アンマン:イスラエルのネゲブ地域にあるパレスチナ人が所有する土地に、ユダヤ民族基金(JNF)が行った植林活動が物議を醸しており、危うい立場にあるイスラエル連立政権が吹き飛ばされる恐れがある。
NGO組織モッサワ(Mossawa)の代表であるジャファー・ファラ氏がアラブニュースに語ったところによると、この論争は数週間前から起こっていたという。
「先週、護衛に守られたJNFの職員が、ネゲブのサワ地域を掘り起こしました」
「ネゲブのパレスチナ人から40%の票を得たクネセト(議会)議員のマンスール・アッバス氏がその地域に来て、植樹を止めさせると約束しました」
「JNFが今週の月曜日に反対してきたように、それは実現しませんでした。アッバス氏はこれに対し、抗議の意味を込めて政府のあらゆる法律に賛成票を投じないと警告しています」
イスラエルの連立政権は、クネセトの120人中61人という、ただ1人で瓦解する多数派を維持するために、アッバス派の4票を必要としている。
ファラ氏はアラブニュースに対し、同NGOの要求は3つあると語った。
「私たちは政府に対し、パレスチナ人土地所有者の権利を認めること、10万人のイスラエルのパレスチナ市民が住む36の未承認の村に建築許可を出すこと、そして3つ目にJNFを解散させることを要求します」
ナザレ在住の弁護士で政治アナリストのボトルス・マンソウ氏は、アッバス氏は有権者とその権利を守れるとを示す必要があるとアラブニュースに語った。
「政府はすでに、イスラエルの許可を得ずに建てられた住宅にも電気を供給することを承認しています。実行者は右派のアイレット・シェイク内相ですが、連立政権はそのパートナー達のそれぞれのニーズを理解しなければなりません。今、アッバス氏はJNFの物議を醸すような関与を終わらせるために権力を行使する必要があります」
イスラエルの国際コンサルテーションセンターのディレクターであるワディ・アブ・ナサール氏はアラブニュースに対し、ネゲブの状況の結果がどうなるかはわからないと述べている。イスラエルは植樹によって土地を没収する戦略をとっており、90%以上の土地を同国が支配しているという。ナサール氏は、イスラエルがさらなる利益を求めていると警告している。
「アッバス議員は一時的に危機を回避したようですが、今刑務所にいる30人の拘留者がどうなったのかは興味深いところです」とナサール氏は述べている。
イスラエル市民権協会は、「JNFの『森づくり』の意図は明らかだ。できるだけ多くの土地を押収し、ベドウィンのコミュニティが自分の土地にアクセスできないようにすることである」とツイートした。
エルサレムに拠点を置く人権団体「ハモケド」のエグゼクティブ・ディレクター、ジェシカ・モンテル氏はこうツイートした。「JNFの目的は、ベドウィンの土地を奪うことです。JNFの目的は、アラブ人やパレスチナ人を追い出すことです」
ハーバート・C・ケルマン研究所の中東プログラムのディレクターであるオファー・ザルズバーグ氏はアラブニュースに対し、ネゲブにおける意見の相違は、土地の所有権と利用に関する問題であり、双方の国民的、宗教的感情を呼び起こすものであるため、特に解決が困難であると述べている。
さらに、連立政権は同時に両サイドからの圧力に直面している。政府内の右派政党は、保守政党「リクード」から入植の理想を裏切っていると批判され、ネゲブのベドウィンを選挙基盤としているアッバス氏のイスラム系政党「ラーム」、は、アラブ系統一会派「ジョイントリスト」や「イスラム運動」北部支部からは、イスラエルの土地収奪に加担していると批判されている。
「連立政権はこの問題を克服した場合、象徴的な問題に対する、異なる立場にも対処できるということを示すことができるでしょう」