
ナジア・フーサリ
ベイルート:国民議会議員に占める女性の比率が低いままとなっていることが知られるレバノンで、フェミニスト市民社会プラットフォームが5月中旬に予定される国民議会議員選挙の男女候補者に向け要求のリストを公表した。
このプラットフォームが候補者に呼びかけたのは、「男女の完全な平等を達成するため」最大限の努力を投じ、「それを将来の国民議会議員としての優先事項に採り入れ、意思決定レベルに女性が完全参加できるように真摯に努力する」ことだ。
候補者には将来行う全ての意思決定にあらゆる形の暴力や差別が入り込まないようにすることも求めた。
この詳細は、次回選挙への立候補締切まで残り15日となる28日に行われた記者会見でも繰り返し発表された。
内務省の名簿に登録された女性候補者はレバノン全体でたった5人しかいない。
レバノン人女性のための委員会のクロディーヌ・アウン委員長は、「レバノンの女性は経済、文化、科学の分野すべてに存在しており、司法といくつかの民間職で女性の比率は50%に近いか上回っています」と語った。
「しかし女性の比率は国民議会で4.7%を超えることがなく、市議会では6%を下回り、政府にはたった1人の大臣しかいません」とアウン委員長は付け加えた。
アウン委員長のコメントは、女性と安全保障、平和に関する国連安保理決議1325号をレバノン政府が承認し、このための国家活動計画を実施する体制の中で、委員会がレバノンの各政党の代表者と会合を持った際に出されたものだ。
国連女性機関の支援を受けるこの委員会は、レバノン全土で議会と公共・政治分野での指導的立場への女性参加を増進するよう呼びかけた。
昨年10月に、国民議会は女性に定数を割り当てる選挙法の修正案を否決したが、これに憤慨したのが、国民議会議長のナビーフ・ビッリーが率いる開発開放派に属する唯一の女性国民議会議員だった。
彼女は議場を退席し、こう語った。「女性の役割や国民政治生活に女性が参加する必要性のことを毎日話すような時代に、彼らは提案を議論することさえ拒否しました。彼らは私たちを裏切ったのです。」
レバノン人女性が投票し立候補する権利を獲得したのは1953のことだった。
ミルナ・アル=ブスタニはレバノンの国民議会に入った初の女性だが、父のエミール・アル=ブスタニが1963年に死去し、その議席を受け継いで立候補した。
他の女性も兄弟や夫を引き継ぐか、子どもを持つことで地位を受け継いで国民議会の職に就いた。
このような女性国民議会議員には、ノハド・サイード、ナイラ・モアワド、ソランジ・ジェマイエル、バヒア・ハリリ、セトリダ・ギアギア、ネイラ・トゥエニがいる。
国民議会は128人の議員で構成され、その中にいる6人の女性議員は2018年の選挙で争った86人の候補者の中から国民議会の議席を勝ち取った。
レバノン国民議会の発足以来、国民議会の議席に就いた女性の総数はわずか14人だ。
ベイルート第2区の候補者、コルード・ワッタルは、前回の選挙で落選した後、「私が選んだのはあなた、そして我が国」という横断幕をベイルートの地域で掲げ、国民議会に再び立候補することを公表した最初の候補者の一人だ。
ワッタルはアラブニュースに次のように語った。「政権にある政党は公務での女性の存在に関心を持っていないので、この体制の外から独立した誰にも支援されない女性が選挙に立候補したらどうなるでしょう。地元で活発に活動している人だとしてもです。」
国際交渉と政治社会学が専門で女性政治指導者国際ネットワークで勤務したこともあるワッタルは次のように語った。「選挙の状況は、特にベイルートで危機的です。人々は苛立っています。」
「スンニ派からは男女とも立候補を表明する人がいないので、私はベイルートのある1議席に立候補した唯一の候補者です。これは紛らわしいことです。」
彼女はさらにこう語った。「人々の心理状態が絶望に毒されています。私は立候補届を提出しましたが、私が掲載される候補者名簿に、この問題は時期尚早なのです。」
「立候補締切まで私たちに残された時間は15日ですが、まだあらゆる事が曖昧なままです。」
内務大臣バッサム・マウラウィーは28日、「国民議会選挙は予定通り実施される」ことを再確認した。