
ベイルート:ベイルート郊外にあるラフィ・タバキアンの衣料品店は、普段ならクリスマス休暇は買い物客で大忙しだ。しかし、レバノン経済が荒廃する中、客入りは悪い。
「営業して30年になるが、こんなことは初めてだ」とタバキアンは言い、値下げにもかかわらず12月の売上は80%落ち込んだ、と続けて語った。
「今はお客が入ってきて、値段を訊いて、出ていく。怖いよ」と、首都近郊で人口が密集する商業地区、ブルジュ・ハンムードで衣料品を製造販売しているタバキアンは話した。
レバノンは、同国史上最悪の経済危機に苦しんでいる。1975年から1990年の内戦以来、数十年来の国の腐敗と無駄遣いに起因しており、通りは薄暗く商店街は閑散としたままで、多く小売店やレストランには来客がない。
経済的な苦難は、支配者層のエリートに対する大規模な抗議に火を付けた。銀行は資本規制を課し、固定為替のレバノンポンドに対する圧力が高まり、厳しい通貨危機によって輸入業者は値上げするしかなくなった。
普段のレバノンであれば忙しい商業シーズンにあって、ホテルの予約やフライト、イベントは落ち込んでいる。同国は、アラブ世界の中でキリスト教徒の割合が最も高い。
レバノンから各地に離散した人々はたくさんおり、通常は、車で埋まり電飾で飾られた通りの中を帰省する人が多い。
しかし、レバノンホテル協会のピエール・アシュカル会長は、予約が埋まっている割合が今年12月に普段の65〜75%から7〜15%へと急落した、と話した。
「ホテルは建物の一部を閉鎖した。損失を最小限に抑えるため、従業員に無給休暇を与え、空港への無料シャトルバスなどのサービスを取り止めている」
地方自治体には、過去の装飾を再利用するか、あるいは装飾しないことを決めたところもある。
「例外的な状況のため、何も追加せず去年の装飾をつけた」と、レバノンの北に位置するジェイデ市のレイモンド・アティエ市長は語った。
「休暇は間もなくだが、苦しい状況と一緒にやって来る。人々は怒っている…解雇されるか半分の給半しか貰えず、あるいは仕事が全く無い」とアティエ市長は続けて述べた。
レバノン山脈のキリスト教徒が多い町、アダムのシャーベル・ダケシュ神父は、困難な時には「飾り立ててぴかぴか光らせるより」貧しい人々に食べ物を分け与える手助けをした方がいい、話した。
ロイター通信