• 正体不明の襲撃者が職員2人を拘束したことを受けて、国境なき医師団は治安の悪化を理由に慈善活動を縮小した
• 武装勢力に拘束された国連職員5人の解放に向けた交渉が、30万ドルの身代金要求を受けて決裂した

サイード・アル・バタティ

アル・ムッカラー：イエメンの軍と治安当局は、国際援助機関が治安上の懸念から人道的活動を縮小する中、イエメン南東部のハドラマウト県で援助関係者を誘拐した犯人を逮捕すると断言した。

ハドラマウト県の政府治安委員会は軍の部隊に対し、非公式の検問所を撤去し、同県における車両での走行に適した地域の治安対策を強化し、国際援助隊員2人を拘束している武装した男らを追跡するよう命じた。

県内の治安部隊も、誘拐犯の逮捕を指示する同様の命令を内務省から受けた。

匿名を条件に14日にアラブニュースの取材に応じた内務省の高官は、「我々は遅かれ早かれ誘拐犯を捕らえることになる」と述べ、内務省は現時点で誘拐犯の正体や要求を把握していないと続けた。

同高官は、「誘拐犯は薬物中毒者やテロリストで構成されている」と話した。

今月、正体不明の男らが、ハドラマウト県のセイユン市とアベルの間の僻地で国際医療慈善団体「国境なき医師団」の外国人職員2人を誘拐した。

地元メディアの報道によると、誘拐犯はコウシェム・アル・アイン地区に偽の検問所を設置した後に軍人を装い、ドイツ人とメキシコ人の職員、同伴していたイエメン人らにトヨタのピックアップトラックに乗るよう求め、彼らを乗せてすぐに砂漠の奥へと走り去ったという。

誘拐事件を受けて、国境なき医師団は13日に中心都市マアリブで行っていた人道的活動の一部を終了した。この措置により、200万人以上の国内避難民を抱える同市のすでに悲惨な人道状況が悪化すると予想されている。

国境なき医師団は声明を発表し、「我々は、マアリブで行われているプロジェクトに向かっていた2人の同僚が行方不明になったことを受け、同プロジェクトにおける人道的活動の一部を終了する」と述べた。

国境なき医師団は加えて、「我々はこれを容認できない暴力行為とみなしている。また、同地域で活動する国境なき医師団のチームが現在直面している危険性を懸念している」と述べた。

国境なき医師団は、マアリブで運営している移動診療所8か所のうち5か所を閉鎖し、マアリブ総合病院への支援を完全に打ち切ると発表した。

イエメン南部のアビヤン県では、アルカイダ疑惑のある武装勢力に拘束されている国連職員5人の解放に向けた協議が行われていたが、政府が要求をのむ前に人質を解放することを武装勢力が拒否したため、協議は暗礁に乗り上げた。地元当局が14日に発表した。

武装勢力は人質をアデンの囚人と交換することに加え、30万ドル以上の身代金を要求している。

アルカイダ疑惑のあるこの武装勢力は先月、現場での任務を終えてアデンの事務所に戻る途中、アビヤンのモウディア地区で国連職員5人を拉致した。

地元当局者はアラブニュースの取材に対し、武装勢力は拉致した国連職員をアビヤンの険しい山岳地帯に拘束し、軍や治安部隊が彼らを解放するために武力を行使すれば、彼らを処刑すると脅していると話した。

軍と内務省は誘拐犯の逮捕を厳命しているが、批評家らはアビヤンやハドラマウトの隠れ家に身を隠しているアルカイダや麻薬密売人を逮捕する能力がイエメンの貧弱な治安部隊や軍にあるのか疑問を投げかけている。

イエメン政府関係者は、米国やサウジアラビアの軍人に協力を求める意向を示唆している。

内務省の第一次官を務めるモハメド・アルシャレフ准将は先週、地元の治安部隊への支援に関して米国や連合軍のテロ対策担当者と協議を実施した。

日刊紙アルアヤムは先週、イエメン情報部員の発言を引用し、アビヤンとハドラマウトで現在行われている誘拐犯を追い詰めるための取り組みに米国人将校が参加していると報じた。

イエメンのアルカイダはイエメン南部の各県で復活を試みたが、連合軍による訓練と武器の供与を受けたイエメン軍によって都市部と農村部の主要拠点から追放され、過去6年間で決定的な打撃を受けた。