の態度の変化にはさらなる時間を必要とするかもしれない。

アル=クァッシミは、湾岸協力会議(GCC)諸国を、ほとんどすべての分野で女性が秀でたパフォーマンスを発揮している主な例として挙げた。アラブ首長国連邦では、女性は大学卒業生の70%を占め、すべての公共部門の職の66%を占めている、と彼女は話した。

サウジアラビアでは昨年、公共部門・民間部門で働く女性の数が「282%」増加した。「希望は、湾岸協力会議(GCC)諸国全体で、女性が指導的地位をより多く占めることだけではなく、能力に基づく昇進をさらに推進することです」と、アル=クァッシミは話した。

アラブ圏で女性が聖職に就くことには、回答者から強力な支持を得る情勢となっており、59%の人々が肯定的な意見を表明したのに対し、否定的だったのは14%だった。

次の2年間に女性の権利拡大を支持するアラブ人の数がよりいっそう増大すると予測している人の1人が、アラブ首長国連邦やCGC諸国の女性起業家と協力する機関であるキャッチ・コミュニケーションズの常務取締役を務めるインジール・フィロツ・モティだ。

「起きている進歩として私が観測しているのが、労働力に参画する女性の増加や女性起業家の成長です」とモティは述べ、指導的役割を取る女性や自動車運転業務を担う女性が労働人口の中で増加すると予想している。

モティは、新しい自動車運転法や公共の場での服装規則の緩和といったサウジアラビアにおける女性の権利拡大を、さらなる好ましい変化への「前例を作った」と説明した。

このことは、女性が着るものを選ぶ権利についての世論調査の結果によって支持された。52%の回答者が肯定的な意見を表明した。

アラブ圏の女性たちは、「数世紀にわたるジェンダー規範や伝統」からの離脱によって、大きく進歩した。アル=クァッシミによると、そのひとつが外見の自由だと言う。

「女性が着るものは、不運にも彼女たちが何者であるかの物理的な表象ならびに表現ではなく、彼女たちの肉親や親戚の名誉と純潔の物理的な表象ならびに表現なのです」と彼女は述べた。

また世論調査は、回答者は女性の服装問題について問われたとき、24%が2つの選択肢――「答えたくない」「賛成も反対もしない」――のうちの1つを選んだことを示した。

アル=クァッシミは、アラブ圏の女性には「恐怖や恥の感情に反応する」人もいると話した。このことは、今回の調査で多くの回答者が外見の自由に反対したり意見の表明を選ばなかったりした理由だと、彼女は信じている。

今回の調査では、強制結婚や名誉犯罪のようなテーマでの質問もあった。その結果によると、アラブ圏の77%の人々が強制結婚の習慣に反対し、回答者の67%が強制結婚の習慣に対して強く反対した。

「我々の社会の発展速度を考えると、個人と彼・彼女が行う選択に与えられる価値は、きっと時とともに増えてゆくでしょう」とアル=クァッシミは話した。

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