
ウィーン: 2015年のイラン核合意再建に向けて行われている協議をめぐり、議長を務めるEUは金曜日、交渉は一時中断を余儀なくされたと発表した。数日前にロシアが新たな要求を出し、交渉は一段と複雑になっていた。
EUのジョゼップ・ボレル外交政策上級代表は、「最終合意案はほとんど出揃い、出来上がっている」としたうえで、中断は「外的要因によるもの」だとツイートした。
今回の交渉は11月下旬に開始されており、英国、中国、フランス、ドイツ、イラン、ロシアの間で行われ、米国は間接的に参加している。
2018年にドナルド・トランプ前米大統領が離脱したことで崩壊し始めていた2015年の共同包括行動計画(JCPOA)を再建することを目指して行われた交渉は、大詰めを迎えていた。
しかしロシアが先週、ウクライナ侵攻をめぐり欧米がロシアに課した経済制裁が、同国とイランとの取引に影響を与えないという保証を求めると述べた。
モスクワは、2015年の元のJCPOAと同様に新たな合意の実行においても、イランから出荷される濃縮ウランを受け取るなどして役割を果たすことを期待されていた
JCPOAからの離脱後、トランプ氏はイランに対する厳しい経済制裁を再発動した。これにはイランにとって極めて重要な石油部門も含まれた。
その結果、イランは核開発活動に対して合意で定められた制限を破り始め、同国の濃縮ウランの貯蔵量は現在、合意で定められた上限の15倍を超えている。
JCPOAの目的は、イランが核兵器を開発できないようにすることだが、イランは以前から、核兵器を開発する意図はないとする主張を続けている。
イランを専門にするフランスの学者クレマン・テルム氏は、「ロシアは、イラン産原油が市場に溢れ、それに伴い原油価格が下落する事態を避けるために、合意再建を遅らせることを狙っているのかもしれない」と指摘する。
「高値が続けば、クレムリンはエネルギーを西側に対する武器として利用することができる」と続けた。
一方イランについては、「イラン・イスラム共和国はロシアの戦略に対抗できる立場にはない」と説明した。
「モスクワはイランの弱みにつけこんでいる」
イラン外務省のサイード・ハティブザデ報道官は、交渉の中断は「残された問題を解決するための契機となり得る」と述べた。
同氏は「合意に向けて前進する我々の共同意志が、外的要因に影響されることはない」とツイートしている。
ロシアの在ウィーン国際機関代表部のミハイル・ウリヤノフ氏は、会談が行われているホテルの外で記者団に対し、「すべての責任をロシア連邦に押し付けようとする動き」を認めないと述べた。
「合意の締結はロシアだけによって決まるものではない 」とし、協議に関わる他の国が「さらなる時間を必要としている 」と述べた。
さらに、ロシアは協議の「早期締結」を支持していると付け加えた。
ボレル氏は金曜日、「現在の状況を打開して合意を締結するために、すべての #JCPOA 参加国および米国と連絡を取り続ける 」と述べた。
交渉の再開時期について、同氏からの詳しい説明はなかった。
AFP