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イランのロケット打ち上げが再び失敗 衛星写真から判明

2022年2月27日日曜日、イラン、セムナーン州の地方部にあるイマーム・ホメイニ宇宙センターの焦げた発射台を囲むトラックやその他の機材が写ったマクサー・テクノロジーズの衛星写真。(AP)
2022年2月27日日曜日、イラン、セムナーン州の地方部にあるイマーム・ホメイニ宇宙センターの焦げた発射台を囲むトラックやその他の機材が写ったマクサー・テクノロジーズの衛星写真。(AP)
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02 Mar 2022 09:03:39 GMT9
02 Mar 2022 09:03:39 GMT9
  • 米プラネット・ラボスPBCの画像によると、打ち上げの試みは金曜日以降に行われた可能性が高い

UAE・ドバイ:イランはウィーンにおいて、有名無実となった核合意の再建に向け、世界の国々との最後の交渉に臨んでいる。そのような状況のなか、同国は最近、欧米から批判されている衛星搭載ロケットの開発プログラムを再活性化させようとした。しかし、失敗が続いている打ち上げは、再び失敗したとみられる。

AP通信が確認した米マクサー・テクノロジーズの日曜日時点の衛星画像は、イラン地方部、セムナン州にあるイマーム・ホメイニ宇宙センターの発射台の焦げ跡を示していた。発射台上のロケット台が焼け焦げて破損し、その周りを車両が取り囲んでいるように見える。ガントリー(整備塔)の一部と思われる物体がその近くに転がっている。

ガントリーは離陸前に降ろされるため、打ち上げに成功した場合は損傷することはほぼない。また、イランは通常、ロケットが宇宙に到達した場合、打ち上げを直ちに国営テレビ局で大々的に報じ、失敗した試みについては認めないという歴史がある。

米プラネット・ラボスPBCからの別の画像は、打ち上げの試みはおそらく金曜日以降であったことを示唆している。国連のイラン代表部は、コメントの要請にすぐには応じず、また米軍も同様であった。

ミドルベリー国際研究所のジェームズ・マーティン不拡散研究センターの専門家、ジェフリー・ルイス氏は、同僚とともにこの打ち上げの試みに最初に気がついた。同氏は、このロケットはイランの衛星打ち上げロケット「ズルジャナ」とみられると述べている。

画像のガントリーは、昨年打ち上げに成功したズルジャナのものと類似点が多い。ズルジャナは、預言者ムハンマドの孫で、7世紀にカルバラで戦士とともに虐殺されたシーア派信仰の重要人物、イマーム・フセインの馬にちなんで名付けられた。

何が爆発を引き起こしたのかは、まだ不明である。ズルジャナの最初の2段は固体燃料を使用しているが、最終段は液体燃料で、発射台で燃料を補給する必要があったはずだと、ルイス氏は述べている。

「これは、何かが爆発して、中断されたように見える」と、ルイス氏はAP通信に語った。

過去10年間、イランはいくつかの短命の衛星を軌道に乗せ、2013年には猿を宇宙へ送り出した。しかし、最近はこのプログラムにトラブルが発生している。別の衛星搭載ロケット「シモルグ」プログラムでは、5回連続で打ち上げに失敗している。2019年2月にイマーム・ホメイニ宇宙センターで起きた別の火災でも、3人の研究者が死亡したと当時当局が発表している。

今回の打ち上げに使われた発射台は、2019年8月の爆発の傷跡が残っている。当時のドナルド・トランプ大統領でさえも、この爆発に注目した。彼はその後、打ち上げ失敗の機密監視画像と思われるものをツイートしている。

相次ぐ失敗により、イランのプログラムに対する外部からの干渉が疑われた。そして当時、トランプ氏自身が「破滅的な事故に、アメリカは関与していない」とツイートし、それをほのめかしたのである。

しかし、いずれの失敗も不正を示す証拠は提示されていない。また、世界で最も成功しているプログラムであっても、宇宙へのロケット打ち上げは依然として困難である。

一方、イランの革命防衛隊は2020年4月、衛星を軌道に乗せることに成功し、独自の秘密宇宙開発計画を明らかにした。米国宇宙司令部の責任者は後にこの衛星を、「宇宙で転がり続けるウェブカメラ」程度のスペックであり、イランに重要な情報を提供するものではないと断じた。とはいえ、これは、衛生を軌道に乗せることに成功したイランの能力を示すものであった。

しかし、今回の発射の試みは、欧米の外交官が、世界各国との核合意を再建するための時間が刻々と迫っていると警告する中で行われたものだ。この核合意は、イランへの経済制裁の解除と引き換えに、同国におけるウラン濃縮を大幅に制限するものである。トランプ氏は2018年にこの協定から一方的に離脱した。その結果、より広い中東全域が、数年にわたる緊張と、謎の攻撃の舞台となった。

米国は、こうした衛星打ち上げが国連安保理決議に反していると主張している。そしてイランに対し、核兵器を運搬できる弾道ミサイルに関連する開発活動を一切行わないよう求めている。

イランは長い間、核兵器を求めていないと主張し、これまでの衛星打ち上げやロケット実験は軍事的な要素を含んでいないとしてきた。米国情報機関や国際原子力機関(IAEA)は、イランが2003年に組織的な軍事核計画を放棄したと発表した。

現在、テヘランはウランの濃縮度を60%まで高めている。兵器級の90%という水準に、技術的に短いステップで到達可能で、これは核合意の上限である3.67%をはるかに超えている。また、濃縮ウランの貯蔵量も増え続けており、国際査察団はその進展状況を監視する上で困難に直面している。

イランのハサン・ロウハーニー前大統領は、西側諸国との関係を悪化させることを恐れて、イランの宇宙開発計画を縮小させた。しかし強硬派のイブラヒム・ライシ新大統領は、逆に宇宙開発計画を加速させることに力を注いでいる。イランは一連の人工衛星の打ち上げを計画しており、イランの宇宙最高評議会は最近、11年ぶりに会合を開いた。

AP

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