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レバノン与党勢力が国民議会選の立候補者を公表

2018年5月6日、レバノン首都ベイルートで投票を済ませた女性がインクで汚れた人差し指を示している。(AFP)
2018年5月6日、レバノン首都ベイルートで投票を済ませた女性がインクで汚れた人差し指を示している。(AFP)
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05 Mar 2022 02:03:18 GMT9
05 Mar 2022 02:03:18 GMT9
  • 選挙の実施にともなう費用は1,550万ドルと見積もられる
  • 今回の選挙では、海外在住の約22万5,000人をふくむ397万人近くの有権者が投票の予定 

ナジャ・フーサリ 

ベイルート: 次期国民議会選挙の立候補届を内務省へ提出する登録期限が3月15日と目前に迫ることから、レバノンの各政党は急ぎ提出に動いている。

国民議会のナビーフ・ビッリー議長(84)も、与党議員らと並んで次の4年間の会期に向け立候補届を提出した。

届け出についてはこれまでのところ、独立系の候補者と市民運動の代表者らに限定されていた。

登録済みの立候補者は2日夕の段階で100人近くまで急増、さらに増える見込みだ。

有権者らは5月15日に128の議席に座る議員を選出するため投票することになる。これに先行して、選挙に携わる公務員らによる選挙が5月12日におこなわれる。

5月6日と8日には、海外在住のレバノン人有権者らが票を投じる。

選挙の実施にともなう費用は1,550万ドルと見積もられている。

本格的な選挙戦の開始は4月となる。候補者出馬の前提となるリストの登録が始まるのが4月となるからだ。

政党間の同盟関係が解体され、連立与党が国民議会で過半数を握ることを阻止する戦いが始まると、政治的な競合、闘争の高まりも予想される。

今回の選挙にはおよそ397万人の有権者が投票する予定だ。うち約22万5,000人は海外在住者となる。ほとんどの有権者が、2019年10月17日の「革命」勢力に与する候補に投票するとみられる。

2日夕にはヒズボラのハッサン・ナスラッラー書記長が立候補者の一部を公表した。群れなす現役議員らに加え、「若い世代の立候補予定者」もふくまれている。

アマル運動も数日中に立候補者名を発表するとみられる。漏れ伝わる情報によれば、アマル運動を率いるビッリー議長はリストから現役議員の大半を外さない意向とされる。これら議員の中にはわけても、ベイルート港爆発事故にからみ立件されている者もふくまれる。

アラブ社会主義バース党のアリー・ヒジャーズィー(Ali Hijazi علي حجازي)書記長は、バーラバック・ヒルミル(バールベック・ヘルメル)選挙区から出馬する立候補届を提出している。

同党はシリアのバース党が手を伸ばしたものとみられている。ヒジャーズィー氏は最近書記長に選出された人物で、ヒズボラおよびシリアの政権に連なると考えられている。

レバノン軍団は党大会で候補者リストの発表を継続している。自由愛国運動では最終的な候補者リストの決定に取り組んでいるところだ。 他方で、進歩社会党の候補者発表は滞っている。党を率いるワリード・ジュンブラート氏は、党が所属する議会会派内でいかなる変更をおこなうにも政治情勢が熟していないと語っていると伝わる。

泡沫政党は、大政党同士で合意了解が成立する報を待って、候補者リストへ名を連ねる決定をする。

ヒズボラは全選挙区でアマル運動との協力関係を強めることを模索している。また、ヒズボラ支持者による自由愛国運動への投票が見込めるあらゆる選挙区で、同運動との協調も期待している。

しかしながら、スンニ派政界ではなお混乱が収束していない。これは、未来運動を率いるサアド・ハリーリ氏が政界引退を表明しただけでなく、次期国政選では党員に対して未来運動を名乗っての出馬をしないよう求めた経緯があるためだ。

未来運動支持者の中には投票のボイコットを断言する者もいれば、同運動に対し活動の再開を求め、国政をヒズボラとその協力勢力に任せたままにするなと訴える者もいる。

スンニ派政界では古参の指導者らの中には、タンマーム・サラーム(Tammam Salam تمام سلام)元首相など不出馬を明らかにしている者もいる。一方で、フアード・アッ=サニューラ(シニオラ)(Fouad Siniora فؤاد السنيورة)元首相のように選挙のボイコットはするなと主張する者もいる。

未来運動の消息筋はアラブニュースに次のように語る。「われわれがいようといまいと違いなどないのだから、われわれは体制の外に留まるべきだという者もいる。ハリーリ元首相が与党のすべてからはしごを外されたことを考えればすぐにわかる話だ、というわけだ」

「加えて言えば、われわれが選挙のボイコットをした場合、ヒズボラは候補者すべてについてスンニ派からの援護は期待できないことになる」

同筋はさらに語る。「また、選挙をボイコットすれば、他党派によりスンニ派政界の一体性にひびが入りかねないと考える者もいる」

「候補者は絞るべきだ。そうした上で広範かつ効率的な投票をすべきなのだと」

「ハリーリ氏から選挙をボイコットせよという求めがない以上、早まった判断をすべきではないと。ことに、レバノンの国家体制の過半はいまのところはヒズボラが支配する構造にはなっていないのだから。と、こうした主張をする者もいる」

「国に背くような言動はすべきでない。レバノンにとってベストなのはこのやり方だ、と」

レバノンのスンニ派最高権威機関であるファトワー庁(ダール・アル=ファトワー)の関係者は、こうした混乱が続けばスンニ派の票が割れてしまう結果になりかねないと懸念を示す。

「スンニ派の諸政党が国家の論理に従うのではなく民兵組織の論理の採用に傾くことでもあれば、空隙を埋められないのではないかと懸念しているのだ」。匿名を条件に関係者らはアラブニュースにそう語る。

市民社会からの候補者らが立候補届の提出では先陣を切った。おっかなびっくりではあるが。

とはいえ、こうした市民の運動体はどの団体も候補者固めをしきれていないか、与党勢力との戦いをどの選挙区でおこなう計画なのか公に示してはいない。

選挙専門家のワリード・ファフルッディーン(Walid Fakhreddine وليد فخر الدين)氏は語る。「あらゆる地域で候補者の数が足りないということはない。特にヒズボラの協力勢力が優勢な地域ではそうだ。候補者リストの公表を控えているのはさまざまな交渉の妥結をにらんだものだ。となればこれは、必ずしも悪い選択でもない」

ファフルッディーン氏は力説する。「候補者選出が遅れているのは、選挙法で立候補者には等しく3,000万レバノンポンド(2万ドル)の供出を求めているということがある。この供託金は候補が立候補の辞退を選んだ場合には没収されるのだ」

「さらに、候補者らは選挙運動用の銀行口座の開設を法の規定どおりにおこなうにあたってさまざまな問題に直面している。5月15日を迎えるまでにはこうした問題を解消する作業も進行中だ」

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