
人口の増加と水資源の減少により、この地域の都市は大きな課題に直面している
・技術が飛躍的に進歩し再生可能エネルギーの使用が増加しているにもかかわらず、世界の都市の多くは衰退している
Caline Malek
【ドバイ】今日の都市が未来の都市へと成長するにつれて、都市は困難な持続可能性の課題に直面する。
間違いなく、すべての都市部が考慮しなければならない最も重要な要因は気候変動だ。
気温の上昇が予想されるため、市当局は新しいインフラと運用上の課題に取り組む必要がある。
「経済を管理しながらも温室効果ガスの排出を取り締まる必要があります」と、Fahed Al-Hammadi UAE気候変動省気候変動大臣は言った。
「この地域の将来の動向と、さまざまな分野で私たちがどのような影響を受けるかを把握する必要があります。政府として単独で動くことはできないので、民間部門と関わる必要があります」と付け加えた。
「より多くの『グリーン』投資家を引き付け、移行中の再生可能エネルギーの容量が変革に耐えられるようにする必要があります」
ドバイで行われた最近のサミットで、新興技術について話したAl-Hammadi大臣は、排出量削減に貢献する将来の都市を思い描いた。現在、輸送は総排出量の3分の1を占めているため、政府の排出削減目標の達成に寄与している。
都市の持続可能性は、人口が増加し水資源が減少している中東地域で大きな課題となるだろう。
「気候変動は起こっており将来の課題がありますが、とても重要なことは、現代の都市の構造において私たちがこれから経験していく影響と変化を理解することです」とAl-Hammadi大臣は言った。
将来の課題に向けて計画をしている都市当局にとって、ますます重要になっているツールの1つがデータだ。
MITのSenseable City Labを率いるカルロ・ラッティ氏は、信頼できるデータは、私たちが住んでいる都市をよりよく理解するために不可欠だと言っている。
ラッティ氏は都市の交通パターンとそれを改善する方法を理解するため、車の動きからデータを収集している。
今日の自動車センサーの平均数は2,000から3,000に及ぶため、ラッティ氏はEmTech MENAカンファレンスで、「周囲検知プラットフォーム」を拡張してタクシーを含めることで、都市の「構造の健全性」(橋やその他のインフラ)の監視に使用できると述べた 。現在、パイロットプロジェクトはシンガポールのUberと共同で運営されているとラッティ氏は言った。
「都市での移動方法を根本的に変えることができます」とラッティ氏は付け加えた。「今日の米国では、ある車が駐車されている時間は平均で95%です。車は都市の貴重なスペースも使用します。しかし、自動運転システムはこの状況を変えることができます」
ラッティ氏はシンガポールにある137万箇所の駐車場を例に挙げ、そのうち70%は自動運転車で削減できると言った。
ラッティ氏の研究対象は信号機にも及ぶ。車は交差点を検出できるようになるので、そのような信号機の必要性はなくなる。
一方、アムステルダムでは、ますます動的な方法で都市を構成するために、一時的な橋のフローティングプラットフォームとして使用できる自動運転ボートが活用されている。
「テクノロジーの美しさは、新たなニーズを掘り起こすことではなく、物事を別のより良い方法で行うことです」とラッティ氏は言った。
専門家たちは、人口過多(地球の74億人のうち55%が都市部に住んでいる)と気候変動(地球温暖化を原因とする海面上昇により、多くの沿岸都市が波に飲まれてしまう危機に瀕している)の2つの猛攻撃に直面し、都市をより回復力のあるものにするべく都市防衛に急いで取り組んだ。
保健分野では、将来の都市における進化するニーズに応えるためにオーバーホールが必要になる。
この分野の先駆者は、尿中に排泄されて下水道に集められる薬物の濃度を測定する米国のバイオテクノロジー企業であるBioBotだ。
「下水道のオピオイドを測定して、都市、郡、州での消費量を推定します」とBioBotのウェブサイトに記載されている。「このデータをマッピングし、リアルタイムでのオピオイドの流行にコミュニティが取り組めるようにします」
市の廃水ネットワークをマッピングし、そのデータに関連する人口統計情報を調査することで、より効果的な公衆衛生政策を作成できる、と同社のNewsha Ghaeli共同設立者兼社長は述べている。
「しかし、そうである必要はありません。 すべての人が私たちの健康に関するデータベースに貢献できる都市を想像し、廃水疫学と呼ばれる概念に基づいてそれを構築しています」
たとえば、人間の尿は重要な病理学的サンプルであるため、都市下水道に埋め込まれた豊富な情報源と見なすことができる。
「このデータから意味を見出すためには、エンジニア、化学者、生物学者、公衆衛生、都市計画者、上下水道、選出された役人、データ科学者、公共事業など、多くの様々な分野と産業の協力が必要です」とGhaeli氏は言う。「そういうわけで、私たちは下水からのデータを商品化した世界で最初の会社です」
マンホール内に設置されたハードウェアユニットは、下水流の数フィート上にぶら下がっていて、バクテリアを捕らえ化学的プロファイルを調べるチューブを備えている。 その後、BioBotの科学者チームは、人間の細菌、ウイルス、化学物質を調べる。
「廃水から学べることはたくさんあります」とGhaeli氏は言う。「まず、私たちはオピオイドの流行に取り組むことを選択しました。これは、50歳未満のアメリカ人の不慮の死を招く主な原因になっています」
しかし最近の研究によると、オピオイド使用障害に苦しんでいる人の1%未満が死に瀕していることがわかっている。
「そのためデータをどのように切り刻むかは問題ではありません。情報がないだけなのです」とGhaeli氏は言った。「誤ったものを測定していることは明確です。そのため現在では、30種類の薬物を測定し、薬物の新しいトレンドを調べています」
Ghaeli氏によると、このシステムをテストした最初の町はノースカロライナ州のケーリーで、昨年は過剰摂取が5年ぶりに40%減少した。
6か月のパイロットプログラム中に、BioBotはヒートマップを作成して、過剰摂取が集中しているエリアを特定することもできた。
このような技術的進歩と、世界のエネルギーの推定33%が現在再生可能エネルギー源から得られているという事実にもかかわらず、世界で最も人口密度の高い都市の多くが衰退している。
「都市は自動車や飛行機といった機械のために建設されていて、一部の都市では人々は忘れられています」とペーブジェンのLaurence Kemball-Cook CEOは言っている。
テクノロジー企業は、市民の歩行から得られたエネルギーを「エネルギー、データ、および利益」へ変換する舗装スラブを開発した。
Laurence Kemball-Cook CEOは「私には、私たちの都市をよりグリーンにする使命があります。都市部には大きな課題があります」と言った。
この目標を達成するため、Kemball-Cook CEOは運動エネルギーに着目し、歩行者の歩行から街灯を灯すエネルギーを捉えた。
これまでに、運動エネルギーシステムは、ナイジェリア、ロンドン、アブダビ空港、タイ、バーミンガム、および香港のランニングトラックで使用されてきた。
「将来の都市のビジョンにワクワクしています」と彼は語り、ペーブジェンのテクノロジーをドバイのExpo 2020とサウジアラビアのNEOMに持ち込むことを望んでいると付け加えた。
「私たちの都市で人力を使用する可能性は膨大です。 都市の技術は人々と連携しなければなりません」とKemball-Cook CEOは言った。
「都市とは、新しいエネルギーソリューションを見つけることだけでなく、健康で、スマートな(実践)、楽しく、持続可能で、モノのインターネットデータ形式に接続することでなければなりません」と付け加えた。