
ラマッラー、ヨルダン川西岸地区:パレスチナ解放機構(PLO )は6日会合を開き、主要な指導層の人選を行うことになる。新しく選出される指導者はこれからも国家建設の苦闘を続行する任務を担う。この会合ではマフムード・アッバース大統領の後継者が示唆される可能性もある。
現在空席となっている最も重要な役職は、サエブ・エレカット交渉団代表が死去して残した職である。エレカット氏はPLOの事務局長として過去何十年にわたって、現在は瀕死の状態にあるイスラエルとの和平交渉に従事してきた。氏は2020年、コロナウィルスの合併症により死去した。
かつてPLOはその理念のために戦う、誰もが認める英雄だったが、1994年にパレスチナ自治政府が設立されて以来、その意義を殆ど失ってきた。
アッバースPLO議長は、パレスチナ自治政府の大統領でもあるが、86歳になり、世論調査での支持率はこれまでにない程落ち込んでいる。去年ヨルダン川西岸地区で珍しく抗議活動が行われたが、アッバース氏はそれに対する強権的な対応で批判を浴びている。
パレスチナでは過去16年にわたって選挙が行われておらず、彼らの「二国家解決」の夢は、イスラエルの右翼国家主義的ナフタリ・ベネット首相に強く拒否されている。
ヨルダン川西岸の占領地区ではほぼ毎日のように暴力沙汰が起こり、パレスチナ自治区の飛び地ガザ地区は、去年再燃したイスラエルとの壊滅的な戦争からまだ立ち直っていない。
PLOは1964年に設立され、自ら全パレスチナ人の唯一の正統代表と名乗ってきたが、現在の難しい状況の中、ラマッラーでの会議において重要な役職の人選を行うことになる。
空席となっている役職としては他にも、自治政府高官のハナン・アシュラウィ氏が残した職もある。氏は1年以上前に、PLOの最高意思決定機関である18人からなる執行委員会の職を辞した。
アッバース大統領に近いフセイン・アル・シェイク民政庁長官が、エレカット氏の職と交渉団代表の役割を受け継ぐものと広範に思われている。
アル・シェイク氏はまた、アッバース大統領の後継者になり得る一人とも見られている。
他にもムハンマド・シュタイエ首相やマルワン・バルグーティ氏が候補者としてあげられる。バルグーティ氏は対イスラエル攻撃に関与したとして現在イスラエルで服役しているが、支援者は氏をパレスチナのネルソン・マンデラと呼んでいる。
「シェイク氏はイスラエルが敬服する人物だと思います。勿論アメリカ人もそうでしょう」と、中東研究所で上級研究員をしているカーレド・エルジンディ氏が語った。
「他の人も、氏となら一緒に仕事ができると思っています。ですから短期的には、それが理にかなっていると言えるでしょう」
アッバース大統領のファタハ運動に従事してきたシェイク氏は、他国の外交官やイスラエルとの関係を育んできた。氏は先月、イスラエルのヤイール・ラピード外相とも会っている。
ベネット首相が率いる連立政権はパレスチナ側との正式な和平交渉を除外しているが、ヨルダン川西岸地区の生活改善のためパレスチナ自治政府との経済協力を深めたいとの考え方を示している。
「アブ・マーゼン(アッバース氏の通称)は、どうやら後継者との交代を準備しているように見えますね」と、エルジンディ氏が語った。
「ただ、実際の交代劇が自分の思ったように運ぶかどうかは分かりません」
AFP