
エファレム・コッセイフィ
ニューヨーク:安保理は金曜日、レバノンの政党に対し、外部紛争から距離を置き、必要な政治・経済改革の緊急実施に専念し、海外からの財政支援の効果を行き渡らせ、国民の「差し迫った状況」を緩和するよう求めた。
国際連合(国連)の最重要期間である安保理は、レバノンの政党に対し、「先に発表した宣言、特に2012年のバアブダ宣言で明記されたように、いかなる外部紛争にも関与しない具体的な政策を重要な優先事項として」実行するよう促した。
バアブダ宣言は、レバノンが地域の事象に対して中立の立場であることを強調する目的で作成された。
レバノンのシーア派有力政治組織「ヒズボラ」は、イラン政権の地域戦略機関として、シリア内戦ではアサド政権と共闘し、イエメンやイラクではイランの代理戦争に関与してきた。
安保理は1月24日にレバノン内閣によって行われた会議を歓迎したが、当局に対し、国際通貨基金との先の合意を反映した2022年予算の採択をはじめ、必要な改革を速やかに実施するよう促した。
レバノン経済は崩壊し、壊滅的な状態にある。世界銀行によると、1850年以降に世界で起きたワースト3の危機に含まれるという。
これは、長年に渡り、腐敗した支配層が私腹を肥やすために国の資源と海外からの援助を独占してきた結果だ。
レバノンの経済は危機的状況にあり、通貨が暴落し、燃料、食料、医薬品の不足が深刻化する中、国民のあいだには不安が広まっている。にもかかわらず、レバノン当局がなんの政治・経済改革にも着手しようとしないことに対し、世界銀行は繰り返し不信感を表明してきた。
安保理は、同国民が「差し迫った状況に直面しており、改革、選挙、公正な裁きへの切望を表明しているのも当然のことだ」と述べた。
安保理はまた、2020年8月4日にベイルート港で発生し、市の大部分が破壊または被害を受けた壊滅的な爆発について、「第三者的立場による、迅速で公平で透明性のある徹底的な調査」を再度求めた。
人類史上3番目に大きい非核爆発とされるこの爆発では、200人以上の市民が死亡し、数千人が負傷し、数十億ドルの損害が発生した。数年前から港に不適切に保管されていた大量の化学物質が爆発の原因として考えられている。
この爆発事故に関する調査は中断されている。爆発に至るまでに怠慢による過失があったとして告発されたレバノンの政治家らが、裁判官を相次いで提訴したためだ。
ヒズボラは、裁判官を「偏見がある」という非難を主導し、裁判官が交代させられるまで閣議をボイコットすると脅迫している。裁判官への疑惑は、権利団体や爆発の犠牲者遺族らによって否定されている。
安保理はまた、「自由で、公正で、透明性の高い包括的な選挙を予定通り2022年5月15日に行い、また、候補者及び有権者としての、完全で、平等で、有意義な女性の参加のもと実施する」ことの重要性を改めて述べた。
安保理はさらにレバノン政府に対し、選挙監視委員会が「その任務を遂行できるようにすること、特に適切な資料を提供し、候補者の指名を開始すること」を求めた。
安保理は、過去2ヶ月に発生した国連レバノン暫定隊(UNIFIL)に対する一連の襲撃事件を非難し、レバノン当局に対し、捜査を行い犯人に裁きを受けさせるよう要求した。
また安保理は、同国のすべての政党に対し、UNIFIL隊員が安心・安全に自由な移動ができるようにする必要性を改めて強調した。