ナジャ・フーサリ
ベイルート:審議会の分裂による政治的な行き詰まりにより候補の一本化に合意できない中、レバノンの国会議長は新大統領選出のため29日の議会を招集した。
ナビーフ・ビッリー議長の発表は、ミシェル・アウン大統領の辞任予定日まであと数週間に迫り、国会の敵対陣営どうしが大統領の後任の指名はおろか議論さえ拒んだというタイミングで出された。
レバノンの国会の国会議員128人は今年初めの選挙の後で大きく2つの陣営に分かれた。ヒズボラ寄りの「3月8日同盟」は60人の国会議員を擁し、対抗する「3月14日同盟」は38人の勢力だ。
国会には無所属と改革派も30人いるので、どの党派も絶対多数とはならない。その結果、新大統領には連立支持が必要となる。
「3月8日同盟」の一部をなす「アマル運動」を率いるビッリー議長の発表は、「全員に責任を課す」ことを意図したものだと元国会議員のアリ・ダーウィッチ氏は語った。
「我々の希望は今国会で大統領を選出することだが、明日の議会で新大統領がどの党派から出るかについて合意には達していないことが明らかになるだろう。」(ダーウィッチ氏)
国会会派間の協議はビッリー議長の発表いらい激しさを増し、多くの議員が国会への出席に同意したことを国会筋は示唆した。
「代議士が責任を果たし大統領の空白期間を避けるよう強く促したことで、ビッリー議長は憲法上の職務を完遂した。我々は改革主義者として初めて国会に出席する」と、13人からなる野党「変革の力」の1人、メーレム・ハラフ氏は語った。
しかしハラフ氏の党派は候補者を指名しておらず、アウン大統領の後任に対する一連の基準を示した。「レバノン生まれで、我が国の破壊に加担した腐敗体制の外部から選ばれる救済者であること。」
レバノン国内の諸宗教に権力を分散する憲法の下では、キリスト教マロン派のレバノン人なら大統領に立候補できる。
ふつう最も著名な候補者はキリスト教党派の指導者で、たとえば元代議士のスレイマン・フランジエ氏はマラダ運動の指導者でシリア政府と同盟関係にあり、ジブラーン・バシール氏は自由愛国運動の党首でヒズボラや「レバノン軍団」党首のサミール・ジャアジャア氏と同盟関係にある。しかし、国会で絶対多数の支持を受ける候補者はいない。
何らかの支持を得られたと28日に報じられた名前には、2018年から駐バチカン・レバノン大使を務めるファリド・エリアス・アル=カゼン氏、元国会議員のサラ・ハニン氏、ルネ・モアワド元大統領の息子のミシェル・モアワド氏、自由愛国運動の元党員だが無所属の国会議員で実業家ネアマト・イフラム氏が挙がっている。
候補者と噂される他の名前として、ダミアノス・カッタル氏とジハード・アズール氏の二人は元財務大臣、銀行家のサミール・アッサフ氏、ジアド・バルード氏とマルワン・チャーベル氏の二人は元内務大臣だ。
レバノン大統領は無記名投票で選ばれる。無条件で選出されるため、候補者は第1回投票で国会議員128人の3分の2以上の多数を得なければならない。
2回目以降の投票が必要となった場合、単純多数の65票を得た候補者が勝者と認められる。