サイード・アル・バタティ
アル・ムッカラー:国際的に承認されたイエメン政府は、地元市場の魚不足と国内価格の高騰に対応するため、全ての鮮魚の輸出を停止した。
サレム・アブドゥッラー・アル・ソコトリ農業・灌漑・水産相は、イエメンの陸・海・空港を使った全ての鮮魚輸出を無期限に禁止する回状を出した。
この決定の実行を監視し、鮮魚価格に関するその日の最新情報を国民に提供し、毎日の漁獲量と地元市場への魚の供給量を監視するために、アデンにある同省本部に作戦指令室を設置するよう同氏は命じた。
すでに輸出目的で鮮魚を購入していたイエメン人は、1週間以内に魚を輸出しなければ悪影響を被ることになる。イエメン人は最近、怒りを爆発させている。
鮮魚価格が史上最高値を記録し、通貨イエメン・リアルの価値が100%以上下落したイエメンの多くの人たちにとって、魚は見果てぬ夢になったからだ。
イエメンで最もポピュラーな魚であるマグロ(現地ではタマドと呼ばれている)1キログラムの価格は、港湾都市アデンやアル・ムッカラーでは過去最高となる1万2000リヤル(10ドル)に達し、その後7000リヤルに下落した。数カ月前は約3500リヤルだった。
この価格の乱高下は、イエメン国民の怒りと、価格を統制できないイエメン政府への幅広い批判を招いた。
アル・ソコトリ氏は20日、アデンを拠点とするAIC TVに対し、今回の禁止令の目的は地元市場への魚の供給と鮮魚輸出のバランスを取ることであり、地元市場が供給不足と価格上昇に直面しているというのが主な理由だと述べた。
州・県の地方当局は、この禁止令を実行し、市場の魚が増えすぎたときに同省に警告する責任を負うことになる、と同氏は述べた。
「この部門の利害関係者は全員、実施と評価に関わることになる」と同氏は述べ、今回の決定はイエメンの缶詰工場に魚を供給することも目的としていると付け加えた。
批判している人たちは、過去に下された同じような決定が常に無視されていたことを思い出し、禁止令を執行する政府の能力を疑問視している。
イエメンは年間数千トンの鮮魚をサウジアラビアなどの近隣諸国やEUに輸出している。
政府が出した禁止令は、期待どおりの結果を得ることはできなかった。鮮魚価格は全国的にほぼ一定だった。
南部の港湾都市アル・ムッカラーの鮮魚販売業者はアラブニュースに対し、価格は高止まりしており、市場では供給が不足していると話した。
「価格の高騰を販売業者のせいにしないでください。市場にある魚が少ないのです」と、鮮魚販売業者のアブドゥル・カデル・アル・ジェフリ氏は述べた。
燃料費が高いので、イエメンの漁師は魚介類を取るために遠くまで漁に出るのをやめた、と同氏は付け加えた。
「漁師は、一回の漁に30万リヤルを費やすことも多々ありますが、手ぶらで帰ってきたり、少ししか取れなかったりすることもあります」
アル・ジェフリ氏の隣にいた別の鮮魚販売業者は、イエメンでは魚だけでなく全ての商品の価格が急上昇しているため、魚を高値で売るしかないと嘆いた。
「なぜ魚の値段だけを議論するのですか? 魚1匹が1200リヤル以上になることもあるのです」と同氏は述べた。
アル・ジェフリ氏のように港湾都市に住んでいるイエメン人は、鮮魚価格が上昇しているのは商業漁船によるイエメン沖での無秩序な乱獲と、鮮魚の輸出のせいだと考えている。
価格が上昇した結果、魚が食卓から消えたと言っているイエメン人もいた。より安価でより小さい種類の魚に替えたり、魚を数切れだけ購入して野菜と一緒に調理したりする人もいた。
「うちは大家族なので、マグロをほとんど買わなくなりました。魚料理から野菜料理に切り替えました」と、アル・ムッカラーの魚・野菜市場で大根を売っているウム・アブドゥラー氏はアラブニュースに話した。