
モハメド・ナジブ
ラマッラー:ロシアによるウクライナ侵攻開始後、イスラエルでは、ウクライナからの女性難民が人身売買ネットワークに搾取されているとの報道があり、懸念が高まっている。
この脅威への対策の一環として、空港に到着したウクライナ人難民の女性たちに、予防情報と緊急電話番号を記載したリーフレットが配布される予定だ。
イスラエルメディアの報道によると、イスラエルは戦争から逃れた何百人ものウクライナ人を受け入れ始めているが、到着した女性の一部が売春へと引き込まれているのではないかという懸念があり、道徳的ジレンマが発生している。
報道では、イスラエルの人身売買および犯罪ネットワークが、イスラエルに到着したウクライナ難民を売春へと誘い込む様子を詳細に伝えている。こうした懸念は、イスラエルの移民当局が過去2週間の間に数十人の難民の入国を拒否する口実に使われた。
イスラエルのチャンネル12で木曜日に放映されたテレビ報道によると、イスラエルの労働・福祉省と法務省の人身取引対策部門は、イスラエルにいるウクライナ人女性難民を売春に誘い出そうとする動きに関する情報を入手したとのことだ。
こうした動きは、イスラエルに到着してから始まっているわけではない。
報道によると、約100人のウクライナ人難民が、ベン・グリオン国際空港での取り調べの際に、ウクライナの紛争地域から脱出し、国境を越えてイスラエル行きの飛行機に乗るための資金を提供する人物について話していたという。
また難民の女性たちは、イスラエルに到着した後、お金を返すために「性的または家事的なサービス」を提供しなければならないと同じ人物から言われたと話した。
イスラエル人口・移民管理局には、この人物に関する情報と詳細が寄せられており、単独ではなく組織的に、難民女性を売春に誘い込もうとしていた疑いが持たれている。
難民女性の証言は警察に伝えられ、捜査が開始される予定だ。
14日のクネセットでの審議で、人口・移民管理局のトミール・モスコウィッツ局長は、一部のウクライナ難民のイスラエル入国を拒否したことについて、「彼女らは売春(をする)ために来た」と主張し、正当化した。
モスコウィッツ局長は「侵攻が起きる前と同じように、今も来ている。中には(人身売買の)被害者もおり… 彼女らをここに連れてきたり、招き入れたりすることに関心を持つ者もいる 」と述べた。
モスコウィッツ局長が参照したデータによると、3週間前にウクライナで戦争が勃発して以来、イスラエルに入国しようとした約1万人の難民のうち、247人のウクライナ人難民が入国を拒否されたという。
ウクライナやロシアからの移民女性を売春へと引き込むことは、イスラエルでは新しい問題ではない。
旧ソ連崩壊後の1990年代初頭にイスラエルに移住した数十人が、何年にもわたって売春に従事するよう勧誘されたと伝えられている。
また、ウクライナ人移民女性の受け入れ担当機関の関係者であるイスラエルの情報筋は、アラブニュースに対し、人身売買は実際に起きていると語った。さらに、イスラエルだけでなくヨーロッパでも同じことが起きていると付け加えた。
「ウクライナ人女性のところに何者かがやってきて、電話番号を教えたと聞きました。そうです、起きているのです」と、匿名希望の情報筋は語った。