
ウバイ・シャーバンダル
ワシントンDC:米国ジョー・バイデン政権は、2015年のイラン核合意の復活に向けた交渉の最終段階にあると伝えられている。
内部関係者によると、テヘランは、ワシントンがイスラム革命防衛隊(IRGC)を外国テロ組織(FTO)リストから削除することに同意するよう要請しているという。
ロバート・マリー米国イラン特使率いる米国の交渉チームは、この要求を飲めば、核兵器保有の可能性を排除するために必要な譲歩と保証をイラン政府から得ることができると信じている。
アナリストは、イランが核兵器保有の能力を持てばIRGCに大きな力を与え、中東全域での非対称戦争の勢いに拍車をかける可能性が高いと分析している。
イランはバイデンチームに対し、イランの核開発プログラムに関する経済制裁だけではなく、特にIRGCに関連する、テロ行為を対象とした制裁についても、ほぼ全面的に見直すことに合意するよう圧力をかけたと報じられている。
情報筋によると、核合意の正式名称である「包括的共同行動計画(JCPOA)」を復活させるためにテヘランが提示している条件の1つは、IRGCをダーイシュやアルカイダと同一視するテロリスト指定を解除することだという。
バイデン政権はこの情報を認めていないが、JCPOAを復活させたい意向は明らかにしている。しかし、テヘランの要求に応じる可能性も見え隠れしている。
批評家たちは、バイデン政権の戦略を構成する推論には重大な欠陥があると指摘している。
ハドソン研究所のマイケル・ドラン上級研究員はアラブニュースに対し次のように述べている。「バイデン政権が検討している取引は、イランによる最終的な核兵器開発を防ぐことも、IRGCに、アメリカや同盟国の利益を損なうテロ攻撃を思いとどまらせることもできないだろう」
「バイデン政権、そして以前にもオバマ政権の関係者は、核合意によって、中東の現場で米国がIRGCを封じ込める活動が妨げられることはないと、繰り返し約束していた」
「明らかに、この核合意は核兵器以上のものだ。核合意はイランの核兵器開発計画に対するあらゆる側面から制約を取り払い、イランによる早期の核爆弾保有に道を開くものだ」
IRGCは、1979年のイラン革命の思想的管理者として設立され、内外の脅威からこのイスラム共和国を防衛することを任されている。1980年代のイラン・イラク戦争への参加により、その役割と力は拡大し、陸海空軍、さらには情報部門を有する、イランを代表する軍事組織となった。
その後、組織はイランの外交政策に大きな役割を果たすようになり、現在では経済の大部分を掌握している。IRGCは、イランの最高指導者アヤトラ・アリ・ハメネイ師が好む道具であることが証明されている。イランは、もっともらしい理屈を並べながら非対称戦争を仕掛けている。このような作戦で数十年の経験を持つ同国工作員によって教化・訓練された指揮官とその代理勢力を使っているのだ。
当然のことながら、核とテロ行為に対する両方の制裁を解除すれば、IRGCの財源に多額の現金が注ぎ込まれることは必至だ。これは、同組織のテロ活動を拡大する動機にしかならないというのがアナリストたちの一般的な見方である。
「IRGCに関係する人間や企業は、監視の目を緩めながら外国企業と取引し、より簡単に世界中に資金を移動させることができるようになるだろう」と、民主主義防衛財団のイランに関する上級顧問、サイード・ガセミンジャド氏はアラブニュースに語った。
「これは、テヘランのイスラム原理主義政権の重要な利害関係者であるIRGCを利する、合意復活後に政権が利用できるようになる数百億ドルに加えて、のことだ」
「IRGCをテロリスト指定から除外し、それに関連する企業への制裁を解除することは、その資金力を高め、作戦能力を拡大し、その政治力と地域的影響力を増大させることになる」
テヘランは、バイデン政権からのシグナルを捉えたようだ。バイデン政権は、ウィーンでのプロセスが終わりなき交渉になることはないと公言する一方で、イランに、最大の影響力と譲歩を得るために核交渉を長引かせるという大きな自由を与えてきたのである。
「バイデン政権は、ほとんどどんな代償を払ってでも核合意の復活を望んでいる。つまり、ワシントンはテヘランにノーとは言えないようだ」
「IRGCはテロ組織であり、その行動や任務を変えてはいない。変わったのは、ワシントンがアヤトラとの取引に必死になっていることだ」とガセミンジャド氏は付け加えた。
IRGCは、1980年代から民間人に対する攻撃に関与してきた。そのテロ行為は、アルゼンチンからタイまで、アラブ人、イスラエル人、アメリカ人、ヨーロッパ人を標的に、多くの場合、何千人もの罪のない外国人を殺害してきた。
イエメンのフーシ派やレバノンのヒズボラなど、その代理勢力はアラブ世界を積極的に脅かしており、イスラエルの存在を脅かすミサイル能力を構築している。バイデン政権は最近、サウジアラビアやUAEの民間インフラや人口密集地に対するフーシ派の無差別ミサイル攻撃を非難しているが、その根本的な問題については沈黙が目立っている。
イラン核兵器抵抗連合(UANI)の政策担当者であるジェイソン・ブロツキー氏は、アラブニュースに対し、IRGCをアメリカの外国テロ組織リストに掲載し続けることには、国家安全保障上、そうしなければならない理由があると述べた。
「FTOの指定は、独自の犯罪・出入国禁止を伴うため、9・11テロ事件を受けてブッシュ元大統領が発令した大統領令13224号のように、他のテロ対策指定にはない法的区別がある」
「IRGCのテロ組織指定解除は、脆弱な核の段階的縮小の公約と引き換えに、その行動によって組織を指定するFTOリストを有名無実化する危険性がある。これはその厄介な前例となるだろう」
ブロツキー氏はバイデンによってIRGCのテロ指定が解除された場合の影響について、次のように指摘する。「イラク、シリア、レバノン、イエメンにおけるIRGCの現地勢力についても、その結果と切り離すことができない。指定解除に伴い、状況を激変させるような戦略的譲歩を認めることになるのだ」
IRGCが管理し、共通のイデオロギーと活動の傘に入りながらも、別々の名前で活動するテロ・ネットワークは、核合意によって行動を変えようとはしないだろう、と彼は付け加えた。
「また、ヒズボラのような代理勢力をFTOリストに含めながら、人材、資金、物資を届ける親組織であるIRGCの指定を解除するのは意味がない」
「米国国務省は、フーシ派をFTOとして登録抹消した後、すでにひどい目に遭っている。その決定を正当化しようとしながらも、フーシ派の攻撃のたびに非難しなければならず、気まずい思いをしている。IRGCをFTOリストから解除することは、さらに悪い結果を生むだろう」とブロツキー氏は言う。
また、テロ組織に対する制裁の解除によってもたらされる潜在的な金銭的利益は、イラン政権内部の力関係にも影響を及ぼすと同氏は指摘した。
「イランのイブラヒム・ライシ大統領にとって、IRGCのFTOリストからの削除は重要である。彼は大統領職を超えた野心、特に最高指導者としての野心を抱いており、その過程でIRGCの支援を必要としている。これが、イランの体制が指定解除を優先させた理由の1つだろう」と付け加えた。
ドナルド・トランプ前アメリカ大統領の「最大限の圧力」キャンペーンを覆すことで、バイデンチームはその後、中東におけるアメリカの地位と外交的影響力を著しく弱めるかもしれない先例を作ることになるのだろうか。
ブロツキー氏は言う。「IRGCをFTOから外すように迫ることで、テヘランはプロパガンダの勝利を得ようとしている。最も重要なことは、これは、既にさまざまな問題で関係が緊張している地域の米国の同盟国やパートナーにひどいメッセージを送っているということである」
バイデン大統領の前任者は、IRGCの陰謀から直接発せられる脅威に対してどのように対応するかという問題では、明らかに異なる方針をとっていた。例えば、IRGCの指導者で最も有能な司令官であるカセム・ソレイマニ氏がバグダッドの米国大使館への攻撃を準備しているという情報に応じて、2019年に標的として殺害するような決定は、現在提案されている核合意が進めば不可能になるだろう。
元米国国務省高官のレン・ホドルコフスキー氏は、バイデン氏のチームは、イランに対して明確なレッドラインを設定しないという、根本的な交渉上のミスを犯していると指摘した。
「バイデン大統領は、JCPOAに復帰するために必要なことは何でもすると決めている。その必死さが、イラン政権によって、突拍子もない譲歩を引き出すために利用されている。IRGCがテロ組織指定の解除後に何をするか知りたければ、フーシ派が何をしたかを見ればいい。テロリストは常に自分たちの得意なこと、つまり人々を恐怖に陥れることをする」
簡単に言えば、もし現在の状況で核合意が行われれば、イランのミサイルはジェッダ、アブダビ、バグダッド、エルビル、テルアビブを脅かし続ける。そして、各地に存在する恐怖の勢力は、中東の広大な領域をより深い混乱と紛争に陥れることができるような資金源を得ることになるのだ。