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レバノンでガゾリンを求める行列が発生、食糧安全保障への懸念が強まる

レバノン、ベイルートの製粉所で小麦粉の袋をトラックに積み込む男たち。(ロイター)
レバノン、ベイルートの製粉所で小麦粉の袋をトラックに積み込む男たち。(ロイター)
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07 Mar 2022 03:03:02 GMT9
07 Mar 2022 03:03:02 GMT9
  • 政府は、ウクライナ、ロシアからの小麦と食用油の輸入に代わるものを模索
  • マロン派のベチャラ・ブトロス・アル・ラヒ総主教が、紛争の平和的解決を訴える

ナジャ・フーサリ

ベイルート:レバノンでは、ガソリンスタンドの前で1時間待ちの行列が復活している。食糧安全保障の危機への懸念が高まる中、店頭の食用油と小麦粉の在庫も減少している。

市民たちがアラブニュースに語った。「新たな危機が進行中であることをソーシャルメディア上で知った。スーパーマーケットに行くと、人々が食用油や小麦粉をめぐって争っていた」

「私たちは、統治当局の約束を信用していない。以前にも基本的な食料品や医薬品が不足したことがある」

「特にラマダーンが近づいていることもあり、また同じことが起こるのではないかと心配している」と彼らは付け加えた。

レバノンは2020年に起きたベイルート港爆発事故で重要な小麦サイロを失った。この施設には、約12万トンの小麦が保管されていた。

現在、同国は小麦の多くを北部の倉庫に貯蔵している。トリポリ港でこれらの物資を陸揚げした後に在庫を確保しているのだ。

しかし、レバノンにはまだ十分な貯蔵スペースがなく、毎月約5万トンの小麦の需要を確保するために定期的な輸入に頼っているのが現状である。

2020年、レバノンはウクライナから63万トン以上の小麦を輸入し、それは輸入量全体の8割を占めた。残りの15%はロシアが供給し、5%はその他の国からの輸入であった。

そして2021年、レバノンはウクライナから52万トンを輸入し、残りをロシアから輸入した。

レバノンの残りの備蓄は、1カ月余りしかもたないと推定される。特に中央銀行が、レバノンの製粉所が注文した小麦の出荷のための送金を行えなかった場合、それは現実的となる。

アミン・サラーム経済相は、政府は小麦を適正価格で輸入し、最大2カ月の備蓄を確保するために、数カ国と協定を結ぶことを模索していると述べた。

「しかし、問題は供給源と価格に加え、在庫がなくなる前に供給が届くスピードにある」と付け加えた。

金融破綻と通貨切り下げの結果、レバノンの購買力は著しく低下し、その経済はほとんど輸入に依存していることになる。

日用品や食料品、サービスの価格は今や世界市場と連動しており、ウクライナ紛争などの国際的な出来事は、レバノン国民に直接的な影響を与える。

レバノンのウクライナからの年間輸入額は約5億ドルである。

レバノン食品輸入業者シンジケートのハニ・ボーサリ代表は、次のように語っている。「レバノンは年間10万トンの油を輸入している。そのうち9万トンはヒマワリ油で、ヒマワリ油の60%はウクライナから、30%はロシアから、残りの10%はトルコ、エジプト、サウジアラビアから輸入している。ウクライナは現在輸出を中止している。そしてロシアはSWIFTから排除される。これらのことは、輸入に支障をきたす原因となる可能性がある」

政府は小麦の代替供給国を探しているが、食用油やその製造に必要な原料の調達に代替はないとボーサリ氏は警告した。

日曜日には、国家保安総局のメンバーが、供給がなくなったとして土曜日に営業を停止したガソリンスタンドに対し、検査を実施した。当局は、在庫が残っている場合、営業を再開するよう強制している。

燃料危機の噂を受け、土曜日にはガソリンスタンドの行列が復活した。

燃料の公定価格は木曜日に急騰し、ガソリン缶一杯、20リットル分の価格が40万レバノン・ポンド(約20ドル)以上となった。軽油20リットル分は37万5000レバノン・ポンドに達した。

しかし、ワリード・ファイヤード・エネルギー相は日曜日、危機について否定した。

同氏は、ガソリンを供給する船は海上にあり、間もなく荷を降ろすだろうと述べた。「燃料供給会社は、世界市場と歩調を合わせるために、毎日の価格スケジュールを調整したいと考えている様子だ」

石油総局は、世界的な燃料価格の高騰を受け、新しい燃料価格表を発行する予定だ。

ガソリンスタンド・オーナー・シンジケートのメンバーであるジョルジュ・ブラックス氏は市民に対し、パニックになってガソリンを備蓄しないよう呼びかけた。

「世界的な危機のため、レバノンに到着する量は以前より少なくなっているのは事実だ。しかし、我々が受け取る燃料は、地元のニーズには十分な量である」

ブラックス氏は、船舶の荷揚げのための前払い金の支払いを早めるよう、中央銀行に要請した。特に状況が今後悪化する可能性があり、その危機を回避するためだ。

アッバス・アル・ハラビ情報相代理は次のように述べた。「レバノンは、食糧安全保障の問題に対処するため、国際企業と連絡を取り合っている」

ウクライナでの戦争が懸念される中、多くの国が輸出入に困難をきたしていると彼は付け加えた。

ナジーブ・ミカティ政権は、ウクライナ危機による危機が落ち着くまで、レバノン国内で生産された食料品の輸出を間もなく停止する。その後は国内のパン供給を維持するために小麦と小麦粉の輸出を制限する予定である。

経済省はまた、独占と価格高騰の防止に努める予定だ。

キリスト教マロン派のベチャラ・ブトロス・アル・ラヒ総主教は、日曜日の説教の中で、「戦闘員が蛮行を行うよう、互いに誘いかける」戦争の終結を呼びかけた。

「罪のない人々への慈悲として、戦争が止まることを祈ります。破壊、殺戮、難民の終結を祈ります」

「怒りや憎しみが収まるように祈ります。私たちは、紛争の当事者が話し合い、平和的に紛争を解決できるように祈ります。私たちは、中立的な方針を採用する大切さを強調します」

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