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サウジアラビアと日本、食文化交流で関係をより強固に

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17 Oct 2021 11:10:37 GMT9
17 Oct 2021 11:10:37 GMT9

ザーイド・カショーギ

ジッダ:中東における「日本食普及の親善大使」が、日本の文化や伝統により親しんでもらおうと、サウジ市場に自身の料理・食材・腕前を持ち込んでいる。 

シェフの佐藤たき氏は「知っている人全員と共有したいです。『アナ・サイード』(うれしいの意)と。日本とサウジアラビアの間でより多くの食の交流があることを願います」と語る。

日本食普及の親善大使兼WAKAMEのブランド大使・佐藤たき料理長。(写真/フダ・バシャター氏)

佐藤シェフはサウジアラビアに移住して以来、中東の人々は日本食と現地主流の味や調理法を融合したフュージョン料理を好むことを学んだ。佐藤氏はキャリアの最高潮であると自認するほどのその順応力によってこの知識を得たのである。

「サウジアラビア人の日本食好きにはタイプが2つあると私は思います。1つめは寿司や揚げ物などを好む方。2つめのBタイプは全般的で、例えば新鮮な魚などとても明確な日本の食材をより好む人々です」と佐藤シェフはいう。

「大抵のサウジアラビア人は寿司・揚げ物・麺類を好むタイプAです」と同氏は語る。

和食の料理人として30年近くの経験を持つ佐藤シェフは2019年に農林水産省が主催する日本料理親善大使として中東でシェフとしては初めて任命された。

農林水産省は日本食に興味を持つ外国人に日本食や日本の食習慣に関する知識を伝えるために佐藤氏のような親善大使を任命している。

佐藤料理長が下ごしらえ技術をいくつか披露する。(写真/フダ・バシャター氏)

地域の日本食親善大使としての佐藤シェフの任務はシェフたちに日本食について教育し、腕を磨かせるために調理技術を教え、「旨味」を生み出すための食材の活用方法を伝える、など多岐にわたる。

「とても濃厚で明確な」味覚体験である旨味は日本食で好まれる味覚であり、佐藤たきシェフは親善大使の名に恥じないようこれをサウジの食文化と「融合」させることを目指している。

「私は日本政府と交流があるだけでなくWakameのブランド大使も兼任しています」と同氏は述べ「料理、食の知識、食習慣の交流を通じてサウジアラビアと日本の関係をより強固にしなければなりません」と語る。

日本からサウジアラビアへの食品輸出(2019)は総額1,680万ドル。(経済複雑性観測所)

「日本政府は料理人の技術や食材を共有することを希望しており、私がこうした研修交流をより活発にすることを期待しています。現在のサウジアラビアでは多くのシェフたちが学ぶことを望んでいます」と同氏は語る。

最も新しい試みはリヤドで佐藤氏が開催し料理人100名が参加した巻き寿司研修である。2022年4月に佐藤シェフはミシュランで星を獲得している料理人を日本から招いてこの地域でさらに研修会を開催することを予定している。

佐藤シェフはドバイで料理人として働くために10年前に初めて中東を訪れた。

同地で最も成功している日本料理店の1つであるZumaの厨房がこの地域における同シェフの料理人としての最初の仕事であった。そこで2年間伝統的な和食の品々の調理を経験した同氏はYokariの総料理長としてリヤドへ移り、その後Wakameのあるジッダへと移り住んだ。

佐藤料理長と指導を受ける地元の料理長たち。(写真/フダ・バシャター氏)

佐藤シェフは日本食の伝統を守りながらこの地主流の味や調理方法と融合させることにより、より独創的な調理を行うようになったと実感したという。

佐藤シェフは現在食材の25%はWAKAMEの姉妹関係にある食品流通会社が日本から直輸入する品々を使い、その他は現地で調達している。伝統的な食材がより多く容易に入手できるようになれば日本の伝統食に対して人々はより興味を持つことになる、と考えている。

農林水産省が2人のサウジアラビア人シェフに「料理人・料理・食の芸術」体験を紹介するために作ったプロジェクトに佐藤シェフは顧問として参加した。佐藤シェフによると同プロジェクトに参加したサウジアラビア料理人協会会長のヤッサー・ジャッド氏とサウジアラビア人初の女性寿司職人でありレストランOishii Sushiオーナーのクルード・オラーギ氏は今後のさらなる日本とサウジアラビア間の食の文化交流に積極的であるという。

佐藤氏はまた、海外での日本の製品やサービスの需要を高めることを目的としたクールジャパン基金や、教育機関である東京料理菓子アカデミー、ワールド寿司カップや和食ワールドチャレンジといった料理競技会などの、サウジアラビアと中東を対象とした食文化拡大プロジェクトの役員を務めている。

OECの別の統計によると2019年のサウジアラビアから日本への輸出総額は245億ドルに及んでいた。主要な輸出品は原油の230億ドル、精油の5億3,700万ドル、非環式アルコール2億5,500万ドルであった。

ここ24年間サウジアラビアから日本への輸出は1995年の90億5,000万ドルから2019年の245億ドルと年率にして毎年4.24%増加している。

一方日本からサウジアラビアへの輸出は65億5,000万ドルであり、内訳は自家用車37億2,000万ドル、配送トラック3億9,900万ドル、自動車部品2億2,300万ドル他となっている。ここ24年間日本からサウジアラビアへの輸出は1995年の29億5,000万ドルから2019年の65億5,000万ドルと年率にして毎年3.37%増加している。

日本とサウジアラビアの間でeスポーツの大会が10月2日から3日まで開催された。主催者側は大会が両国の関係をより強固にして文化交流を促進し世界経済をより豊かにすることへの期待を口にしていた。

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