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サウジ民間人に対するフーシ派の攻撃が2021年に倍増

イエメンはアラブ世界で最貧困の国家であり、2014年にイラン政府と思想的に同調するフーシ派がクーデターで国家を暴力的に掌握し、紛争に突入した。(ロイター/資料写真)
イエメンはアラブ世界で最貧困の国家であり、2014年にイラン政府と思想的に同調するフーシ派がクーデターで国家を暴力的に掌握し、紛争に突入した。(ロイター/資料写真)
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22 Dec 2021 02:12:31 GMT9
22 Dec 2021 02:12:31 GMT9
  • 2016年以降、フーシ派はサウジ王国やその他の標的に対して4,100件以上の攻撃を実行してきた。その対象の圧倒的多数は民間人である
  • 戦略国際問題研究所(CSIS)の専門家は米国政府に対し、サウジアラビアの対空防衛への増援を行うとともに、イランが攻撃をさせていることを国際社会に認識させるよう求めている

アラブニュース

ロンドン:イランが支援するイエメンのフーシ派民兵によるサウジアラビアに対する攻撃の件数は、圧倒的多数が民間拠点を標的にしたものであり、2021年の最初の9ヶ月で昨年同期比で倍増していたことが米国シンクタンクの調査で伝えられた。

このレポートはワシントンD.C.に本部を置く戦略国際問題研究所(CSIS)によるもので、米国に対し、サウジアラビアがそうした攻撃への自衛ができるよう追加支援を提供するとともに、イランが主要な役割を果たして攻撃を促進していることに光を当てることも求めている。

「フーシ派として一般に知られているアンサール・アッラー(神の支持者)とイランは、サウジアラビア民間人や湾岸地域の連合国を標的にして人目を引く攻撃作戦を実行している」と、火曜日に公開されたCSISのレポートが伝えた。

「フーシ派はサウジアラビア及びその他の湾岸諸国に対して不規則な武力作戦を指揮している。その激しさは増しており、高度な巡航ミサイルや弾道ミサイル、UAV(無人航空機、いわゆるドローン)、さらにその他のスタンドオフ兵器が使用されている」

CSISはイエメン内のサウジアラビアの拠点や、海上及びその他の標的に対して2016年1月1日から2021年10月20日の期間に行われた合計4,103件の攻撃について調査を行った。その調査で「サウジアラビア及びその他の標的に対する2021年の最初の9ヶ月の月ごとのフーシ派の攻撃件数は2020年同期比で倍増」していたことが明らかとなった。

調査ではさらに、イランの最高指導者直属のイスラム革命防衛隊(IRGC)が「フーシ派に訓練を提供し、高度な武器の備蓄を増やし、対戦車誘導ミサイル、機雷、爆薬搭載無人航空機、弾道・巡航ミサイル、無人海上機、及びその他の武器やシステムの技術を提供している」ことも判明した。

レポートでは次のことが指摘されている。IRGCの派遣軍であるゴドス軍がレバノンのヒズボラと協力し、フーシ派の能力を「比較的低コスト」で向上させているというのである。特に、ミサイルやドローン攻撃の脅威を無効化するために必要な対空防衛を向上させるためのサウジアラビアのコストと比較して低コストなのだとレポートでは追記されている。

「米国とその同盟国はさらに積極的な活動を実行し、イランとフーシ派の行動を一般社会に知らしめるとともに、サウジアラビアやその他の湾岸諸国に追加の安全保障支援を提供すべきである」と、レポートでは述べられている。

イエメンはアラブ世界で最貧困の国家であり、2014年にイラン政府と思想的に同調するフーシ派が、国際的に承認された政府に対抗して暴力的なクーデターで国家を掌握し、紛争に突入した。その後、サウジアラビアはフーシ派に対抗するとともに国連が支援するイエメン政府を防衛するため、国際的な連合国とともに介入を行った。

「ここ1年でサウジアラビアに対する攻撃の件数が増加しただけでなく、イラン及びレバノンのヒズボラがフーシ派にますます高度化した武器システムを提供し続けている」と、CSISは警告している。

「今やフーシ派は、巡航・弾道ミサイル、無人航空機、その他のスタンドオフ兵器の備蓄を増やしており、湾岸諸国全体や、さらにそこを越えた地域をも標的として攻撃する能力を備えている」

レポートによれば、米国政府がサウジアラビアを支援できる方法の1つは、パトリオット地対空ミサイルの供給が継続されることを保証することであるという。さらにレポートでは、米国は「対無人航空機テクノロジーを追加提供すべきである。パトリオットシステムは小型無人航空機に対しては限定的な有用性しか持たないからである」と述べられている。

これによって小型ドローンを使用した攻撃の脅威が軽減できるはずである。そうした攻撃は今年ますます蔓延するようになってきた。

なお、対ドローン技術でサウジ人に対する物理的な脅威を減らすことはできるとしても、CSISによれば他にも重要な事があるという。それは、イラン政府が主要な役割を果たしてイエメン紛争の火に油を注いでいることを国際社会により強く認識させることである。

「イランがどれほどフーシ派を支援しているかについての社会的な認知を高めることで、国連などの国際的団体に圧力をかけて、イエメン紛争へのイランの介入をより強力に非難するとともに、和平交渉の一環としてイランの支援と縁を切るようフーシ派に要求できるようにもなる」と、レポートは述べている。

最終的にCSISは次のように述べている。「さらに効果的な活動を行って、こうした攻撃を一般社会に知らしめて対抗し、サウジアラビアが自衛できるよう支援しない限り、イランとフーシ派はこの地域の不安定化を継続するだろう」

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