パリ:西洋各国の政府は4日、イランの治安維持軍が10代少女を暴行して昏睡状態に陥らせたことを受けて懸念を表明し、ドイツの外交トップはこの事件を「許しがたい」と評した。
権利団体もテヘランの地下鉄で起きたこの問題の国際調査を訴えている。ちょうど1年ほど前には、マフサ・アミニ氏が女性に対する厳格な服装規則に反したとして逮捕され、拘留中に死亡している。
クルド人の人権団体Hengawによると、16歳のアルミタ・ガラワンドさんは1日に複数の女性警官から暴行を受けた。
イラン当局はガラワンドさんが低血圧により「失神した」と主張し、治安維持軍の関与を否定している。
昨年9月16日にアミニ氏が死亡した後には数カ月におよぶ騒乱が広がった。イラン当局は1年の節目となるこの時期、社会的緊張の高まりを特に強く警戒してきた。
全国規模での抗議運動はイランの聖職者指導者層を動揺させ、弾圧によって沈静化した。活動家らによると、この弾圧で数百人が殺害され、数千人が逮捕されたという。
「またしても、イランの若い女性が命の危機に瀕しています。地下鉄で髪を見せたというだけの理由で」ドイツのアンナレーナ・ベアボック外相は、元TwitterのXへの投稿でそう述べた。
「許しがたいことです」
イラン担当米国特使代行を務めるアブラム・ペイリー氏はXへの投稿で、米国政府は、「イランのいわゆる道徳警察が10代少女に暴行を加えたとの報道に衝撃を受け、憂慮しています」と述べた。
「我々は彼女の容態に関する報道を追っています。我々は引き続きイランの勇敢な人々を支持し、政権による権力乱用の責任を取らせるよう世界と連携していきます」とペイリー氏は続けた。
この事件はソーシャルメディア上で激しい議論の的になっており、事件のものだとする映像も投稿されている。この映像では、明らかに頭を露わにしていたガラワンドさんを警察が地下鉄に向かって突き飛ばし、動かなくなったガラワンドさんの体を引き出す様子が映っている。
ノルウェーに拠点を置くNGO団体イラン・ヒューマンライツは、「独立した国際調査により事件の詳細を明らかにする」よう訴えており、イラン政府が「長きにわたって事実を歪め、自分たちの犯罪の証拠を隠蔽してきた」と批難した。
「イランはヒジャブ着用義務違反との闘いを口実に、女性たちへのハラスメントと抑圧を続けています」同団体の代表を務めるマフムード・アミリー・モガダム氏はそう述べた。
Hengawは、ガラワンドさんがテヘランのファジル病院で厳しい警備の下、治療を受けていると述べた。
Hengawは、病院のベッドに横たわり、栄養チューブを繋がれ、頭と首に大量の包帯を巻かれたガラワンドさんの写真を公開した。
Hengawによると、同病院でイラン国営メディアの取材に答えたガラワンドさんの両親は「治安維持軍高官の同伴の下で多大な圧力を受けている」という。
ベアボック外相は、ガラワンドさんの家族は「カメラの前に立つ必要などなく、彼らには娘のベッドの側にいる権利がある」と述べた。
テヘラン在住のガラワンドさんは、イラン西部のクルド人地域であるケールマンシャー出身だとHengawは述べた。
日刊新聞Sharghのマリアム・ロトフィ記者は事件後に同病院を訪れたが即座に拘束され、後に解放されたとHengawは述べた。
AFP