ロシアのフォミン国防次官は29日、ウクライナ北部の首都キエフとチェルニヒウでの軍事作戦を大幅に縮小することを決めたと明らかにした。ロシア通信などが伝えた。ただ、停戦交渉でロシア代表団を率いるメジンスキー大統領補佐官は、決定は停戦を意味しないとの認識を示した。
米CNNテレビ(電子版)は29日、米高官2人の話として、ロシア軍部隊の一部がキエフ周辺地域からの撤収を開始したと報じた。米国は「大きな」戦略の転換と見ているという。
ロシア軍は25日、作戦の重点をキエフなどから南東部マリウポリなどに移すと発表。実際に北部で戦闘が収束すれば、犠牲を一定程度は回避できそうだが、戦況の行方は予断を許さない。
イスタンブールでウクライナとの停戦交渉に参加したフォミン氏は、交渉進展のため作戦縮小を決定したと主張。双方は「ウクライナの中立化、非核化、安全の保証」で合意することを目指していると説明した。
一方、南部ミコライウでは29日朝、州庁舎が攻撃を受けて激しく損傷し、非常事態庁によると、7人が死亡、22人が負傷した。停戦交渉が行われる中、ロシア側が攻撃の手を緩めていないことを示した。
ミコライウ州のキム知事はインターネット交流サイト(SNS)で、ロシアは仮に占領するなら州庁舎が必要になるため、庁舎への攻撃が「州を制圧する気がない」ことを意味すると指摘。「あいさつは受け取った」と攻撃を非難した。キム氏は毎日動画を更新し、SNSで人気を博している。
時事通信