
アラブニュース
ロンドン:イランを後ろ盾とする民兵組織フーシ派がイエメン沖の海上でUAE(アラブ首長国連邦)籍の貨物船 を乗っ取ったと報じられたことについて3日、中東全域から広く非難の声が上がっている。
船舶は2日深夜0時少し前、港湾都市フダイダ沖の海上で乗っ取られた、とサウジアラビアが主導するアラブ連合軍が発表した。乗っ取られた貨物船「Rawabi」はイエメンのソコトラ島にあるサウジアラビアの野戦病院で使用されていた機器を載せ、同島からサウジアラビアのジーザーン港へ向け航行の任に就いていた、と連合軍報道官のトゥルキ・アル・マリキ准将は述べた。
イスラム協力機構(OIC)は、国際法や条約によって保証される海運・通商のための航海の自由を妨げる犯罪行為の攻撃であり、イエメンの民衆のための人道支援やその他の援助に支障が出る可能性がある、として乗っ取り事件を非難している。
アラブ内相評議会はこのシージャックが戦争犯罪に該当するとしており、フーシ派は「その攻撃的な態度と企みが地域の安全保障と安定を脅かしていることの明確な証拠を日々示している」として、こうした行為に対して確固たる態度で臨むことの重要性を強調した。
アラブ連盟の立法府であるアラブ議会では「今回のシージャックは国際法や慣行のあからさまな違反に当たる」としており、バブ・エル・マンデブ海峡および紅海南部における海洋航行の自由ならびに国際通商に対してフーシ派の行動が与える脅威について警鐘を鳴らした。
アラブ議会は今回の事件を経済や国際貿易を脅かす事態であると表現し、「重要施設や国際的な輸送経路を標的にすることは戦争犯罪であり、即時に国際社会による断固とした対処を要する事態である」と付け加えた。
またアラブ議会は1982年に採択された国連海洋法条約や2000年に採択された国連国際組織犯罪防止条約といった国際的決議・憲章に関する絶対的遵守の重要性を繰り返し強調した。
イエメンのマイーン・アブドルマリク首相は、強力で確固たる抑止のみがフーシ派のこうした行動を止めることができる、と述べた。「イエメン政府はすべてのパートナーと協調し、あらゆる手段を講じて海賊行為やテロ行為戦う」と首相は付け加えた。
イエメン外務省は「違反行為に対しては国際社会が責任を全うし、フーシ派による無責任なテロ行為に対処しなければならない」との談話を発表した。
また同国外務省は国際航行および世界的なエネルギーの安全保障を保護する形で乗っ取り事件に対処するアラブ連合のあらゆる作戦について、その支援を約束した。
事件についてバーレーン当局は「地域の安全と安定を脅かすというフーシ派の決意の表れだ」としている。バーレーン政府はフーシ派の危険なテロ行為についての非難と貨物船および乗組員の即時解放に向けた圧力を国際社会に対して求めた。
クエート・エジプト・ヨルダンの各国政府も攻撃について、海洋航行への脅威ならびに明らかな国際法違反である、として強く非難している。またそれぞれは拿捕された船舶が航行を続けられるようすみやかに解放されることを求めた。